おかげさまで30回目。よく続きました〜。
夏も真っ盛り。今年の夏はいかがお過ごしですか?
海に行きたいと思いませんか?という強引な繋がりで
今回は海を渡ったネズミ達の冒険のお話。

ガンバの冒険

1975年4月7日〜1975年9月29日 
全26話
日本テレビ系放映・製作 東京ムービー



ガンバ


児童文学の名作のアニメ化
原作は斎藤惇夫作の児童文学作品『冒険者たち〜ガンバと十五匹の仲間』。
島に住む島ネズミ達が白イタチ・ノロイに全滅させられそうになっているのを助けるため、
街ネズミのガンバが仲間を率いてノロイと戦うというもの。
この原作を出崎 統・小林七郎・芝山 努・椛島義夫といったスタッフがさらに昇華させ、
比類無き傑作に仕上げました。


あらすじは…
海がみたい-
街ネズミのガンバは幼馴染のボーボを連れて港にきました。
港では船乗りネズミ達のどんちゃん騒ぎ。ガンバ達も混じって大暴れ。
が、そんな楽しいパーティに 傷だらけの子ネズミが辿りつきます。
少年の名は忠太。
島がイタチの集団に襲われて全滅寸前なので、
他のネズミに救いを求めてやってきたのです。
最初は男気に任せて協力を約束する船乗りネズミ達。
が、イタチが「白い悪魔・ノロイ」と聞いた途端 状況は一変。
「ノロイなんかに勝てるわけがない!俺はおりた!」
皆、恐れをなして逃げ出してしまいます。
絶望に伏せる忠太に、ガンバとボーボが一緒に島に行くことを約束します。
やがて船乗りネズミのヨイショ、ヨイショの参謀役のガクシャ、医者でもあるシジン、
更には賽降りネズミ・イカサマも仲間に加わります。
ここにしっぽに賭けた七匹の冒険者が集結。
ノロイのいるノロイ島に向けた冒険の旅が始まります。

ガンバと仲間たち。(左からボーボ、ヨイショ、ガクシャ、シジン、忠太、イカサマ、ガンバ)


原作とアニメとの違い
原作は基本的にノロイとの戦いが物語の中心を成しています。
したがってストーリーの流れは仲間の結集から、
目的地ノロイの島まで結構スムーズにいってます。
白イタチ・ノロイ。催眠術も使えます。アニメの場合は少し違いまして、
原作同様の展開は1〜3話と19話〜26話。
つまりノロイ島に行くまでの4話〜18話は
アニメオリジナルのストーリーと
いっても過言ではありません。
(26話分のストーリーを作るためには原作だけでは
足りない、というのもあったのでしょうが。)
この4話〜18話は旅の道中にガンバと仲間たちが
いろんな冒険を通じて新たな仲間、友達を
作っていくエピソード。
例を挙げると高倉ネズミの一郎、
オオミズナギドリのツブリなど。
これらキャラクターとの確執や争いを経ての和解、
結束をキチンと書いたからこそ、
後半ノロイとの対決で皆、力を貸してくれる
展開に燃えるのです。
また、オリジナルエピソードに挟み込まれたものに
「人間文化をネズミ視点で見る話」も結構多く、
印象に強いです。
夏祭りにガンバ達がまぎれこんで、夜店のオモチャに
興味を抱いたり、お菓子を失敬したりというのが
見てて可笑しかったなぁ。
また、傷を負ったガンバが山小屋の管理人に助けられて、
シチューを食べさせてもらうシーンは妙に印象に残ってます。
人間はグレー一色で表現されてるから、
背景と同じ扱いなんですが、
この管理人さんが良い味出してるんですよね。
アニメオリジナルのストーリーは、こういう風に ガンバ達が
島に辿りつくまでに、キャラクター性をより明確かつ
彫りの深いものにするために、
最大限機能していたと言えます。
ここで各キャラクターの個性を時間かけて熟成させたからこそ、
後半の殺伐としたノロイとの死闘が活きてくるのですから。


