今回はくくりに苦労しました。
2本とも独立した作品ですが
共通している点も多いので
今回まとめてご紹介
(1972年10月7日〜1973年9月29日) 隆一まんが劇場 おんぶおばけ スタッフ (1973年10月6日〜1974年3月30日) 冒険コロボックル スタッフ
オタッキーな若者のトリップの手段か、
玩具購買層へのPRの場と化してしまった感があります。
しかし、今から30年前には、子供の情操教育の手段として
アニメは作られていた面ももっていたのです。
今回紹介する二本は、作品的には地味ですが、
情操教育の一環として作られた面も持つやさしい作品です。
全52話よみうりテレビ系放映
製作 TCJ動画センター(現・エイケン)
原作は横山隆一氏。いわずと知れた日本漫画界における大人物で、
アニメにも造詣が深く、自らのアニメスタジオ「おとぎプロダクション」も主催されていました。
そのおとぎプロが1955年に作った第1作製作作品が、「おんぶおばけ」。
本作品はそれをベースに日本全国の民話や昔話を取り込んで紹介するスタイルをとっており、
まさに元祖「日本昔ばなし」というべき内容。
当時のTVガイドは
「日本のおとぎばなしを取り入れた漫画シリーズ。変身、怪獣物にどう挑戦するか。」と
本番組のスタンスを危惧していた向きもありましたが、
裏番組と視聴者層が重ならなかったこともあって、人気番組となり、
児童福祉文化奨励賞も受賞する栄誉に恵まれました。
翡翠に戻ったおんぶー
最終回「さようならおんぶー」は、こういうエピソードでした。
おんぶー「ゴンちゃん、永い間ありがとう。ぼく遠いところにいくよ。」
ゴン「まてよおんぶ!おんぶー!」そんな夢を見たゴン。
おんぶーがどこかに行っちゃうかも…?
おんぶーは普通にいます。なあんだ、夢だったのかと
安心したのも束の間、ゴンが街に奉公にいく話が出ます。
「手に職を就けて、一人前の大工になるためにお前は家を出るんだ」
ゴンは気丈に振る舞い「おれ大工になって父ちゃん母ちゃんを楽させるよ」
と言いますが、内心は村やみんなと離れたくない気持ちで一杯でした。
豊年祭の夜。この祭りが終わったらゴンは旅立つ…。
おんぶーはゴンに尋ねます。
「おじいの鍛冶屋で手に職をつけるのも一緒だよ?それじゃダメなの?」
ゴンは寂しさからおんぶーの提案を突っぱねます。「うるさい!」
祭の夜が更けていく…そのとき、
突然の大雨が振り出しました。雨は嵐となって村を襲い始めます。
村の家々は尽く押し流され、人々は山寺の本堂へ逃げ込みますが、嵐は激しくなる一方。
本堂も山崩れで潰れるかもしれない…おんぶーはゴンに最後の質問をします。
「本当の気持ちを知りたいんだよ。おじいの鍛冶屋で手に職を付ける気はない?」
ゴンは遂に本音を吐露します。「…おれ、鍛冶屋のほうがいいよ。本当は村で
みんなといっしょに暮らしたいんだよ…」
おんぶーはそのゴンの言葉を聴き、意を決します。
大嵐を止めるため、おんぶーは嵐の中飛び出します。
氾濫した川の濁流に押し流されて来る流木の山。
山寺の本堂に一斉に押し寄せてきます。身を呈してこれをとめるおんぶー。
薄れゆく意識の中、走馬灯のように今までの想い出が脳裏を巡っていきます。そして―
嵐はおさまり、山寺の村人はみな助かりました。
おじいがその道中で流木に埋もれ事切れているおんぶーを見つけます。
「おまえが村を救ってくれたんじゃな…。」
おんぶーの亡骸を背負い、おじいは川へと向かいます。
「覚えておるかの?わしと初めて会った時の事を…
生まれたばかりのお前は、冷たい石のようじゃった。…丁度今のようにのぉ…」
子供たちも集まり、おんぶーに駆け寄ってきます。
やがておんぶーは翡翠の塊に戻ってしまいます。
川に置かれた翡翠は力尽きたように粉々に砕けて消えてしまいました。
大嵐の去った村は、また平和な村に戻りました。
ちょっと違うのは、ゴンたち子供らが、時々空を見上げるクセが付いたことです。
あの空の向こうから、おんぶーのカエル泳ぎの音が聞こえてくるような気がするのです…
誰もが予想だにしなかったラストだっただけに…。
原作/横山隆一
プロデューサー/堀越唯義・池頭俊考
製作担当/小室常夫
製作進行/小林征史郎
演出/岡田宇啓・高垣幸蔵・村山 徹ほか
脚本/雪室俊一・辻 真先・城山 昇・広井明志
作画監督/角田利隆・小林勝利・金子 勲・山岸
弘・国保 誠
音楽/若月明人(音楽企画センター)
OP/おんぶおばけの歌(作詞・横山隆一 作曲・三保啓太郎/唄・前川陽子)
ED/おんぶはネ(作詞・横山隆一 作曲・三保啓太郎/唄・前川陽子)
キャスト
おんぶー(栗 葉子)
おじー(永井一郎)
