アクションと少年ヒーローエッセンスの加味
第一話のあらすじはこんな感じ。
世界のどこかにある平和な島「ナンデモランド」。 そこで洋裁を営む母、ニーナと住むわんぱく少年ジム。 正義感は強いものの暴れん坊で学校嫌い。いつも学校をサボっては、 発明家のルーカスが作った笛で操る蒸気機関車「エマ」に乗せて貰って遊んでいた。 だがルーカスがエマを作ったのは理由があった。 北方の山奥に住み、目覚めれば世界を不幸に陥れるといわれる 悪の帝王・魔神ドリンガーに対抗するためだった。ルーカスの予感は的中した。
ドリンガー軍団の刺客・海賊キャプテンキッドがナンデモランド上空に現れ、 石化爆弾で攻撃を始めたのだ。ジムはドリンガーの襲来を伝えようと ルーカスの工房に飛び込んだが、目前には石化したルーカスが哀れな姿をさらしていた。
さらにキャプテンキッドの部下ブラックが魔法銃で子供達を動物に変え、 ガールフレンドのポッコも小鳥になってしまった。
ナンデモランドは一瞬にしてドリンガーによって蹂躙されてしまったのだ…。
更にドリンガーはニーナの洋裁の腕に目をつけ、ニーナに妖力を発生出来る服を作らせるべく、 配下のコウモリ男爵にニーナをさらわせた。
全てを奪われ、母も攫われたジムは、憔悴の中、伝説のボタンのことを思い出す。 自分の家に代々伝わる不思議な力を持つボタン。ジムはこのボタンを胸に、小鳥に変えられたポッコと、 自我を持つ機関車エマとともに、母親を取り返し、魔神ドリンガーを退治するための旅に出る事となった。
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第一話を見るとヒーローもの的な要素がてんこ盛りなのが解ります。
絵柄こそサザエさんや冒険コロボックル的ですが
内容はヒーローモノ好きなら燃える展開です。エマは最初から対ドリンガー用の決戦兵器として
造られた戦闘機関車。さらに部下ブラックが魔法でジムを機関車に変えようと発射した魔法銃の弾が
エマにうっかり命中した結果、自我を持つ様になったという設定なわけで、
正義の技術と悪魔の魔力が合体して生まれた超兵器(おおカッコイイ!)。
このエマ、なかなか頼りになりまして、ジムのピンチを
飛び込んで救いに来たことも何度もありますが、
ドリンガーがエマを解体しようと部下を差し向けて
解体工場にエマを運び込み、いざ、解体開始!と作業始めた途端
エマが暴れて自力で解体を阻止するなんて場面もありましたし。世話要らず。やるなこの汽車。
ジムのもつボタンは具体的にどういう力かは説明されていませんが
付けている者の潜在能力を高める力が有るのだそうです。
ボタンをグーで握ったまま悪人にパンチすると子供のジムでも
レスラークラスの悪人を一発でノックアウト。こういうのって子どもは見てて燃えるんですよね。
ジムのボタンのおもちゃって当時出てたのかな?
半年で終了&なぜかソフト化されません。
当時的には人気があり、私も結構夢中になって見てました。
ゆえに視聴率的にはかなり善戦したようですが、
ここで日本のテレビ史における一大事件により、
ジムボタンは終了してしまうのです。それは、「腸捻転問題」。
当時東京と大阪のテレビネットは今と異なり、
TBS(東京)−ABC(大阪)、NET{現テレビ朝日}(東京)−MBS(大阪)
という形になっていました。
なぜこのようなねじれ現象が起きてしまったか。歴史を紐解くと、
1957年当時、まず開局したばかりの大阪テレビが
KRテレビ(後のTBS)とネット提携。
1958年に大阪テレビは2つに分裂し、朝日放送(ABC)と毎日放送(MBS)に別れます。
朝日放送(ABC)はそれまでどおりKRテレビ(TBS)とのネット関係を持続。
毎日はネット局がないまま待っていると1959年に東京でNETテレビが開局。
コレ幸いとネット関係を繋げます。が、
朝日新聞系列と毎日新聞系列が東京と大阪でテレコになってる状態はやがて支障をきたすことになり、
同じ系列にし直そうということで、1975年4月より
TBS−MBS、NET−ABCという形に再編成される事になったのです。
コレに伴いネットしていた人気番組が
他局に取られる&番組を終了させられるという悲劇が随所でおこりました。
ジムボタンも提携解消によるTBS系へのネットチェンジで、放送枠の確保が困難となり、
2クールに短縮され、予定よりも駆け足で終了ということになりました。
では、ジムボタンのその後の展開はというと、
旅は後半に行くにしたがって熾烈を極め、次々とドリンガーの送り込む刺客、
そして刺客に洗脳された街の人々を
相手にジムとエマは
孤独な戦いを繰り広げていきます。(なかなかハードだ。)
やがてポッコは魔法が解けてもとの少女に戻り(地下の鍾乳洞みたいなところで
魔法解けるんですよね。鍾乳石の柱に小鳥のポッコが
ふっと隠れたら、
次の瞬間女の子に変わって出てきた、って記憶があるんですが。)、
いよいよドリンガーとの最終決戦!