出崎 統と「ガンバの冒険」
演出を担当した出崎 統氏は虫プロ出身の実力派アニメーター。「どろろ」「あしたのジョー」で
写実的な感覚をアニメに持ち込んだ功労者です。その研ぎ澄まされた感覚は
のちに盟友・杉野昭夫氏と手掛けた「家なき子」「宝島」で、いわゆる出崎演出というべき独特の演出法を
確立し、不動のものにします。その萌芽ともなったのが「ガンバの冒険」とは
言えないでしょうか。紗の入った作画、動画からワンカットで劇画に切り替わる独特の引き、
止め絵に透過光やカクテル光線を合成する印象的な画面、
全体は止め絵で、目の光や髪だけがユラユラ動くハーモニー止めなど、
後の出崎作品で名詞代わりに使われている演出手法が、ガンバでは早くも試されています。
(とはいえ、まだ試行錯誤の面も見える為、「宝島」ほど完成されてはいませんが。)
さて、そんな出崎監督はTVシリーズ「ガンバの冒険」で、
一番印象に残ったエピソードは何か?というと、
ノロイとの決戦では無く、意外と旅の道中・カラス岳を超える話なんだそうです。
以降,LDボックスのインタビューから抜粋です。

ガンバ画像その2



「仲間達がカラス岳を越える時、リーダーを替わりばんこにやりながら降りていく話がありますよね。
海を見たいとか、飛行機雲見たりとか、山小屋の話とか、
それなりに思い込めてやった部分は他にもあるんですけど。
連中がリーダーごっこをしながら行く話は、自分でも意識してなかったんだけど、
「これをやるために、「ガンバ」をやったのかもしれないな、やってて良かったな」と思いましたよね。
 リーダーが替わりながらね、「リーダーとは何なんだ」と追っていく時に、
「これ、ひょっとしてテーマだったんだなあ」という事を、実感しましたね。
「本当の仲間って何なんだろう」って。
仲間というのは、きれい事でやっちゃえずに、お互いをよく知って、
素直に最低条件認め合っていないと、実際の話、成立しないんだと。
欠点をカバーするとかいう事じゃなくて、その人がどういう人かという事を周りが理解して、
ダメならダメと言ってあげる。でもそれは「ダメ」と言えるだけの愛情と
お互いに信頼しあってるんだよというコンセンサスがないと言えないでしょ。
喧嘩になってもの別れしちゃうわけです。
喧嘩はするけども、「でも、コイツ好きだな」と思うところの基本のコンセンサスって何だろうって。
それがあれば、リーダーなんて要らないんだと。その時の役割でみんなが譲っていけばいいんだと。
それは自然にやればいい事であって、基本はお互いに、その人の欠点も長所も認め合って、わかり合って、
次にコイツが何をするかもわからないんだけど、何をしても
「コイツは俺の友だちだぞ」という思いをね、しっかり持たないと。
 今のいじめとは全く逆の発想なんだけども、何事も認め合う土台が出来た仲間、
チームは強いんじゃないかと。個人個人が生きてくると言うのかな。
僕は独りよがりの人間だから、なかなか人と協調できないんだけど、
自分でも「ああ、そうなんだな、そういう事になったら確かにいいよなあ」と思いましたね。
自分にとってはすごく深い意味があったんですよ。
この仕事をやってて良かったな、と思った話ですよね。」

殺戮者ノロイとネズミの関係
さて、長い苦難の末,ようやく忠太の故郷、
いまやノロイ島となった希望ヶ島にガンバ達は乗り込みます。
が、いきなりイタチ達の猛襲。
ガンバ達は来た時の勢いは何処へやら。
逃げるので精一杯という厳しい現実を
付きつけられてしまうのです。 島の奥から余裕の声でノロイが歌います。
「まだ殺すな。何時でも殺せる。
ゆっくり殺そう。楽しく殺そう。
うすぎたないネズミたちを。」

力の差に愕然とするガンバ達は
地団駄を踏むしかありません。
ノロイはおろか、手下のイタチ1匹さえ、
七匹がかりで戦って
全く歯が立たなかったのですから。
ノロイ対ガンバ達。そんなイタチが少なく見ても100匹以上。
その中心に控えるのが全身凍れるような
白毛に身を包んだ死神のようなイタチ・ノロイ。
彼はネズミを皆殺しにする事を宣言し、
島全体を屠殺場に変えていきます。

