2020年、まさかこんな世界になるとは
思いもよりませんでしたが、
皆様いかがお過ごしでしょうか?
おうちにいようよキャンペーンという訳ではありませんが
早めに更新致しました。
今回は昨年より続くこちらの御題の第四弾。

昭和オリジナルビデオアニメの世界その4

昭和オリジナルビデオアニメ特集も今回4回目。
三回目から結構間が空きました。理由は資料集めに時間がかかったので。
選出基準として「1988年(昭和)までの作品」
「現在円盤になってない&配信されていないもの」という事で
やっておりますので、「ダロス」「バース」「メガゾーン」「イクサー1」といった、
今でも流通している作品は外しております。
また、あまりにも長大なシリーズになったもの、
18禁アダルトアニメなども除外しております。
(昭和のアダルトビデオアニメ特集、なんてのもやろうと思えばやれるんですが、
閲覧制限かけないと無理っぽい)

というわけで今回も日本のアニメシーンにおけるレガシーたる
OVAの数々を、まずはご覧下さい。




夢幻紳士 冒険活劇編

(1987年製作 50分 製作・日本ビクター)

夢幻紳士冒険活劇編

大正浪漫漂う昭和初期を舞台に天才少年探偵が大活躍をしません
原作はコアなファンを持つ高橋彰介氏の同名作品。
OVAのひとつの功績してこういう個性的な原作を
TVや劇場でない形でアニメ化する、というのがあったと思うのです。
たがみよしひさの「GREYデジタル・ターゲット」、高屋良樹の「強殖装甲ガイバー」、
真鍋譲治の「アウトランダース」、永井豪の「バイオレンスジャック」など、
OVAという舞台を与えられて、やっとアニメになれた、という作品は多かったと思います。
無論、熱狂的な信者の多い原作をアニメにする場合、結果としてハイハードル化し、
評価は手厳しいものになりがちなのですが…。
あらすじはこんな感じ。

時は大正浪漫漂う昭和初期。ところは帝都・花の都東京・両国。
そこにひっそりと「夢幻私立探偵事務所」を構える少年がいた。彼の名は夢幻魔実也。
執事アルガードを従え、今日も静かな午後のお茶を…
と思っていた矢先、事務所に一人の少女が飛び込んできた。
彼女の名は福音温子。何者かに追われているという。

いぶかしげる魔実也の前に現れたのは
彼女を追って来た巨漢の男だった。
執事アルガードと格闘したその男は、なんと、首から上がワニだった!
善戦空しく温子はワニ男に拉致され、逃げられてしまう。空に飛び去る謎の気球船。


突如起こった世にも奇妙な怪奇なる事件。
調べると、ここ数日、才覚優れたる複数人の美少女ばかりが
次々に誘拐されるという事件が頻発していた。
事件の概要を探るため、魔実也は天才ピアニスト美少女・里見桜子に変装。
わざと連中にさらわれ本拠を突き止めることにした。
誘拐を行っていたのは宿敵?の悪の科学者ラオ博士。
しかし別口でホンモノの桜子を攫ったラオの手下・コホとばったり出くわす羽目に。
魔実也は囚われ、監禁されてしまう。
しかし裏をかいて脱走、連中は温子らを飛行船に乗せ逃亡。
魔実也は江戸川警部らと共に、連中の飛行船を追跡する。


連中の本拠地は南の孤島だった。そこにはなぜかピラミッド。
ピラミッドの中では、行方不明とされていた孤高の狂老科学者・富野寿太郎が
巨大かつ不気味な機械を使って謎の実験を行っていた。
中心に添えられていたのは古代エジプトのミイラ。
周りには生贄のごとくカプセルに入れられた美少女達。
全ては富野の夢である不老不死の生命を実現させるため
美少女達を依代にミイラを蘇生させようとしていた。
件のワニ男も、この実験場で生み出された実験体の一体だったのだ。
ミイラ蘇生のために攫われた美少女達から生命が吸い出されていく。美少女の危機だ!