おじょー(山本嘉子)
ヒゲジー(北山年夫)
カン(白石冬美)
ゴン(北川知絵)
きぬ(池田昌子)
六さん(大塚周夫)
はな(前田敏子)
三休(北村弘一)ほか
放送No 放送日 サブタイトル 放送No 放送日 サブタイトル 1 1972.10.7 桃太郎はどこにいる 27 1973.4.7 花むこくらべ 2 1972.10.14 ぶんぶく茶釜 28 1973.4.14 ホラくらべ
3 1972.10.21 おはなし泥棒 29 1973.4.21 さるかに合戦
4 1972.10.28 かちかち山
30 1973.4.28 炭焼き長者
5 1972.11.4 小鹿と山姥
31 1973.5.5 力太郎
6 1972.11.11 消えた笠地蔵
32 1973.5.12 かしきの長者
7 1972.11.18 おやおやこうこう 33 1973.5.19 さる神退治
8 1972.11.25 一寸法師のおじちゃんは 34 1973.5.26 三枚のお札
9 1972.12.2 カッパのかめ
35 1973.6.2 おいてけ堀
10 1972.12.9 赤い鳥合戦
36 1973.6.9 古家のむる 11 1972.12.16 空を飛びたい 37 1973.6.16 猫と狩人
12 1972.12.23 びんぼう神
38 1973.6.23 大工と鬼六
13 1972.12.30 青鬼ものがたり 39 1973.6.30 おりゅう柳
14 1973.1.6 アヤニシキの秘密
40 1973.7.7 天人女房
15 1973.1.13 寝太郎とうちゃん 41 1973.7.14 ねずみのお経
16 1973.1.20 すずめのつづら
42 1973.7.21 風の神と子どもたち
17 1973.1.27 鬼の下駄
43 1973.7.28 はなたれ小僧さま
18 1973.2.3 雪おんな
44 1973.8.4 くらげ骨なし
19 1973.2.10 玉手箱のけむり 45 1973.8.11 猫と一文銭
20 1973.2.17 ねずみのすもう
46 1973.8.18 ぼたもち蛙
21 1973.2.24 天狗のかくれみの
47 1973.8.25 オオカミの眉毛 22 1973.3.3 うぐいすの里
48 1973.9.1 似せ本尊
23 1973.3.10 みなとのくい
49 1973.9.8 そこつ六兵衛 24 1973.3.17 おむすびコロリン
50 1973.9.15 うり姫とあまのじゃく
25 1973.3.24 おやすて山
51 1973.9.22 山父のさとり 26 1973.3.31 ききみみずきん
52 1973.9.29 さようならおんぶー
全26話 よみうりテレビ系放映
製作 エイケン
先の「おんぶおばけ」の評判が上々だったことを受けて、
住友生命提供名作シリーズ第2弾として登場したのがこちら。
絵本作家のさとうさとる氏がアイヌ民話を元にして発表した「コロボックル物語」をベースに
アニメーション化。パイロットフィルムでは
原案者さとうさとるのデザインしたキャラで作られていたのですが、
子供たちの反応が今一つだったので、エイケンの作画監督の小林勝利氏が
今風の漫画チックなキャラにリファインし、決定をみたという。
前作同様、こちらも「推薦・中央児童福祉審議会」のお墨付き。
あらすじはこう。
フキの葉の下に住む小さな神様・コロボックル。
勇敢で血気盛んなボックル、おませなラブラブ、おっちょこちょいのクスクスの3人は、
「最近の人間は信心が薄れて俺達が見えなくなっている」と不満。
街に降りてきた3人は「人間をひとり子分にしてやろうぜ」と考える。
そこに出会ったのは中学生の少年・せいたかくん。彼はどういうわけか、
3人のコロボックルの姿を見ることが出来るのだ。
以降、3人のコロボックルとせいたかくんのふしぎな交流が始まった。
前作とことなり舞台が現代なので、話の運び方やセリフ回しにも現代マンガの色が濃く出ていて、
そんな御堅い話もない。
むしろ現代文明にふれたボックルたちが
「これは何だ?」「なぜ人間はそんなことをする?」と言った具合に
文明の謎や理不尽を問い掛けるスタイルになっているのです。
あまり説教臭くも無いので楽に見れる感じですね。
超能力って怖い。
再放送が覚えてる限りでは1、2回しかなかった上にビデオも出て無いので
覚えてる話を言うとー
TVで超能力がブームになってるのをみたせいたかくん。
「ぼくにも超能力があればみんなをビックリさせれるのに」と呟く。
それを聞いたボックルは
「おれたちがせいたかを超能力者にしてやるぜ」と
