サザエさん除くとフジの日曜18時〜18時半枠くらいになっちゃったのかなぁ。
(ウラシマン→あんみつ姫の間、2年のブランクはありましたけど)
今やアニメは早朝&夕方か深夜に見るものという定義になりつつあるから。
今回はそんな日曜18時枠に放送されていた
こちらの下町人情野球アニメがお題。
一発貫太くん
1977年9月18日〜1978年9月24日 全53話
フジテレビ系放映・製作 タツノコプロ
がむしゃら家族少年野球チーム奮闘記
あらすじはこんな感じ。
8人兄弟(男6・女2)を抱える大家族・戸馳家。 父親はプロ野球選手でしたが、試合中の事故(ヘッドスライディングによる怪我)で還らぬ人となり、 今は妻であり兄弟の母・久美子が女手ひとつで家計を支えていました。 8人兄弟の三男坊・貫太は野球がやりたくして仕方がなかったのですが、 父親が野球で死んだこともあって母は兄弟に野球を一切禁じていました。 母に気を使って、隠れて野球の練習をする貫太に 次第に母も心動かされ、やがて野球は解禁。 貫太の野球に対する想いは次第に家族や周囲の人々を巻き込み、 大きなうねりになっていき、やがて戸馳一家の兄弟は少年野球チーム「戸馳ホーマーズ」を結成。 兄弟たちは時には喧嘩を、時には挫折を繰り返しながらも 練習や試合を通じて絆を深めていくのでした。 |
タツノコ的がんばれベアーズ(下町人情喜劇成分濃い目)
当時の時代背景を見てみると、映画「がんばれ!ベアーズ」がヒットしていた時期でもあり、
それまでのスポ根野球ものとは違う「おちこぼれ少年たちががむしゃらになって戦う」というスタイルがウけ、
日本でも「がんばれ!レッドビッキーズ(東映)」「がんばれぼくらのヒットエンドラン(日本アニメーション)」
といった作品が制作・放映されました。本作品はその一連の作品では最も早い一本で、
過去タツノコプロが手掛けた「いなかっぺ大将」や「てんとう虫の歌」の
エッセンスを加えたオリジナル作品。どこか高度経済成長期を匂わせるような庶民的泥臭さのにじむ下町を舞台に、
下町人情喜劇のエッセンスが濃く出た演出・シナリオに乗せて
「ポールのミラクル大作戦」「風船少女テンプルちゃん」で知られる
下元明子さんの愛らしいキャラががむしゃらに躍動しています。
鳥海尽三(企画)
最後に吉田竜夫さんと一緒に進められた企画というと?。
「一発貫太くん」の頃ですね。あそこまで。
いや、これもね、代理店が会社まで来て
「根性ものでないスポーツものをやりたい」
って言うから「ギャグでいいか?」って。
じゃあ野球やるか、と。
野球もドラマだっていうんでね。作ったんです。
一発貫太くんのあと、間もなくタツノコを去られるわけですが…
(竜夫さんが)亡くなってしばらくして、
「ああ、ここにいてもしょうがないな」と思ったし
もっといろんな事がやりたくなったんですよ。
だけどね、吉田竜夫が亡くならなくても
僕はいずれはいなかった。段々思うような
事が出来なくなってきたしね。
そらあ10年以上やってきて、物書きだったら
他に(場を)求めたいと思うでしょ?