さて、この物語におけるノロイの役割は実に明快です。
ノロイがネズミを殺すのは、
食物連鎖の関係でもなければ、
怨恨・因果関係も一切ありません。
ノロイにとってみれば、ネズミを殺すことが最高の快楽-
もっとあからさまに言うなれば、
ネズミを虐殺するためだけに
ノロイはこの世に生まれてきた…
そういうキャラクターとして
設定されているのです。
それ故、ノロイらイタチには
迷いや戸惑いは一切ありません。
恍惚の表情で嬉々としてネズミを殺し、
カカカと楽しそうにに微笑む悪魔。
戦いにおいて、「話せば解ってくれる」とか、
「向こうにも言い分がある」という逃げ道も、
ノロイには一切通用しません。
ガンバ達にとってノロイは絶対倒さなければならない、
乗り越えねばならない完全なる「敵」なのです。


死闘と最後
やっとのことでイタチから逃れたガンバは、偶然入った洞穴で忠太の姉、潮路をみつけます。
島に残ったネズミはイタチの近づけない火口付近の岩場に避難していたのです。
島ネズミが大量に生き残ってるのを知り、怒ったノロイは軍団で岩場を包囲。
連中を砦に封じ込め、兵糧責めにします。次第に飢えて苦しむネズミ達。
さらにノロイは人質作戦をとり、人質と引き換えに砦の貯蔵食料を捨てさせます。
極限の飢餓状態に発狂寸前のネズミたちは砦を捨て、海に逃げます。
しかし追い詰められ、入江の洞穴に逃げ込みます。
飢餓状態のネズミに食料を見せ付け、おびき出しをかけるノロイ。
洞穴に篭っていてもいずれ総攻撃をくらえば全滅です。
次々と死んでいく仲間。島ネズミの長老もイタチから受けた傷で息を引き取ります。
弔いに島の伝説の歌を歌う潮路。
「娘欲しけりゃ 泳いで渡れ 年に 一度の 早瀬川…」
唄を聞いたガクシャはこの唄の秘密に気づきます。
年に1度、月の満ち欠けで潮の流れが穏やかになり、普段は渦潮の海が泳いで渡れる時期がある。
それが偶然にも今夜!洞穴のネズミは潮のおさまりを待って、隣の島に逃げる事に。
しかしそれに気づいたノロイは軍団を出撃、海を泳ぐネズミを皆殺しにせよと命じます。
ガンバ達は最後の作戦に打ってでます。イタチを引きつける囮になって、海の中心で時間を稼ぐ。
つまり、潮がふたたび渦潮になるまで…。
イタチ軍団諸共渦に巻かれよう、これしかノロイに勝てる手段は無い…。

計画は成功し、次々と渦に飲まれるイタチの群れ。
ガンバ達を助けにツブリ達オオミズナギドリ達が空から救出にきます。次々に救出されるネズミ達。
しかし、ガンバはノロイに噛みついたまま、共に渦に飲まれ、消えていきました。

イタチは全滅し、ネズミ達に平和が戻りました。が、仲間の輪にガンバはいません。
涙を堪えて、ヨイショが呟きます。
「俺達は勝ったんだ…。正々堂々と戦って、俺達ネズミはイタチを全滅させたんだ…。
大勝利さ。万万歳さ!こんなめでてぇ事はねえ。こんなに嬉しい事はねぇ…。
なあガンバよ……ガンバよ〜!」

哀しみに暮れる海岸線に、一匹の物陰が歩いてきます。
うっすらと光るその影に、イカサマが声を上げます。
「の……ノロイだ!」手負いの傷を負い、怒り狂ったノロイの姿。 怒りと狂気の形相凄まじく。
パニックになるネズミたち。逃げるネズミをノロイは次々殺していきます。
しかし、ノロイの首にはガンバが。執念で噛みついていたのです。
ノロイに次々噛みつく七匹の仲間。 朝日の中、断末魔を上げて遂にノロイは絶命します。

ノロイの最後

ヨイショ「みろガンバ。最後だ。ノロイの本当の最後だ」
高波に飲まれた悪魔の死骸は再び渦の中へ消えていきました。
そしてガンバ達は忠太に別れを告げ、新たなる冒険の旅に出航します。
最後、シジンが詠った詞が、番組のラストを飾ります。
「こんなにひろーい海。
こんなに大きい海。
海、海、海、海、海…
わたしたちは小さなネズミです。
だから余計解るのです。
この素晴らしい広さが、
この素晴らしい大きさが。
おしっこしても、許してくれますね?
大粒の涙を流しても、許してくれますね?
私達は旅を続けます。見ていて下さい。
私達の小さな、小さな冒険を。」