そこに現れたのは魔実也。だが背後にドイツ軍隊の銃口。この狂実験のスポンサーだ。
「この実験が成功し不死身の兵士が完成すれば我々ドイツが世界を支配できる!」
そこに大英帝国軍・フランス軍・大日本帝国軍が乱入。
「他国に不死身の軍隊など作られてはかなわん!我々が戴く!」
あっという間に実験場は軍隊同士の戦場に。
爆発と銃声の轟く中、実験場は崩壊。富野博士も石の下敷きとなって果てる。
魔実也たちは飛行船と船を使って、攫われた美少女達を救出。
悪夢の実験場を後にしたのだった。




高橋彰介氏の独自タッチの絵をアニメにするのはかなり大変だったろう、というのは想像に難くは無いのですが、
一時間通してそのタッチを再現するのは無理があったようです。
現在に至るも「夢幻紳士」のアニメ化はあとにも先にもこれ一本のみ。


ストーリーを観ると、全然主役の魔実也くんが活躍もしてなければ
「さすが!少年探偵!」というシーンも与えられていないのに驚きます。
簡単に敵に捕まるわ縛り上げられるわ。それでいて口だけは達者。
これじゃ只の言うだけ番長のマセガキです。
事態を動かすのは基本、外からの要因ばかりで、彼自身は何も動かせていなかったりします。
活動的な傍観者、というべきでしょうか。
最後も各国諜報機関や軍隊の暴発的な銃撃戦になった挙句に
半狂乱になったドイツ軍が自爆用の爆弾炸裂させて
事態は勝手に収拾。魔実也くんは捕らえられてた少女(温子ひとり)を助けて
飛行船でトンズラ(残りの美少女はラオ博士が結果として救出…)しただけで「事件解決」って…?
役に立ってるようで立ってないなぁこの少年探偵。
もっと切れ味の鋭いトコとか見せればいいのに、
全然そんなトコ描写しないんだもの。イライラする。

ちなみにこのOVA、単行本のアンケートハガキから注文すると、
特典に高橋先生描き下ろしのイラストカード
(魔実也くん脅迫用写真)
なるものがついて来たんだそうで、
原作ファンにすればそれが救い…かしら。



夢幻紳士 冒険活劇編  スタッフ

製作/須田英昭
プロデューサー/若菜章夫・佐藤智子
原作/高橋彰介
監修/早川啓二
監督・作画監督・キャラクターデザイン/辻 初樹
脚本/橋本以蔵
美術監督/山本二三
音楽/野人 (NOHITO)

主題歌「夢幻恋唄〜夢幻紳士のテーマ〜」/作詞&作曲&編曲・野人 (NOHITO)/歌・戸田恵子

アニメーション制作協力/スタジオぎゃろっぷ
制作/ビクター音楽産業株式会社

キャスト
夢幻魔実也/戸田恵子
江戸川警部/滝口順平
アルカード/銀河万丈
福音温子/江森浩子
富野博士/永井一郎
老(ラオ)博士/八奈見乗児
甲保(カホ)/戸谷公次
ドイツエージェント/屋良有作
日本軍隊長/佐藤正治
イギリス軍兵士/平野正人
フランス軍兵士/佐藤浩之
里見桜子/青葉美代子
ウエイトレス/加藤雅子


学園特捜ヒカルオン

(1987年製作 カラー30分 製作・ネットワーク・AIC)

ヒカルオン

今だ!裂空!ヒカルオン!
宇宙刑事をやりたかったスタッフによる15禁アニメ

タイトルからして目的が明白すぎるOVA。
しかも15禁という年齢制限つき。どういうこと?
当時不思議に思ったユーザーも多かったと思うのですが…
あらすじはこんな感じ。


私立凌徳学園。ここでは最近、校内における暴行事件や生徒の謎の自殺が頻発していた。
その混沌たる学園に謎の転校生・四方堂 光がやってきた。
新人教師の葉月あづみと共に、彼は学園の異変を調査・内偵していく。


そんな最中、クラスメイトの女生徒、椎名弥生が謎の怪事件に巻き込まれてしまう。
ただならぬ怪異と妖気を察した光はあづみと共に作戦開始。
実は光とあづみは学園特別捜査委員会が派遣した秘密捜査官だったのだ。


光は謎の不良集団に足止めを喰らい、
あづみは妖魔の力を得た不良軍団に凌辱され、虜になる。
弥生は異次元空間で謎の男の洗脳を受けていた。
男の正体は生徒会長の天草四郎!彼の正体は世界征服を目論む
邪教集団ウラーが学園に送り込んだ妖魔獣だったのだ!