このままじゃいかんな、と。
タツノコプロインサイダーズ(2002.12.20発行 講談社刊)39頁記事より抜粋
押井守くんの思い出/笹川ひろし(総監督) |
「一発貫太くん」は父を亡くした八人兄弟と一匹の犬が 母を監督に野球チームを結成して元気に世間の荒波と戦っていくという 人情味豊かな野球ホームドラマだ。 このアニメで高田明美さんがキャラクターデザイナーとしてデビューを飾っているが、 押井守くんも本作で正式な演出家デビューをしている。(中略) 彼はタツノコプロに来る前はラジオのディレクターをしていたとかで、 アニメファンという訳ではなかった。 頭の良さそうな感じは受けたが、 果たしてアニメの演出なんかに興味がわくのかなと私は思った。(中略) (試しに最初にやらせたのが)「ヤッターマン」のゾロメカの戦闘シーンの絵コンテで、 上がってきた押井君のコンテを見て呆然としてしまった。 「なんだ?このボウフラののたうちまわったみたいな文字は?」 画風と言ってしまえば絵のほうはなんとかいただけるのだが、 文字が判別に困るというか、虫メガネが欲しくなるほど超小さかったのである。 しかし、重要なのはギャグのアイディアだ。 この点、押井君のコンテは実に的を射ているのだ。「こりゃあいい!グーだよ!」といった具合で、 次の話のゾロメカシーンも作戦会議に加えた。 そんなことをしばらく続け、六か月後くらいには一本の作品を絵コンテの段階から すべて任せていたと思う。(中略) 当人にとっては苛酷な試練だったと思うが、 私としては早く一人前の演出家になってもらいたいと願っていたのだ(中略)。 彼は1979年にタツノコを退社。入社して僅か2年という短いタツノコ勤務だった。 フリーになった彼はその後「うる星やつら」のチーフディレクターとして大活躍し、 一躍注目を集める。(中略) 私は彼のさらなる研鑽に心から期待している次第である(後略)。 笹川ひろし著「ぶたもおだてりゃ木に登る〜私のマンガ道とアニメ道〜」 (2000.9.11発行 ワニブックス刊)179〜189頁記事より抜粋再構成 |
貫太・ホーマーズの目指すもの、そしてその先は
まあ、改めて見ると貫太がとにかく間が悪い&ツイてない&調子に乗るという、
三拍子そろったトラブル誘因キャラなんで、事あるごとに余計なトラブルを引っ張り込んできます。
さすが「いなかっぺ大将」のラインのキャラというか、間と運の悪さは大ちゃんの血統。
シナリオ的にはありがたいキャラなんでしょうが、視聴者的には見ててイライラしましたね。
「なんでそんなキラーワード口走って最悪の展開に持ち込むねん!」とか
「なんでわざわざ地雷踏むような行動を率先してやんねん!」という具合。
一年間の放送を全うするためとはいえ、
貫太が出しゃばらなければもっとすんなり野球に専念出来ようモノを…と言うだけ野暮ですか。
そんなことはスタッフも百も承知。1970年代の人情ギャグマンガですからね。
物語は野球を通じて次第に貫太もホーマーズも実力をつけていき、
ライバルたちとの切磋琢磨(シルバーフォックスのキャプテン・郷則久が代表格ですね。
エースで大富豪の御曹司で美形で女子にモテモテ…。昭和においては「金持ち」は怨敵フラグなのです)を経て、
成長していくのです…が、所詮ホーマーズは草野球チーム。
リトルリーグの参加資格を有していないため、どんなに頑張っても日本一の栄光にはたどり着けないと
貫太はふてくされてしまいます。(アパッチ野球軍もなんか同じような目にあってたなぁ)
そんな折、朗報が。草野球、リトルリーグに限らず誰でも参加できる「ジュニアグラスリーグ大会」が行われることを知り、
日本一の目標が出来たことに奮起する貫太(解りやすい子だね)。
ところが、すんなり事を運ばせないのがタツノコアニメ。いろんなトラブルがホーマーズに襲い掛かってきます。
なかでも犬の十兵衛が選手なのは規定違反と判断され、ホーマーズが出場停止処分を食らう展開は、
「今になってなにを言うのだ」と言いたくなりましたが。
最終回「白球よ!大空高く」 |