と、いう何とも言えない余韻を残してシリーズは幕を下ろします。
ガンバの冒険はその後ミニシアター系にて
「冒険者たち〜ガンバと7匹のなかま〜」という題で長編映画になって
公開されています。
仲間との出会いとノロイとの戦いに絞った展開なので
こっちのほうが原作に近い展開で、大変スピーディなのですが、
個人的にはその道中の冒険や、
人間文化の触れ合いの話等に思い入れがあるので、
正直、劇場版は物足りません。やっぱりガンバを堪能するには
全話通してみて欲しいです。
ちなみにその後作られた新作映画「ガンバとカワウソの冒険」は
未見なので今回は割愛。

ガンバの冒険 スタッフ
原作/斎藤惇夫(アリス館牧新社刊「冒険者たち」より 絵本・ガンバの冒険シリーズ)
企画/吉川 武
プロデューサー/上野 徹・楠部三吉郎
画面設定・レイアウト/芝山 努
絵コンテ/さきまくら(出崎 統)・吉田茂承・御廚恭輔・竹内啓雄
脚本/金子 裕・馬嶋 満・大和屋竺・吉川惣司・高屋敷英夫・竹内啓雄
作画監督/椛島義夫
美術/小林七郎
製作協力/Aプロダクション・東京アニメーションフィルム・映音・東京現像所

音楽/山下毅雄
OP/ガンバの冒険(作詞・東京ムービー企画部 作曲・山下毅雄 /唄・すぎうらよしひろ)
ED/冒険者たちのバラード(作詞・東京ムービー企画部 作曲・山下毅雄 /唄・すぎうらよしひろ)




ガンバの冒険 放映リスト

放送No放送日サブタイトル脚本
1975.4.7冒険だ海へ出よう!馬嶋 満
1975.4.14ガンバ、船で大暴れ 馬嶋 満
1975.4.21忠太を救え!大作戦 金子 裕
1975.4.28嵐にやられてメッタメタ金子 裕
1975.5.5なにが飛び出す?軍艦島馬嶋 満
1975.5.12たのしいたのしい潜水艦金子 裕
1975.5.19ぶきみなぶきみな黒い影 金子 裕
1975.5.26ボーボが初めて恋をした金子 裕
1975.6.2黒ギツネとの苦しい戦い 吉川惣司
101975.6.9かじって別れた七つのイカダ 高屋敷英夫
111975.6.16ぺてん師トラゴローを追え! 高屋敷英夫
121975.6.23祭りだ喧嘩だ大騒動金子 裕
131975.6.30特訓!!モーモー大作戦 金子 裕
141975.7.7襲いかかる猟犬の群れ大和屋竺
151975.7.14鷹にさらわれたガンバ大和屋竺
161975.7.21魔のカラス岳を登れ! 竹内啓雄
171975.7.28走れ走れノロイは近い吉川惣司
181975.8.4奇妙なふとったネズミたち高屋敷英夫
191975.8.11闇に潜むオオミズナギ鳥金子 裕
201975.8.18白イタチノロイを見た! 金子 裕
211975.8.25涙にぬれた13の瞳
金子 裕
221975.9.1海を渡って来た仲間高屋敷英夫
231975.9.8裏切りの砦吉川惣司
241975.9.15白い悪魔のささやき吉川惣司
251975.9.22地獄の岩穴大和屋竺
261975.9.29最後の戦い大うずまき大和屋竺

キャスト
ガンバ(野沢雅子)
忠太(菊地絃子)
ヨイショ(内海賢二)
ガクシャ(富山 敬)
イカサマ(堀 絢子)
ボーボ(水城蘭子)
シジン(島田彰)
ノロイ(大塚周夫)
(ガンバの冒険ではクレジットタイトルに7匹のネズミ達以外の声優は一切表記されませんでした。
 故に他の声優に関しては詳細不明です。御了承下さい。)


と、今回も無事終了。この記憶のかさブタ、
結構長く続いてますね。もう30回かぁ。(遠い目)
次回は決定次第お知らせします。それでは。

戻る  過去ログ

   inserted by FC2 system