異空間に飛び込んだ光はあづみと弥生を救い出し、
正体を現した天草を前に叫ぶ。「烈空!」
ファイティングスピリッツ・スーツを装着した光は、超戦士ヒカルオンに瞬転。
必殺ジャスティス・ブレードで妖魔獣となった天草を一刀両断。
異空間は消滅し、学園の闇は消えた。
数日後、凌徳学園は正常に戻った。そこに光とあづみの姿は無かった。
彼らはウラーの魔の手を叩き潰す為、今日も何所かで戦い続けているだろう。
がんばれ光!烈空せよ、学園特捜ヒカルオン!



まあ、見ていただいた方は解ると思うのですが、「宇宙刑事をやりたかった」ホントそれだけのアニメ、って感じです。
渡辺宙明先生を音楽に起用したり、タイトルロゴもそっくりに作ったり、
夕陽バック逆光シルエットや夜の大都会に光球降臨シーンなど、
露骨なまでにインスパイヤ。基本ストーリーは学園に起こるミステリアスな事件の影に妖魔あり、ということで
ヒカルオンが妖魔退治をするため各地の学校を転戦している…そんな内容。
ヒカルオンが登場するのはラスト3分程度。別に巨大ロボも不思議獣も敵円盤も出てきませんが、
魔空空間じみた異世界は出てきます。しかもジャスティスブレードであっさり斬られて消滅。
まあ、実際の宇宙刑事もそうなんですが、30分の単発OVAならもうちょっと見せ場作って欲しかった。
これじゃ只の宇宙刑事シリーズの再現アニメです。作ってる側は満足したかも知れませんが、
アニメファンとしては宇宙刑事プラスアルファを期待していただけに残念です。

本作は「callmeトゥナイト」に続くCMOON15禁アニメ第二弾なのですが、前作以上にHシーンはないがしろ、
というか無きに等しいです。ヒカルオンの女性アシスタント・葉月あづみが裸に剥かれるシーン&
異空間で裸の女性が出てくるくらい。こんな作りなら15禁の必要無いなぁ。
自分達の造りたいアニメを滑り込ませるスペースがこの枠しか無かったから、の苦肉の策?

そのCMOONレーベルですが、何故生まれたのかについて
当時の雑誌に関係者の記述がありました。

CMOONってなんだ?(CMOON担当者)
ネットワークから生まれたCMOON(シームーン)とはどんなレーベルなんだろうか?
「エモーション(現・バンダイビジュアル)」というのはファンに一定のイメージが浸透していますし、
実績もある。そのイメージは守りたいのですが、会社としては冒険もしてみたい。
それで新レーベルを発足させたわけです。エモーションでは今までやってこなかった
マニアックな作品や、お色気モノみたいなジャンルにも挑戦してみたいと
思っていますよ。お色気モノといっても、性をおもしろおかしく扱うことはしませんが、
例えば「少年マガジン」や「少年ジャンプ」の上に
「ヤングマガジン」や「ヤングジャンプ」といった青年誌があるように、
ちょっとアダルトな感じのものを扱いたいということですね。
言ってみれば18禁ならぬ15禁とでもいったところでしょうか(笑)。
(アニメージュ・レーダー1986年7月号)