遂に来たジュニアグラスリーグ大会決勝戦。相手はハリケーンズ。 エースの嵐山はプロの投手が直々に仕込んだという無敵の必殺魔球 「ハリケーンシュート」で勝ち上がって来た強豪中の強豪。 あまりに凄まじいハリケーンシュートを目の当たりにして 「あんな球打てるわけが無いッチ…。」と、すっかり貫太は戦意喪失。嵐山を恐れるあまり、 決勝戦を仮病で欠場しようかと考える始末。(ここまできて、またかよ) そんな彼をはげましたのは犬の十兵衛。 シルバーフォックスの郷に頼んで一緒に特訓をしてくれないかと考え頼みに行くも、 間の悪い事に郷はインフルエンザで療養中。 不安を払拭できず、自信も喪失した状態でテンションだだ下がりの貫太は、 怯えた状態のまま決勝戦に挑む事に(この運と間の悪さが貫太なんですが)。 試合は嵐山がハリケーンシュートでホーマーズ打線を完黙させ、0−1のまま最終回。 同点のランナーが出て、最後の打席に立つ貫太。 しかし完全に意気消沈した貫太は弱音を吐く。 「ダメなんだッチ。どうしても…打てない…」 怯えきった貫太に兄の一郎が檄を入れる。 「三振してもいいから、思いっきりバットを振ってこい!」 兄妹全員が貫太を励ます。監督の母が貫太に語りかける。 「勝っても、負けても、悔いの無い試合をするのがホーマーズだろ…?」 目から涙があふれ出す貫太。何かが吹っ切れた。 意を決しバッターボックスに立つ貫太にもう迷いは無かった。 嵐山のハリケーンシュートを渾身のスイングで打ち返す貫太。打球はフェンス直撃の長打! 中継で帰ってくるボール。一人ホームイン、同点! 貫太が帰れば逆転サヨナラ!バックホームの送球に、貫太は決死のヘッドスライディングを行った! 母の脳裏によぎる父の事故死の瞬間!時間が止まった。 ホームベースには一瞬早く貫太の手が。 ランニングホームランでホーマーズ逆転勝利!貫太は…無事だった。 母・兄妹らと勝利を分かち合った貫太は、 今は亡き天国の父に優勝を捧げるのだった。 ![]() |
一発貫太くん スタッフ
製作/吉田竜夫
原作/タツノコプロ企画室
企画/鳥海尽三・宮田知行
プロデューサー/井上明(タツノコプロ)
総監督/笹川ひろし
キャラクターデザイン/下元明子
制作デスク/中野政則(タツノコプロ)・内間稔 大野実(読売広告社)
録音ディレクター/水本 完
作画担当/吉橋 節
製作協力/アドコスモ
音楽/市川昭介・はやしこば
OP/やるぞ一発!野球道
(作詞・伊藤アキラ/作曲・市川昭介/編曲・筒井広志/唄・千葉由美 ヤング・フレッシュ こおろぎ,73)
ED/ホーマーズの歌
(作詞・伊藤アキラ/作曲・市川昭介/編曲・筒井広志/唄・ヤング・フレッシュ こおろぎ,73)
一発貫太くん 放映リスト
放送No | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 視聴率 |
1 | 1977.9.18 | とばせホーマーズ誕生 | 陶山 智 | 笹川ひろし | 18.9 |
2 | 1977.9.25 | あこがれのユニフォーム | 毛利 元 | 笹川ひろし 上梨満雄 | 15.3 |
3 | 1977.10.2 | 大奮闘!オカラ応援団 | 山本 優 | 布川ゆうじ | 18.7 |
4 | 1977.10.9 | 夢のホームランカー | 鳥海尽三 海老沼三郎 | 上梨満雄 岩田 弘 | 16.3 |
5 | 1977.10.16 | 花子のがんばれおにぎり | 山本 優 | 真下耕一 | 21.1 |
6 | 1977.10.23 | 笑顔の父ちゃんボール | 曽田博久 | 笹川ひろし 岩田 弘 | 19.4 |
7 | 1977.10.30 | 小さなルールブック | 山本 優 | 布川ゆうじ | 19.0 |
8 | 1977.11.6 | 野球なんかやめだ! | 堀田史門 | 上梨満雄 | 21.4 |
9 | 1977.11.13 | 打倒!シルバーフォックス | 山本 優 | 矢沢規夫 岩田 弘 | 20.1 |
10 | 1977.11.20 | すばらしき一点 | 曽田博久 | 真下耕一 | 22.0 |
11 | 1977.12.4 | おしかけ名コーチの秘密 | 高久 進 | 布川ゆうじ 岩田 弘 | 20.8 |
12 | 1977.12.11 | 急病!仮病?二郎の欠場 | 山本 優 | 上梨満雄 | 16.7 |
13 | 1977.12.18 | きょうだい三遊間 | 曽田博久 | 岩田 弘 | 18.2 |
14 | 1977.12.25 | モテモテ貫太の悩み | 山本 優 | 笹川ひろし 真下耕一 | 16.8 |
15 | 1978.1.1 | 男だ!野球十兵衛 | 山本 優 | 上梨満雄 | 9.9 |
16 | 1978.1.8 | ひとりぼっちのエース | 曽田博久 | 岩田 弘 | 16.3 |
17 | 1978.1.15 | 噂の名人バット安 | 山本 優 | 高木厚炎 佐々木皓一 | 17.7 |
18 | 1978.1.22 | あこがれの甲子園 | 曽田博久 | 矢沢規夫 岩田 弘 | 18.2 |
19 | 1978.1.29 | グランドキーパーのほこり | 海老沼三郎 毛利 元 | 真下耕一 | 16.9 |
