看板

はい、夏も真っ盛り、皆様いかがお過ごしでしょうか?
記憶のかさブタも6回目。
なんかマイナーアニメばっかりというより、
世代的には「…なにソレ?」みたいな、
まるで置いてけぼり状態なこのコーナー。
今回は夏だから…ってわけでもないけどコチラがお題。

ジャングル黒べぇ
(1973年3月2日〜9月28日・毎日放送系放映・全31回
制作・東京ムービー)

「ウラウラウラ〜」といっても山本リンダ゙じゃございません。
(よく考えたらほぼ同時期だ。)
関西では昭和60年くらいまでは結構再放送とかしてくれてて、
夏休みとかよくみてたなぁ。
ここ20年見てないけどね。




藤子アニメのニューウエーブ?
藤子不二雄先生のアニメとしては人形アニメの
「シスコン王子」(1963)から数えて第7作目に
ベッカンコ画像当たる本作は、実は東京ムービーが企画して、
プランナーとして藤子先生に発注したという、
いままでの藤子アニメ作品とは逆の
パターンで作られたモノ。
アニメ放送にあわせて原作マンガも描かれたと
いうから、ある意味アニメオリジナルと
いっていい作品。
それ故、それまでの藤子アニメに比べて
ドタバタが激しく、ハチャメチャさに関しては
藤子アニメ随一といっていい作品になりました。
なにしろ黒べぇの設定がそもそも異色。
ジャングルに住む原住民ピリミー族の
酋長の息子
で、
たまたまジャングル上空を通過した飛行機
(黒べぇ曰く、「空とぶでっかい鉄のトリ」)
捕まえようとして、結果、日本まで来て
しまったというのがそもそもの始まり。
たまたま最初に出会った日本の少年、
佐良利シシ夫に助けられ、以降、
命の恩人シシ夫にキッチリ恩返しを
するまで日本を離れないと決意する。
ピリミー族に伝わる魔法を駆使して
シシ夫のためにならんとするが、
なんせまだまだ子供で半人前だもんで、
魔法は失敗の連続。
助けるどころか収拾の付かない状態に
なってオシマイ、という話が第一話から
何度も何度も何度も続く。
ますます恩返しをしなければ、と
日本に居つづける黒べぇと、もうカンベンしてくれと
トホホ状態のシシ夫というのが、
基本的なスタンスとなって番組は進行する。



キャラを立てよう。けど黒べぇが…
一事が万事この調子である。やがて黒べぇの弟赤べぇ、
ジャングルの友だちパオパオがやってきて、 ドタバタさはエスカレート。
結果、わりを喰ったのが日本人側のキャラ。黒べぇの強烈な個性に
喰われて印象が結構薄い。ガキ大将のタイガー、腰ぎんちゃくのオカラ、
…本当印象がうすい。ジャイアンにあたる役割の
タイガーがシシ夫をいじめても、黒べぇが「シシ夫の仇!」と、
槍でタイガーの尻をグサグサ突いて、泣きながらタイガーは退散しちゃうから、
話広がらないのね。黒べぇがQちゃんみたいにお人よしで怖がり
だったり、ドラえもんみたいに家に居っぱなしじゃないからね。
とにかく行動的で攻撃的。ワケのわからん「ジャングルの常識」は持ち出すわ、
本人にも制御不能な魔法は使うわで、とにかく黒べぇのキャラが強すぎ。
そんな中で、ヒロインのタカネさんがいい味出してたのを思い出します。
上品でお嬢様、みんなのアイドルでもあるタカネさん。
ドラえもんの静香ちゃんに匹敵する役割を与えられてる彼女ですが、
好きな食べ物が「焼き芋」。しっかりオナラまでして下さってそのスジのファン(どのスジだ?)は感涙モノ。
(藤子ヒロインの王道、入浴シーンもちゃんと
ございましたよ。タオルで肝心な所は隠してたけど。)



(当時のテレビ記事で紹介されていた黒べぇ。読めるかな?)
記事1 記事2 記事3 記事3  

記事5  記事6 記事7 記事8




宿敵ガック現る!
これじゃあ黒べぇの一人舞台だ、と、
スタッフが憂慮したわけでもないでしょうが、
(多分視聴率が低迷してたから。
裏番組が「ウルトラマンタロウ」だし。)