結果、CMOONレーベルはこの後「魔龍戦記」「ボディジャック楽しい幽体離脱」と
立て続けにOVAを出します。「傷追い人」シリーズを全5巻で完結させた後、
MOVICが他社で販売してたアダルトアニメ3本を
総まとめにした「シンフォニー・夢物語」を発売。「ボディジャック楽しい幽体離脱」を「完全版」と称して
18禁で出し直したりと、この頃になるともう普通に18禁作品にも手を出しており、
CMOONの立ち位置が混沌とし始めています。
そんなこともあってか、1990年代中盤ごろには名前を聞かなくなってしまいましたが。



学園特捜ヒカルオン スタッフ

製作/ネットワーク
プロデューサー/三浦亨・内山就路
原作・脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督・監督 / 越智一裕
オープニングプレゼンター/金田伊功
撮影監督/新井隆文
美術監督/下野哲人
音楽/渡辺宙明

主題歌「裂空! 学園特捜ヒカルオン -テーマ オブ ヒカルオン-」
作詞/越智一裕・作曲&編曲/渡辺宙明・歌/串田アキラ・金子久美

制作/AIC

キャスト
四方堂光 ・ ヒカルオン/関俊彦
椎名弥生/冨永みーな
葉月あづみ/土井美加
五味狂介・ ナレーション/玄田哲章
天草志郎/曽我部和恭
妖魔獣/飯塚昭三
ビット/古谷徹
暴走族・マキ/山本百合子
魔女/小原乃梨子
ほか


ウォナビーズ

(1987年製作 45分 製作・AIC 販売・ソニーインターナショナル)

ウォナビーズ

おそらく世界初の女子プロレスアニメ…なんだけど
なぜか途中からバイオハザード系?

1986〜7年当時のオリジナルビデオアニメ誌では結構話題作として取り上げられてました。
キャラデザインはOVAの古典的名作「ガルフォース」「バブルガム・クライシス」の園田健一氏で、
本格的な女子プロレスアニメというフレコミに加え、
古館伊知郎・デーモン小暮閣下がゲスト出演するという豪華さも手伝って、
期待は膨らんだのですが…あらすじはこういう感じ。


女子プロレス期待の新人コンビ、森田ミキと風間エリ、二人合わせて「ウォナビーズ」。
人気急上昇の彼女達は、目の前で先輩のドリームエンジェルを反則攻撃で潰した
憎い怨敵「フォクシーレディーズ」に戦いを挑む事を誓う。
しかし、まだ新人の彼女達では実力・経験の差で敵わない。
ミキとエリは先輩らのリベンジマッチを目指し、更なるトレーニングに励む。


そんな折、彼女らの所属するジムに巨大コングロマリットでもあり製薬企業である
鬼堂興産の社長・鬼堂鉄馬がサポートを持ちかける。
莫大な資金援助にジムのオーナーは感謝するのだが、援助の代償に鬼堂が求めたもの、それは…。


そして、ついに来た「ウォナビーズ」VS「フォクシーレディーズ」決戦の日。
凶器&反則のオンパレードで次第に追い詰められるウォナビーズ。
だが、突然ミキとエリの体の筋肉が膨張・強大化!
超人的なパワーを発揮し、フォクシーレディーズを粉砕!
だが、これは明らかに実力ではない。
彼女達の体に何らかの異常事態が起こっているのは明白だった。


試合後、ミキとエリはジム会長を糾弾。真実を知る。
スポンサーの鬼堂によって二人にはDNAを変貌させる強化薬が
投与されていた事が判明。彼女ら二人は鬼堂の人体実験のモルモットとされたのだと。
怒った二人は鬼堂の本社兼ラボに殴りこみ。
追い詰められた鬼堂はラボに留置されていたミュータントをけしかけた。
このミュータント、実は鬼堂の父親。
強大なミュータントとウォナビーズとの人外デスマッチ!
辛くも二人は勝利し、鬼堂の悪事も世間に露呈。
二人はリングへと還るのだった。



前半は普通に弱小ジムの女子レスラーが訓練と執念で悪役レスラーに勝負を挑む、
80年代的スポ根ものみたいな感じだったんですが、中盤から本人たちも知らぬうちに
ドーピングを受けたウォナビーズが化物的パワーで悪役を一掃し、
やがて背後にあるバイオケミカルコングロマリットの悪徳社長のラボに殴りこみ、
ラボに留置していたミュータント親父と超人プロレス対決…って、なんやソレ。