言い出す。「え?」不思議がるせいたか。翌日、友人達の前で
今から超能力を見せるといきがるせいたか。嘲笑する友人の前で
両手を上げて「超能力ナンバー1!念力!」と叫ぶせいたか。
すると、目の前の物体が中に浮いた!驚く友人一同。
…実は超能力の正体はボックル達。
せいたか以外には姿が見えないので
そっと物を動かしていたのだった。
すっかり有頂天になったせいたかは
ボックル達と結託して次々超能力を回りに見せびらかす。
「もうすぐテレビにでれるかも」と愉悦感にひたるせいたか。
が、ある日突然、せいたかは誘拐されてしまう。
誘拐したのはどこかの教授で、超能力の秘密を探る為に
せいたかを解剖すると言い出す(ひ〜!)。手術台に縛り付けられ、
解剖用の器具が運び込まれる。危うしせいたか!が、事件に気づいた
ボックル達によって、せいたかは救出。悪の教授の野望は潰えた。
「もう超能力はこりごりだよぉ」こうべを垂れるせいたかだった。
オチは日本の伝統芸能というべき「こりごりオチ」ですが、
超能力ものがユリゲラーブームで加熱していたころにもかかわらず、
「もし、本当に超能力を持ったら、行きつく先はここだよ」、と
いうスタッフの冷徹な指摘が心地よい。実際そうでしょうね。
このエピソードみて、超能力を持った後の怖さに気づき
あんましそういうものを欲しがらなくなった幼少の私がいましたし。
最終回は人間抹殺計画?
最終回はたしかボックルの仲間がボックル達を追って街に下りてくる話。
(名前は失念してしまいましたが、クスクス似のやつでした。)クスクス似(とりあえずこの名で統一。)曰く、
「神様である我々コロボックルが人間の手伝いなどすべきで無い」と、
人間蔑視発言を繰返したかと思えば、ラブラブがせいたかに気があると
気づいたクスクス似は嫉妬に逆上。
せいたかの自転車に細工をして、事故でせいたかを殺そうと計画します。
そして、計画どおりせいたかはめでたく事故。
事故がクスクス似の仕業と知ったラブラブは怒り爆発でクスクス似を責めます。
そこに帰ってきたせいたか。せいたかは無事でした。
結果、クスクス似はせいたかに詫びをいれて話は丸く収まりました。
確かこんな話だったと思います。(25年前くらいの記憶ですしねぇ。)
特にボックルとせいたかの別れを描いた最終回ではなかったのですね。
原作/佐藤さとる・絵・村上 勉(コロボックル物語・講談社 刊)
プロデューサー/渡邊米彦・池頭俊考
アシスタントプロデューサー/小野辰雄
製作担当/小室常夫・小林征史郎
演出/渡邊米彦・岡田宇啓・高垣幸蔵・村山 徹・新田義方ほか
脚本/雪室俊一・松元 力・城山 昇・高橋 稔
作画監督/角田 隆・小林勝利・青木 茂・金子 勲・国保 誠ほか
製作協力/トップクラフト・アートスタジオ・ヨヨギスタジオ・
今村プロ・オニオン
音楽/ボブ佐久間
OP/白い風にのって(作詞・ヒロコ・ムトー 作曲・筒井広志/唄・ペギー葉山)
ED/冒険コロボックル(作詞・ヒロコ・ムトー 作曲・筒井広志/唄・ペギー葉山)
キャスト
ボックル(鈴木やすし)
ラブラブ(小原乃梨子)
クスクス(坂本新兵)
せいたかくん(長谷川 諭)ほか
放送No 放送日 サブタイトル 放送No 放送日 サブタイトル 1 1973.10.6 人間さまをテストしろ
14 1974.1.5 ボックル危機いっぱつ 2 1973.10.13 恐怖の黒いかげ 15 1974.1.12 3センチの世界 3 1973.10.20 となりのお願いちゃん 16 1974.1.19 ラブラブがつかまった 4 1973.10.27 きらわれ虫
17 1974.1.26 一発の銃声
5 1973.11.3 さらばせいたか君
18 1974.2.2 七不思議をつくれ
6 1973.11.10 幻の虫をさがせ
19 1974.2.9 悪魔がやってきた
7 1973.11.17 鳩よ飛び上がれ 20 1974.2.16 クスクス大手柄
8 1972.11.25 洞くつのさけび声 21 1974.2.23 必殺の対決 9 1973.12.1 消えたキラキラ石
22 1974.3.2 チャーミングなライバル 10 1973.12.8 いたずらっ子の詩
23 1974.3.9 せいたか君がふたり
11 1973.12.15 走れ!スケート靴
24 1974.3.16 がんばれD51
12 1973.12.22 けらいは大物
25 1974.3.23 ふしぎな力
13 1973.12.29 大追跡作戦 26 1974.3.30 山は大騒ぎ
もうすぐHP開設2周年。
開設以来ずっと継続してるこのコーナーも40の大台がみえてきた。
次回はなにしようかな。