ガック画像黒べぇに対抗出来るライバルキャラが
中盤から出現します。
それが「ガック」です。
詳しい設定は知らないのですが、
黒べぇが「我が宿命のライバル」と
いってるところから、因縁の仲といった
ところでしょうか。
同じピリミー族か、ピリミー族と
敵対関係にある部族の出か…。
なにしろこいつ、流行や文明にうるさく、
キザで高飛車。魔法はあまり使った
印象がありません。
調べるとジャングルにいる珍獣を使って
黒べぇや子供たちを虐めて喜んでたそうで。
ネクタイにコーモリ傘という
珍妙なスタイルが
文明カブレしたヤな印象を
植え付けてくれます。
なにかにつけて鼻にかかった声で
「シャラバーイッ!」
って叫ぶのが常でした。
自分のことを「ミーは」なんて言うし、あまつさえ、
「ユーらとは格が違いますからねぃー!」といった
ブルジョアチックな差別発言もチラホラ。

2005.3.26・ガックの画像、新たにやり直しました。
残念ながらカラー設定が発見出来なかったので
色指定は記憶に頼りました。
間違ってたらごめんなさいね。


ガックは自らの魔法で対決はせず、基本ピリミーのジャングルと繋がった魔法の木の穴から
「とう〜りゃんせ、とうりゃんせ〜、こ〜いこいこいこっちゃ〜こ〜い」と、珍獣を呼び寄せて
黒べえと対決させます。(ガック登場以降はこの珍獣主体でストーリーが進行することが多くなります。)
タキビドリ、ゲラゲラポッポ、バクバク、エレモンキーと、のちのドラえもんの秘密道具のような
不思議生物が毎回登場し、ドタバタ色がより過激になっていきます。
…結局視聴率的に裏番組に勝てなかったためか、改変期の9月が来たところで番組終了。
最終回は「大魔法で仲直り」となってますが、別段ガックと和解したという内容にあらず。
兄弟げんかで赤べえの槍を折ってしまった黒べえに怒って家出した赤べえと
黒べえが仲直りをするまでを書いたエピソード。そこにガックや大酋長もからんで…と
いう内容で、最終回というニュアンスの内容ではなく、普通の1エピソードという感じでしたね。

黒人差別?人権問題告発と作品の封印
雑誌記事黒べぇ お気付きの方も多いと思いますが、
このジャングル黒べぇも
封印されて久しいです。
事の発端は市民団体からの告発だそうで、
黒人差別と非難されたのをきっかけに小学館・中央公論社が
作品の公表を自粛し、現在に至っているのだそうで。
当時はちびくろサンボが発禁になったり、人権を錦の御旗にした
言葉・作品狩りが猛威を振るっていた時期でしたので。
もっとも昨今(2005年3月)、
ちびくろサンボが復刊したりと、魔女狩りのような
状況は改善されているようです。
黒べぇも決して差別ネタなどではないのですから、
いいかげん復活させてもらえないでしょうかねぇ。



