最後の最後でなんでこんな展開にしたのか訳が解りません。
普通に女子プロレスとしてやりきって欲しかった。
ラストのモンスターバトルはアニメ的な盛り上がりを求めてなのか、
当時のホラーブームを鑑みての追加要素だったのかどうかは
知りませんが、あの流れに行った途端にもう何が何やらワケわかめ(死語)。
当時の雑誌では「本格的女子プロレスアニメ」として数点のスチールが掲載され、
園田健一氏のキャラが縦横無尽に飛び、跳ね、暴れると、大いに期待をしたものですが…。
結果は御覧のように、なんか訳のわからんバイオハザード対決のオチに。
ラストのリング入場のシーンも、大団円のつもりかも知れませんが、
観てる側からすれば「彼女らの肉体はちゃんと元に戻ってんのか?」と、他人事ながら心配になってしまいます。



ウォナビーズ  スタッフ

企画・原作・脚本/鈴木敏充
監督・構成・脚色/長谷川康雄
プロデューサー/肥田光久・加藤長輝・三浦亨
メインキャラクターデザイン/園田健一
作画監督・キャラクターデザイン/清水義治
メカニックデザイン/荒牧伸志
アシスタントメカニックデザイン/山根公利
モンスターデザイン /柿沼秀樹・林宏樹
音楽/新川博

主題歌「MUSIC I love youがかすれて」/作詞・篠塚満由美/作曲 鈴木英俊/編曲・ 鈴木英俊・直井美輝彦/歌・斉藤さおり
挿入歌「アダムの林檎」/作詞・デーモン小暮/作曲・ジェイル大橋/編曲・歌/聖飢魔II

アニメーション制作協力/アートミック、AIC、アニメイトフィルム
制作/ソニー・ミュージックエンタテインメント、ムービック

キャスト
森田ミキ/原えりこ
風間エリ/高橋美紀
鬼堂鉄馬/池田秀一
オキ園田/野島昭生
ブラッディ松本/山田栄子
バスター堀口/高乃麗
沢田博士/ 飯塚昭三
ジョー田口/屋良有作
リングアナ/大林隆介
秘書/川村万梨阿
ドリームエンジェルス/荘 真由美・岡本麻弥
レフリー/小林通孝
記者A/立木文彦
女の子/木藤聡子・佐々尾幸

スペシャルゲスト/古舘伊知郎/デーモン小暮(聖飢魔U)


エルフ・17

(1987年製作 30分 製作・東映ビデオ・エイジェント21)

銀河最強!可愛さ無限!
当時、OVA市場に様々な話題作を提供していた東映ビデオが
方向性を模索している最中に発表した一本がこちら。
TVCMも流してたんで、「銀河最強!可愛さ無限!」というキャッチコピーは
ビデオ観てなくても記憶にある人もいるのでは?
あらすじはこんな感じ。


銀河帝国第108皇子マスカット・タイラー主催の銀河大武術トーナメントが華々しく開催された。
優勝者には皇子とともに諸星行脚の隠密旅行への同行権利が授与される。
優勝を争うは怪力ハンマーマンと、大火力強化服に身を包んだK・K。
だがそこに突然光翅族(エルフ)の少女・ルウが乱入する。


ルウはハンマーマンを一蹴。勝利し、タイラーの独断判定で優勝する。
だがルウの乱入に我慢ならないK・Kは
リベンジをルウに挑み、マタタビと除虫菊エキススプレーでルウを返り討ち。
タイラーの計らいでK・Kも同行権利を獲得。
こうしてタイラー、K・K、ルウの三人は諸星漫遊の旅に出る。



しかし、宇宙船は突然トラブルで惑星アラハスに不時着。
ここには古代の秘宝が隠されたバッカス信仰の遺跡があった。
秘宝の正体を知りたいK・Kとルウは深夜神殿に忍び込み
秘宝の正体を見る。秘宝は古代の神酒樽の山。
それを横取りする運転手。すべては運転手が財宝を独り占めするための策略だったのだ。


