夏もせまって、原稿に時間さかにゃならんの
にこのコーナーは定期的に更新中。
やってて楽しいし。…現実逃避?
で、今回のお題はコチラ。
なにしろ主人公はサイボーグ少女。
使う力も「ミラクルパワー」といって、胸のスイッチダイヤルをひねる事で
サイボーグパワーを切り替えるという、
もうこの時点で魔法じゃないし。
リミットちゃん・サイボーグ化の理由
西山リミットはつい最近まで普通の女の子でした。
ところが父と旅行に出かけた際、
乗っていた旅客機が墜落。
リミットは瀕死の重傷を負ってしまうのです。
(ありゃ、他の乗客は皆死んでるぞ…
飛行機墜落した上に炎上してるし。)
サイボーグ手術の国際的権威でもある父・西山博士は
急いでリミットにサイボーグ手術を敢行。
全身にサイボーグ化を施すことでリミットは一命を
取り留めたのでした。
…要するに、不慮の事故で、サイボーグにならざるを
得なかったというのがその理由。
首から滝の如く血が滴り落ちて…
あああ、死んでる。絶対死んでるよあれ。
小学校ン時見てトラウマになったもんこの映像。
しかし凄いのがその後。
手術台でサイボーグ化されて、
画面に出てきたのが
「マジンガーZ」のエンディングばりの
リミットの内部図解!
これ本当に少女向アニメか?
ここまでの経緯を見ても、リミットちゃんの元ネタは
外国TVドラマ「600万ドルの男」(地上最強の美女・
バイオニックジェミー放映は四年後の事だし。)に、
仮面ライダー混ぜた感じだというのは明白ですね。
変身ブームの影響は否定できませんな。
ミラクルパワーだけど欠陥だらけ。
しかも、リミットちゃん。サイボーグ化された体は
完全なものじゃなく、よく機能エラーしまして…
妙に印象にのこってるのが、
番長のボスが算数のテストにこっそり電卓を使ったところ、
前の席のリミットちゃんの電子回路が
突然異常を引き起こして、結果、
頭痛でリミットちゃんがのたうちまわっちゃうんですよ。
電卓のICから出る電波で狂うリミットちゃん…
なんか凄い…
でも、携帯電話の電波で飛行機の計器が狂う
御時世だから、結構理屈にあってるかな?
(でいうか、耐電波処理くらいしてあげてよ西山博士。)
欠陥、と言えば、
初期設定では、リミットちゃんのサイボーグボディの寿命は
一年しか持たず、それまでに元の人間の体に
戻れなければ、リミットは死んでしまうと
いう事になっており、(流石に暗すぎる設定なので
ボツになったとか。)リミットちゃんという名前の由来も
「命のタイムリミット」からきてる…と言う訳で
…深刻すぎる…。
本作はそういう意味で
東映魔女っ子アニメの中でも異色作として
視聴者の記憶に残ることになります。
初期のOPナレーションでは自分の
サイボーグ化された体を卑下するようなセリフがあったそうで、
その後すぐ改変され、現在流通している
バージョンに差し替えられたのですが、これは当時NETと東映側が
配慮した結果とのこと。
同時期に同局で放送された時代劇に身障者差別と取れる描写に
クレームがついたため、それを受けての変更だったと資料にはあります。
コンプレックスとトラウマと最終回と
で、このリミットちゃん、サイボーグの体を実に嫌がってまして、
「どうせあたしは機械人形よ!」と、
なにかにつけてスネる始末。
父親が授業参観に来なかった事を
「あたしが機械人形だから授業参観にこなかったんでしょ!」
と吐き捨て、怒った父親に張り倒される始末。
「パパなんか大嫌い!」
と泣きながらサイボーグボディを嫌がるリミット…
うわ〜!胃が痛い!深刻すぎる!やめろ〜!
