という発想になる方はすでにアラフォーなんですよね。
日曜18:00と共にこの時間帯はまさにタツノコの独壇場でした。
今回は2018年5月現在、その時間帯に放送された
最後のタツノコアニメがお題です。
炎のアルペンローゼ ジュディ&ランディ
1985年4月6日〜10月5日 全20話
フジテレビ系放映・製作 タツノコプロ
第二次大戦を舞台に激しく生きる二人の運命
あらすじはこんな感じ。
時は第二次世界大戦の前夜。 場所は戦火と軍靴の音が近づきつつあるヨーロッパ。 記憶を失い、自分の両親を求めて旅をする少女がいた。 名はジュディ。旅の途中で出会った少年ランディは運命的な出会いを感じ、 ジュディを命がけで守るため共に旅をする決心をする。 記憶を失ったジュディの脳裏に閃光の如く浮かんでは消える 謎の歌・アルペンローゼ。その意味とは何か? そしてジュディを執拗につけ狙う冷酷無比なグールモン伯爵と、 その背後に見え隠れするナチスの影。ジュディの過去の秘密とは? そしてジュディは両親にめぐり合えるのか? 不気味な戦争の影が迫る中、 様々な障壁を乗り越えて二人は旅を続けていく…。 ![]() |
タツノコ入魂の歴史大河アニメになるはずが…
うえだひでひと(チーフディレクター) |
基本的に赤石さんの原作に沿って進行していますが、 アニメでは各キャラクターの性格を明るめに設定しています。 まあ、主役の少女ジュディが最初は看護婦見習いの 役で登場するのが原作と違うところです。 また、時代的に当然ナチスが関係してきますが、 あまり前面に出ることは無いでしょう。 また、主人公ジュディは別れた母親を探すのが目的ですが、 それよりも一人の少女が様々な人間と出会い、 無くした自分自身を発見していくドラマを見てほしいです。 ランディなど、魅力的な少年も登場しますし、 グールモンなど悪訳も美形で、「母子もの」というよりも 「女児ものハードロマン」と受け取ってほしいですね。 小さい女の子を泣かせてあげて、 年長の女性にはニコニコ笑ってもらい、 男の子には可愛いジュディを見てもらう。 そんなアニメにしたいと思ってます。 敵があってこそヒーローが存在する。ということは、 平和で安定した現代は、敵なきヒーロー不在の時代なのです。 その点こちらは少女が主役の愛と感動のドラマなので 「スチュワーデス物語」のようにテレずにやります。 |
澤井幸次(サブディレクター) |
時代背景が50年前とは言え、実在のヨーロッパですので、 ウソが描けないので苦労します。建物などは同じヨーロッパでも 国によって違うはずですので、スイスならスイス、フランスならフランスの それぞれ代表的な建物を参考にして、 特徴のポイントを掴んで変化をつけるようにしています。 衣服についても「その時代」のイメージをわかせるようなものを 選んでいます。とにかく古すぎてもいけない、 新しすぎても駄目なわけで。 (この時代のヨーロッパの風俗を)全て一から勉強しなおしですよ。 |
由井正俊(プロデューサー) |
戦争が舞台の大河ドラマ的展開、 ジュディのかわいさ、 見せ場の盛り上げの三つを見どころにする。 |
恩田尚之(作画・原画担当) |
ひとくちに「少女マンガ」と言っても、ぼくらがすきなのは「くらもちふさこ」や「内田善美」であって、 "純少女もの"ではないんです。だから「今度うち(ビーボォー)で 「ちゃお」に載ってる「アルペンローゼ」をやるから」と聞いてから、 はじめて本を見たんです(笑)。 ビーボォーではリアルなものばかりをやっていたので、この作品みたいな絵は難しかった。 すぐ骨格を持った立体になり、絵が硬くなってしまう。 もっと清楚な感じを出したいんですけどね。 |