運転手はバイヤーに転売しようと赴くが裏切られ銃殺されそうに。そこに駆けつけたK・Kとルウ。
酒樽を盗まれた神殿の巨大魔神(信楽焼の狸)が
自動的に酒樽を奪い返そうと大進撃を始める。
しかし銀河最強の光翅族に歩く要塞火薬庫のコンビはそんなものモノともせずあっさり撃退。
酒樽はアラハス集落の信者達に手渡され万事解決。
運転手も改心し、タイラーの脳天気采配によって赦される。
そしてタイラー一行は再び、銀河漫遊の旅へと舵を切るのだった。




原作の序盤エピソードをほぼ忠実になぞりつつ、後半は若干アニメオリジナル。
30分単発ものにするための処置なんでしょうけど。声優陣は本多知恵子のルゥを筆頭に、
K・Kメカニカルディヴァイスの矢尾一樹、タイラー3世の神谷明と、とにかく豪華。


当時の売れ線であったSFラブコメということもあって、パワードスーツは出てくるわ
宇宙生物は出てくるわ美少女の入浴シーンは出てくるわで、
ヒットさせるぞー、という意気込みは伝わります。


当時の東映ビデオは何がウケるのか試行錯誤を繰り返していた時期で、
「アモン・サーガ」「ハイスクールAGENT」「愛しのベティ魔物語」「勝利投手」と、
いろんなオリジナルアニメを作っては発売していました。
結果として当たってシリーズ化したのは、
吉田聡原作のヤンキー系アニメの金字塔「湘南爆走族」
もとはしまさひで原作の「ヤンキー烈風隊」
雨宮じゅん原作のソフトポルノラブコメ「ぷっつんメイクLOVE」
レディースコミック原作の18禁アニメ「抱かれたい女」
といったラインナップ。…結局エロとバイオレンスかい。

それはさておき、「エルフ・17」はTVシリーズで見たかったなぁ。
原作のマニアックなネタ満載の漫画がTVでどう咀嚼されるのか興味あったのですが。
ちなみに原作漫画は宇宙漫遊記のテイストから始まりながら、
途中からルウの成人試験・学校編へとチェンジし、新キャラも増えて
益々賑やかに…というところで掲載誌の月刊コミコミ(白泉社)が休刊。
突然ブッツリ終わってしまい、非常に残念な思いだけが残ってしまいましたが。

エルフ・17 スタッフ

プロデューサー/加藤和夫・藤家和正
原作/山本貴嗣(白泉社刊・月刊コミコミ連載)
監督/坂田純一
作画監督・キャラクターデザイン/つかさ匡
メカニックデザイン/西前健司
脚本/富田祐弘
美術監督/勝又激
音楽/田中公平

主題歌「DoDoドピンク・パワー」/作詞・園部和範 作編曲・田中公平/歌・笠原弘子

制作/エイジェント21
アニメーション制作協力/アニメイトフィルム

キャスト
ルウ/本多知恵子
K・Kメカニカルディヴァイス/矢尾一樹
マスカット・タイラー/神谷明
運転手/屋良有作
長老/幹本雄之
アナウンサー/二又一成
レフリー/大滝進矢
用心棒/塩屋浩三
ハンマーマン/立木文彦
側近/小野健一


というかんじでお届けしました。
約二年ぶりの昭和OVA特集でした。
昭和OVAはもう一回出来たなら一区切りかなと考えています。

実は黎明期のAAV(アダルトアニメ)も
興味深い題材なんでやってみたいと
思ってるんですが、流石に画像は難しいかな。閲覧制限でもしない限りは。
普通のOVAよりさらに残りにくく、陽の当らないジャンルでもあるから
一度掘り下げてみたいんですが…

世間がこういう非常事態なので、当分の間
資料散策に国会図書館に行くことも出来なくなりました。
当分は手元にある過去の調査資料のストックを使いながら頁は作成できると思いますが
早くかつての日常を取り戻したいですね。
ではまた。




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