いや、ホント、オープニングの軽やかなテンポと違って、
なんかもう…なんかのドキュメント見せられてるような
生々しいモンがあって…。
大阪のよみうりテレビでは20年くらい前に
平日の朝10時半くらいに再放送してましてね。
学校行ってて見れなかったから、VTRに
録画して見てたんですが、そんな深刻な話が多かったもんで、
一回見たら、もう一回見直そうって
気持ちになれないなれない。
だもんで、リミットを録画したVTRは、
見事に一本も残ってません。
結果として「リミット」は全25話と、東映魔女っ子アニメ路線の
最短命記録を更新し(現在も記録保持者)終了と
相成ります。当初の予定では西山博士と助手の湯木みどりとの結婚
(博士にすれば再婚)を中盤のイベントとして用意。
その上でリミットが人間に戻れるか否かを描く予定
だったのでしょう。が、結局それらは全部積み残し終了。
本編の最終回は、担任の女の先生(乙姫先生)が結婚するんで、
教師を辞めてリミットたちの学校を去る話。
ところが結婚相手の、
これまたリミットたちの学校の教師、坂本先生が崖から落ちちゃって、
それを助ける為に乙姫先生の前でミラクルパワー使って、
サイボーグであることがとうとうバレちゃう。
けど、坂本先生を助けてくれたお礼、と言う訳でも
ないのですが、乙姫先生はリミットの秘密を
黙ったまま、学校を去っていくのです。
普通、魔女っ子もののラストは、
正体バレたらハイチャラバ〜イ、ってのが定石なんですが、
(魔女っ子メグちゃんみたいな「出戻り」もあるけど)
こういうふうに「日常は続く」的な終わりはちょっと珍しいですね。
こんな終わり方はこれと「さるとびエッちゃん」くらいでしょ。
…両方とも半年で終ってるな。
まあ、魔女っ子アニメの試行錯誤期の異色作。
CSとかでやってたら一見の価値はあると思いますよ。
ミラクル少女リミットちゃん 製作スタッフ
原作/永島慎二・ひろみプロダクション
プロデューサー/小澤英輔
企画/高見義雄
演出/田宮 武・古沢日出夫・明比正行・宮崎一哉・勝間田具治・山口康男 ほか
脚本/辻 真先・雪室俊一・安藤豊弘・城山 昇・原 麻紀夫
作画監督/小松原一男・菊池城二・野田卓男・上村栄二・木暮輝夫 ほか
キャラクターデザイン/小松原一男
音楽/菊池俊輔
OP/幸せを呼ぶリミットちゃん
(作詞・岩谷時子/作曲・菊池俊輔/歌・大杉久美子・ヤングフレッシュ)
ED/センチなリミットちゃん
(作詞・岩谷時子/作曲・菊池俊輔/歌・大杉久美子)
放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 |
1973.10.1 | おてんばさん こんにちわ | 辻 真先 | 田宮 武 | 小松原一男 |
1973.10.8 | なんだかへんだぞ | 雪室俊一 | 明比正行 | 菊池城二 |
1973.10.15 | 見られちゃったワ!? | 雪室俊一 | 大谷恒清 | 奥山玲子 |
1973.10.22 | 転校生はライバル | 原麻紀夫 | 古沢日出夫 | 不破八芳 |
1973.10.29 | ぼくのおヨメさん | 雪室俊一 | 田宮 武 | 岡田敏靖 |
1973.11.5 | パパ大嫌い!! | 安藤豊弘 | 岡崎 稔 | 端名貴勇 |
1973.11.12 | 落葉とバイオリン | 辻 真先 | 宮崎一哉 | 木暮輝夫 |
1973.11.19 | ほんとの秀才 | 城山 昇 | 明比正行 | 野田卓男 |
1973.11.26 | 変身!エラーマン | 辻 真先 | 宮崎一哉 | 江藤文男 |
1973.12.3 | 夢がいっぱいわたしのリュック | 安藤豊弘 | 岡崎 稔 | 端名貴勇 |
1973.12.10 | ボスのような男になりたい | 城山 昇 | 大谷恒清 | 木暮輝夫 |
1973.12.17 | チャペルの天使 | 原麻紀夫 | 明比正行 | 小松原一男 |
1973.12.24 | あの町この町暮れの町 | 安藤豊弘 | 山口康男 | 田島 実 |
1974.1.7 | それでも女の子 | 雪室俊一 | 笠井由勝 | 江藤文男 |
1974.1.14 | 学校裏門なみだ門 | 雪室俊一 | 茂野一清 | 角田絃一 |
1974.1.21 | 誘拐 | 城山 昇 | 岡崎 稔 | 端名貴勇 |
1974.1.28 | おんどりのタマゴ | 雪室俊一 | 大谷恒清 | 木暮輝夫 |
1974.2.4 | 乙姫先生大ピンチ | 原麻紀夫 | 笠井由勝 | 江藤文男 |
1974.2.11 | 幻の狼 | 原麻紀夫 | 岡崎 稔 | 端名貴勇 |
1974.2.18 | スケートの女神
| 辻 真先 | 勝間田具治 | 小松原一男 |
1974.2.25 | 消えたマジックベレー | 雪室俊一 | 明比正行 遠藤勇二 | 上村栄司 |
1974.3.4 | 春を呼ぶ愛の歌 | 安藤豊弘 | 山口康男 | 木暮輝夫 |
1974.3.11 | 走れラクガキ鉄道 | 雪室俊一 | 明比正行 | 江藤文男 |
1974.3.18 | さよならキャプテン | 原麻紀夫 | 岡崎 稔 | 端名貴勇 |
1974.3.25 | おめでとう先生 | 雪室俊一 | 山口康男 | 木暮輝夫 |
キャスト
西山リミット(栗 葉子)
西山博士(柴田秀勝)
湯木みどり(千々松幸子)
ボス(肝付兼太)
浅見信子(山本圭子)
竹下光子(吉田理保子・のち千々松幸子)
トミさん(野沢雅子)
グー(千々松幸子)
乙姫先生(坪井章子)
協力 青二プロダクション
てなわけな五回目の記憶のかさブタ。今回は男はあんまり見てないアニメだから反応悪そぅ。
まあ、私個人の思い入れを中心に据えてやってるこのコーナー。
次回は「ジャングル黒べぇ」の予定です。