庄司菜穂子(文芸担当) |
月刊ちゃおでおなじみの赤石路代原作「アルペンローゼ」が いよいよスタートしました。(中略) 少女アニメらしからぬスリルとサスペンスを盛り込んで、 タイトに、そしてメロウにと展開されていく愛の少女ハードボイルドの開幕。 どうぞご期待下さい! |
失われた私の記憶を求めて…そして
アニメは冒頭の出会いと、原作では途中ジュディが髪をバッサリ切るくだりをカットした以外は
基本的に原作に忠実に進行していきます。
失われたジュディの記憶を求めて、父や母を訪ねてヨーロッパを旅するジュディとランディ。
そのジュディを始末せんものと執拗につけ狙うナチスの兵士たち。
CDのうえだひでひと氏は「ナチスはあまり前面に出てこない」と言ってましたが、
何の事は無い。メチャメチャ物語に絡んできます。
ジュディの両親がザルツブルグにいると知り、列車に乗り込んだジュディを爆弾で殺そうとしたり、
父親がスイスとオーストリア国境にある療養所にいると知り、
ジュディが向かうとナチの兵隊が追いかけてきて乗り込んできたりと、
とにかく何が何でもジュディを始末せんものと、これでもかこれでもかと追撃の手を伸ばします。
ストーリーは自分の記憶と両親を探してヨーロッパ中を旅するジュディとランディ、
追撃し続けるグールモンとナチスの面々からの逃避行、
その道中で天才音楽少年レオンハルト、スイスの英雄ギザン将軍などの
出会いなどを中心に進行していきます。
途中ジュディは父に出会うのですが、記憶がないため本当に父かどうかすらジュディには解らないというのが悲しいです。
行く先々で網を張るグールモンとナチの面々。その都度その都度人々の思わぬ助けを授かって、
彼女らはナチスやグールモンから逃れ逃れて旅を続けていきます。
そんな折、ランディは、グールモンのギザン将軍暗殺計画を知るに至ります。
ギザン将軍をにこの事を知らさねば!
しかしギザン将軍は身を隠していて連絡の取りようがありません。
このままでは朝10時に暗殺計画が遂行されてしまう!
どうしたらこの計画をギザン将軍に教えることが出来るのか…?
ハード少女ロマンアニメの壁
以上が19話までの大まかなストーリーの流れ。
なぜジュディはグールモンやナチスにここまで執拗に狙われるのか?
アルペンローゼの歌の秘密とは?謎が謎を呼ぶミステリアスな展開。
追跡と逃避行を繰り返すサスペンス感あふれる演出。
歴史大河少女アニメと呼ぶにふさわしい作品と言えます。
しかし、視聴率は正直ずっと低空飛行のままでした。
前番組「よろしくメカドック」が常時15〜6%の視聴率をマークしていたのに対し、
アルペンローゼは最高で9・0%。(ビデオリサーチ・関東地区)
この時間帯はタイムボカンシリーズをはじめ
「ウラシマン」「スターザンS」など、どっちかというと男児むけ番組をやっていた枠。
そこに突然女児向けアニメが始まったのですから、
従来の視聴者にはこれがきっかけで離れた子供も多かったのでは
と考えられます。結局一度も二桁の視聴率に届く事はありませんでした。
この状況にフジテレビの対応は早く、あっという間に打ち切り決定。
2クールに満たない20話をもって、強引に最終回にされてしまいました。
故にこの最終回たる20話、ラスト2分前までは本当に普通の第20話として進行しています。
驚くのはラスト2分…。
驚愕!ラスト2分の最終回!
では、結果として最終話となってしまった20話とはどのようなエピソードだったのでしょうか?