ジャングル黒べぇ 放映リスト

放送No放送日サブタイトル 脚本
11973.3.2黒べえ大登場の巻
ベッカンコで恩返しの巻
金子 裕
鈴木よしたけ
21973.3.9神様さかだちベッカンコの巻
くっちゃめっちゃドライブの巻
まつしまとしあき
吉田喜昭
31973.3.16パオパオがやってきたの巻
るす番はまかせろ!の巻
山崎晴哉
金子 裕
41973.3.23わが敵ブタゴリラの巻
槍は黒べえの魂の巻
松元 力
田原伸二
51973.3.30空から赤べえふってきたの巻
パパのやせがまんの巻
田原伸二
山崎晴哉
61973.4.6パンを守って恩がえしの巻
なにがなんでも背をのばせ!の巻
吉田喜昭
吉田喜昭
71973.4.13やきいものヒミツの巻
算数なんてじょうしきだの巻
金子 裕
松元 力
81973.4.20それいけ!パオパオ自動車の巻
黒べえがママで〜すの巻
松元 力
吉田喜昭
91973.4.27デパートてんやわんやの巻
ねむくても起きろ!の巻
大西洋三
金子 裕
101973.5.4黒べえのすばらしいコイのぼりの巻
逃げ出したチンパンの巻
松元 力
大西洋三
111973.5.11あのリンゴをおとせ!の巻
はんにんはだれだ!の巻
小田健也
まつしまとしあき
121973.5.18教室をのぞくなの巻
いやでも買うのだ!の巻
田原伸二
小田健也
131973.5.25ノックアウトで花が咲くの巻
魔法の大せんせい!の巻
田原伸二
大西洋三
141973.6.1タイガーのおねしょの巻
黒べえがテレビに出た!の巻
金子 裕
小田健也
151973.6.8とべ!パオパオヒコーキの巻
赤ちゃんをひろった!の巻
田原伸二
城山 昇
161973.6.15パンツをはいたブルドッグの巻
のびたりちぢんだり魔法の巻
吉田喜昭
金子 裕
171973.6.22たかねちゃんとアイアイがさの巻
さかさま魚つりの巻
大西洋三
松元 力
181973.6.29わあ!空中しょうとつだの巻
パオパオをつかまえろ!の巻
金子 裕
山本 優
191973.7.6大しゅうちょうがやってきたの巻
魔法で星がおちてきたの巻
小田健也
金子 裕
201973.7.13強敵ガックあらわる!の巻
黒べえ対ガック夕陽の決闘の巻
吉田喜昭
吉田喜昭
211973.7.20海ぞくサメマリンがやってきたの巻
魚になった新幹線の巻
大西洋三
松元 力
221973.7.27生きかえった恐竜タルポの巻
ビックリ!タキビドリの巻
大西洋三
城山 昇
231973.8.3出た!ジャングルドラキュラの巻
笑って笑ってゲラゲラポッポの巻
金子 裕
九十英夫
241973.8.10エレモンキーのキャンプ騒動の巻
泣き虫珍獣オーイオイの巻
小田健也
竹内啓雄
251973.8.17黒べえピリミーへ行く前編の巻
黒べえピリミーへ行く後編の巻
金子 裕
金子 裕
261973.8.24食っちゃうぞ!パクパクペリカンの巻
黒べえは音楽0点の巻
吉田喜昭
金子 裕
271973.8.31黒べえ涙の男泣きの巻
バクバクは夢どろぼうの巻
吉田喜昭
金子 裕
281973.9.7ジャングルの大泥棒をやっつけろ!の巻
おとぼけ坊やにみんなお手あげの巻
九十英夫
山本 優
291973.9.14ジャングルのとうめい忍者の巻
あっ人魚姫が食べられたの巻
金子 裕
吉田喜昭
301973.9.21かあさんどこだ!涙のポコポンの巻
ガックの恋よシャラバーイ!の巻
竹内啓雄
竹内啓雄
311973.9.28珍獣わんさか全員集合の巻
大魔法で仲なおりの巻
松元 力
小田健也

※脚本では「おかしなおかしなてんとり虫の巻」


ジャングル黒べぇ 製作スタッフ

原作/藤子不二雄
企画/東京ムービー
脚本/金子 裕・まつしまとしあき・鈴木よしたけ・吉田喜昭・山崎晴哉・城山 昇 他
演出/出崎 統
作画監督/椛島義夫
作画監督補/杉野昭夫・北原健雄
製作協力/Aプロダクション・映音・東京アニメーションフィルム
音楽/三沢 郷
OP/ジャングル黒べぇのうた
(作詞・藤子不二雄/作曲・三沢 郷/唄・大杉久美子・肝付兼太)
ED/ウラウラ タムタム ベッカンコ
(作詞・藤子不二雄/作曲・三沢 郷/唄・大杉久美子・肝付兼太)

キャスト


黒べぇ(肝付兼太)
シシ夫(杉山佳寿子)
赤べぇ(桂 令子)
タイガー(山川啓介)
オカラ(堀 絢子)
タカネ(恵比寿まさ子)
ガック(山本嘉子)ほか


というかんじでお届けしました記憶6回目。
今回は乏しい記憶から絵まで起こしました。なんか微妙に
まちがってそうね。あんまり酷かったらあとで調べなおして画像おこそっと。


(2005.3.26追加)
放映リストと新規画像、並びにコメントの一部を
改訂しました。黒べぇは当時世代の者にとっては
オバQに並ぶほどの、身近な藤子アニメの一本だったので、
この現状は何とか打破して貰いたいなぁ。


次回は「さるとびエッちゃん」の予定です。




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