20 | 1978.2.5 | もどれ十兵衛!九番打者 | 高久 進 | 上梨満雄 | 18.4 |
21 | 1978.2.12 | 青い眼のリリーフ投手 | 山本 優 | 岩田 弘 | 20.5 |
22 | 1978.2.19 | 恐怖のデッドボール | 曽田博久 | 上梨満雄 | 17.1 |
23 | 1978.2.26 | 六子の特訓志願 | 曽田博久 | 高木厚炎 佐々木皓一 | 18.2 |
24 | 1978.3.5 | 母ちゃんは名監督 | 陶山 智 | 岩田 弘 | 14.2 |
25 | 1978.3.12 | 野球仮面あらわる! | 曽田博久 | 真下耕一 | 14.9 |
26 | 1978.3.19 | スカウトが来た | 曽田博久 | 上梨満雄 | 15.2 |
27 | 1978.3.26 | 貫太VSガキ大将 | 山本 優 | 岩田 弘 | 12.7 |
28 | 1978.4.2 | ワンマン美少女投手 | 曽田博久 | 押井 守 | 21.0 |
29 | 1978.4.9 | これが男の野球道 | 竹内 進 | 押井 守 岩田 弘 | 15.6 |
30 | 1978.4.16 | 思い出のグラウンド | 竹内 進 | 上梨満雄 | 16.9 |
31 | 1978.4.23 | 傷だらけの勝利 | 曽田博久 | 佐々木皓一 | 19.1 |
32 | 1978.4.30 | 友情の大ファール | 高久 進 | 矢沢規夫 | 18.7 |
33 | 1978.5.7 | ホーマーズ二軍落ち | 曽田博久 | 真下耕一 | 16.5 |
34 | 1978.5.14 | ナゾの名コーチ | 滝 三郎 海老沼三郎 | 矢沢規夫 | 10.4 |
35 | 1978.5.21 | 四郎のマイコン野球 | 曽田博久 | 上梨満雄 | 13.8 |
36 | 1978.5.28 | 父ちゃんのピンチヒッター | 山本 優 | 佐々木皓一 | 11.9 |
37 | 1978.6.4 | 七郎のスイッチヒッター | 陶山 智 | 西久保瑞穂 植田秀仁 | 18.3 |
38 | 1978.6.11 | 花子のスコアブック | 堀田史門 | 岩田 弘 | 13.8 |
39 | 1978.6.18 | 日本一のブルペン捕手 | 曽田博久 | 上梨満雄 | 8.8 |
40 | 1978.6.25 | ホーマーズ解散?! | 山本 優 | 八尋 旭 岩田 弘 | 13.8 |
41 | 1978.7.2 | 行くぞ!武者修行 | 曽田博久 | 押井 守 | 9.7 |
42 | 1978.7.9 | うばわれたポジション | 山本 優 | 植田秀仁 | 10.0 |
43 | 1978.7.16 | 焼津港のプレイボール | 曽田博久 | 岩田 弘 | 7.6 |
44 | 1978.7.23 | 那智滝のカラス天狗 | 山本 優 | 真下耕一 | 12.6 |
45 | 1978.7.30 | 土佐に生きていた父ちゃん | 滝 三郎 海老沼三郎 | 矢沢規夫 岩田 弘 | 7.8 |
46 | 1978.8.6 | 瀬戸の野球道場 | 山本 優 | 植田秀仁 | 8.9 |
47 | 1978.8.13 | 宿命!秋吉台の対決 | 曽田博久 | 上梨満雄 | 5.4 |
48 | 1978.8.20 | 阿蘇・最後の武者修行 | 曽田博久 | 岩田 弘 | 11.2 |
49 | 1978.8.27 | 決戦!東京代表戦 | 山本 優 | 真下耕一 | 13.6 |
50 | 1978.9.3 | 本大会!激突兄妹チーム | 山本 優 | 植田秀仁 | 17.5 |
51 | 1978.9.10 | ホーマーズ出場停止?! | 曽田博久 | 矢沢規夫 岩田 弘 | 16.8 |
52 | 1978.9.17 | 準決勝 意外なヒーロー | 曽田博久 | 上梨満雄 | 20.3 |
53 | 1978.9.24 | 白球よ!大空高く | 山本 優 | 岩田 弘 | 19.5 |
と、なんとか終了。
このアニメももう45年前。そんな昔になりますかー。
今だといろいろ時代に合わない風習や物言いも多いとは思いますが
(時代性のズレって、ヒーローものよりファミリー向けアニメのほうが顕著なんですよね。
それだけ時代に寄り添った作風だからなんですけど)
愛すべき佳作だったと私は思います。
こういう作品を含め、様々なアニメや特撮が
再放送で気軽に見れた昭和の夕方は
今にすれば得難い貴重な機会だったんだなぁと。
では次回。