以下に概要を紹介します。
グールモン伯爵は暗殺部隊を街中に張り巡らせ、スイスの英雄ギザン将軍の暗殺作戦を敢行しようとしていた。
しかし、ジュディがラジオを通じて暗殺部隊が潜んでいる事を発言。ラジオを聴いていたギザンは
事の真相を知り引き返し、暗殺は失敗に終わる。
炎のアルペンローゼ スタッフ
製作/吉田健二
原作/赤石路代(小学館「月刊ちゃお」掲載)
企画/井上 明・内間 稔
プロデューサー/前田和也(フジテレビ)・遠藤龍之介(フジテレビ)・大野 実(読広)由井正俊(タツノコプロ)
制作担当/石川光久
シリーズ構成/富田祐弘
文芸担当/庄司菜穂子
チーフディレクター/うえだひでひと
チーフディレクター補/澤井幸次
キャラクターデザイン/高田明美
メカニックデザイン/アンモナイト
オープニングアニメーション作画/湖川友謙
制作協力/読売広告社
音楽/久石 譲
OP/夢の翼(作詞・及川恒平/作曲・久石 譲/唄・コニー)
ED/やんちゃなエンジェル(作詞・及川恒平/作曲・長沢ヒロアキ/唄・コニー)
炎のアルペンローゼ 放映リスト
放送No | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 絵コンテ | 作画監督 | 視聴率 |
1 | 1985.4.6 | 愛・激流への序章 | 富田祐弘 | 澤井幸次 | 澤井幸次 | 浜崎博嗣 | 7.8 |
2 | 1985.4.13 | 光の中の天使 | 富田祐弘 | 貞光紳也 | 貞光紳也 | 佐久間信計 | 8.7 |
3 | 1985.5.3 | 汽笛は死を越えて | 柳川 茂 | 鴫野 彰 | 義野利幸 | 鄭雨英 | 6.6 |
4 | 1985.5.18 | 秒きざみのワナ | 中 弘子 | 茂木知里 | 広瀬ちえこ | 林 隆文 | 6.6 |
5 | 1985.5.25 | 過去を秘めた花園 | 富田祐弘 | 貞光紳也 | 貞光紳也 | 西城隆詞 | 8.8 |
6 | 1985.6.1 | 赤いバラの旋律 | 富田祐弘 | 澤井幸次 | 義野利幸 | 浜崎博嗣 | 8.3 |
7 | 1985.6.15 | 響け! 祖国の空へ | 富田祐弘 | 小林哲也 | うえだひでひと | 佐久間信計 | 7.9 |
8 | 1985.6.22 | 華麗なる逃亡者 | 中 弘子 | 上村 修 | 上村 修 | 林 隆文 | 6.3 |
9 | 1985.6.29 | 剣の騎士ランディ | 柳川 茂 | 貞光紳也 | 貞光紳也 | 水村十司 | 8.2 |
10 | 1985.7.13 | 記憶は別れの朝に | 富田祐弘 | 茂木知里 | 澤井幸次 | 鄭雨英 | 7.5 |
11 | 1985.7.27 | 燃えつきた野望 | 富田祐弘 | 小林哲也 | 義野利幸 | 浜崎博嗣 | 6.6 |
12 | 1985.8.3 | 二人のアリシア!? | 中 弘子 | 澤井幸次 | 澤井幸次 | 井口忠一 | 5.4 |
13 | 1985.8.10 | 聞かせてよ愛の歌 | 中 弘子 | 石山タカ明 | 石山タカ明 | 林 隆文 | 8.0 |
14 | 1985.8.24 | 安らぎにさようなら | 柳川 茂 | 貞光紳也 | 貞光紳也 | 西城隆詞 | 6.4 |
15 | 1985.8.31 | ひとりぽっちのピアノ | 中 弘子 | 貞光紳也 | 茂木知里 | 浜崎博嗣 | 8.2 |
16 | 1985.9.7 | 逃がし屋ハンス | 柳川 茂 | 上村 修 | 上村 修 | 林 隆文 | 9.0 |
17 | 1985.9.14 | パリの殺人鬼 | 富田祐弘 | 貞光紳也 | 貞光紳也 | 浜崎博嗣 | ※ |
18 | 1985.9.21 | 愛の歌が霧の中に | 柳川 茂 | 貞光紳也 | 茂木知里 | 恩田尚之 | 8.8 |
19 | 1985.9.28 | 自由に向けられた銃口 | 中 弘子 | 石山タカ明 | 石山タカ明 | 林 隆文 | 5.3 |
20 | 1985.10.5 | 夢のつばさを広げて | 富田祐弘 | 澤井幸次 | 澤井幸次 | 西城隆詞 | 7.5 |
と、なんとか終了。
本作品は幸い手元に録画テープが残っていたので
最終回の画像をなんとか用意することが出来ました。
打ち切りゆえの突然怒涛のラストだった本作。
そのブツ切り加減ゆえか、作品としては非常にアンバランスなものに
なっており、故に再放送の機会もさして多くないのですが。
80年代はこういう問答無用のぶった斬りラストな打ち切り作品が
ホント多いですよね。
バルディオス・イデオンに始まり、
アクロバンチ・忍者マン一平・こてんぐテン丸・
ドルバック・ガルビオン・レイズナー…
そういう歪で奇異な終わり方をしているから逆に
記憶に残っているというのも皮肉なもので。
では次回。