最終回はジムがドリンガーの本拠・ドリンガー城にたどり着き、
母親を助け出そうと戦いを挑みます。が、ドリンガーは洋裁の達人の母に
魔力を増幅させ、相手の攻撃が一切通じないマントを作らせ、それを着込んでジムに挑みます。
ボタンパンチもボタンシュートも一切効かない、エマの火炎放射も受け付けない。
ドリンガーは悪の勝利を高らかに謳いつつ、ジムに攻撃を加えます。もうダメか、ジムの最後か。
そんな窮地のジムをみて、母がマントの弱点をポッコに伝えます。
(ポッコが飛んでマントのヒモを解いたんじゃなかったかな?記憶が曖昧。)
そこをボタンシュートで攻めるジム。マントは取れ、ドリンガーの力が半減したところにジムの猛反撃!
ついにドリンガーは倒れ、母を救い出したジム。街の人々も元に戻り、
長い戦いの日々は遂に終わったのです。
本作品はその後幾度と無く再放送もされ、
世代人には認知度の高いアニメーションなのですが、
80年代中盤ごろにはほとんど映像を見なくなりました。
東映ビデオから発売されたTVアニメ主題歌全集8エイケン編のビデオにも
何故かジムボタンは収録されておりません。原作者の権利が取れなかったからでしょうか?
(LD版には収録されていたと聞きますが、詳細は不明)
また、本編映像もその後一切VHS、DVDともにソフト化されておりません。
原作の大幅なアレンジにクレーム?
ジムボタン スタッフ
原作/ミハエル・エンデ
(『ジム・ボタンの機関車大冒険』講談社 刊より)
プロデューサー/渡邊米彦・小野辰雄
チーフディレクター/おのきよし
製作主任/小林征史郎
演出/渡邊米彦・岡田宇啓・高垣幸蔵・村山 徹・新田義方ほか
脚本/雪室俊一・松元 力・城山 昇・高橋 稔
作画監督/角田 隆・小林勝利・青木 茂・金子 勲・国保 誠ほか
製作協力/トップクラフト・アートスタジオ・ヨヨギスタジオ・
今村プロ・アドコスモ
音楽/越部信義
OP/ジムボタンの歌(作詞・保富康午/作曲・越部信義/唄・堀江美都子&こおろぎ'73)
ED/ポッコちゃんがすき(作詞・保富康午/作曲・越部信義/唄・堀江美都子)
キャスト
ジム(太田淑子)
ポッコ(松尾佳子)
魔神ドリンガー (観世栄夫)
ニーナ(北浜晴子)
ほか
ジムボタン 放映リスト
放送No | 放送日 | サブタイトル | 放送No | 放送日 | サブタイトル |
1 | 1974.10.4 | 海賊キャプテンキッド参上!
| 14 | 1975.1.3 | はばたけ白鳥!ジムの国へ
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2 | 1974.10.11 | 機関車エマ号ばく進だ!
| 15 | 1975.1.10 | 謎のゆうれい船
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3 | 1974.10.18 | 怒りのボタンパンチ!! | 16 | 1975.1.17 | 涙のボタンパンチ!
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4 | 1974.10.25 | 命中!燃えるボタンシュート | 17 | 1975.1.24 | のびろよ!のびろ!高い鼻
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5 | 1974.11.1 | 危うし!死刑台のジム
| 18 | 1975.1.31 | ゴー!ゴー!エマ号大脱走
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6 | 1974.11.8 | エマ号連結体あたり作戦
| 19 | 1975.2.7 | 海賊キャプテンキッド空中戦
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7 | 1974.11.15 | 砂漠のニセ巨人
| 20 | 1975.2.14 | ポッコの魔法が解けた?
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8 | 1974.11.22 | 妖怪サタンをやっつけろ!
| 21 | 1975.2.21 | 不思議な人形つかい
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9 | 1974.11.29 | ドリンガー城のひみつはなに?
| 22 | 1975.2.28 | エマ号の激流つな渡り |
10 | 1974.12.6 | 魔法のブーメランがとぶ!
| 23 | 1975.3.7 | こうもり男爵の最後
|
11 | 1974.12.13 | がんばれエマ号追跡だ!
| 24 | 1975.3.14 | ドリンガー城へ全速前進!
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12 | 1974.12.20 | ポッコの大ピンチ!
| 25 | 1975.3.21 | でてこい!!魔人ドリンガー |
13 | 1974.12.27 | 馬人ダマカスをだませ!
| 26 | 1975.3.28 | 死闘!ジム対ドリンガー最後の対決 |
と、今回も終了。
さすがにペースが年1〜2回と落ちてきてる。限界来てるなぁ。
記憶のかさブタもかれこれ8年やってきましたが、
昔と違い結構なマイナー作品も商品化・CS放送されてるし、
もっと詳しいサイトも次々設立されてるから、
そろそろ一区切りもいいのかも。
まあその辺は取り上げたいネタが出たら
という事で。ではまた次回。