看板

冬もようやく終わります。そうはいってもまだ寒気が去る気配も無いままですが。
今回の御題は前回に続いてこちら。

昭和オリジナルビデオアニメの世界その3

昭和OVA特集の第三弾です。
このカテゴリに関しては本当に見てる人と見てない人の差が激しくて、
ある意味0か100か、な反応です。
そんな昭和のOVA特集も今回で三回目。見たことある人も無い人も、
日本のアニメシーンにおけるレガシーとして、まずはご覧下さい。




レリック・アーマー レガシアム

(1987年度作品 50分 製作・ネットワーク ムービック)

超秘密を秘めたロボットと鍵になる美少女が一体化して大活躍を…しません
OVA黎明期は人気アニメーターの第一回監督作品、というのが看板になっているものも結構ありました。
当時はアニメ雑誌などで人気の作画監督やデザイナーなどが著名人となっていて、
「この人の魅力を100%詰め込んだ作品がみたい!」
そう渇望してるアニメファンも多かったものです。
本作は「Zガンダム」「ガンダムZZ」で知られるアニメーター・北爪宏幸氏の第一回監督作品。
氏がどのような世界を描き上げたのか?あらすじはこちら。


惑星リバティアの田園に住む少女アルシア。
心穏やかで優しい彼女は祖父エルゼフと平和に暮らしていました。
エルゼフはこの世界に君臨する謎の遺跡「塔」を調べている研究者で、
その塔にまつわる謎の人型機械(着ぐるみ)「レガシアム」を有していました。


レガシアムは少女にしか装着が出来ない特異なマシーンであるため、
アルシアが操縦者となって調整が続いていました。
そこにレガシアムを奪おうとする管理者側(政府)の襲撃。
エルゼフは捕縛されたものの、アルシアをレガシアムに載せたまま逃亡させます。


急変する事態に翻弄されつつアルシアは脱出。
しかしレガシアムの真の能力も把握出来ないまま、
バッテリーパック切れで動けなくなりダウン。
そこに友人のドロシーとブリックが現れ彼女を救出。
知り合いのゼノとサハロも合流し、祖父エルゼフの救出に協力してくれる事になりました。


必死のエルゼフ救出作戦を行う一行。無事ゼノの陽動作戦も成功し、エルゼフは助け出されます。
そしてエルゼフの口から語られるレガシアムと塔の秘密。
レガシアムの奪還とゼノの征伐に燃える政府軍のダーツの猛攻を何とか潜り抜け、
ゼノとアルシアは脱出します。



この世界に異常が起こり始めている。その秘密が塔とレガシアムには隠されている。
何があるかは解らないけど、塔のある熱極に向かおう!
ゼノら一行は遺された耐熱防音トレーラーに乗り、
秘密を解き明かすべく、熱極に向かって旅立つのでした…。


あくまでも今回は導入部・序章ということだったのでしょう。
本来前後編での発売が計画されていた作品でしたので。ゆえに前編の本作では
レガシアムは活躍らしい活躍をしておらず、その秘められた能力も殆ど発揮していません。
せいぜい飛んでみせた&腕から刀を出して敵を切った、くらいで、あとは殆どやられっぱの助けられっぱ。
レガシアムの真の発動は次回の後編で…という事だったのでしょうが、結局この後はありませんでした。
続きを期待させるラストだっただけに勿体無い。
(本編中語られたレガシアムの特性といえば、少女にしか適応しないインターフェースと、
熱極下で行動できる唯一の機体、という程度。)

結果としてレガシアムの大活躍する場面と秘められた能力は、
今尚見ることが出来ないまま今日に至っております。

レリック・アーマー レガシアム スタッフ

制作/アトリエ戯雅
プロデューサー/高梨実・みつもりゆう子
原作・監督/北爪宏幸
脚本/遠藤明範
絵コンテ/望月智充・北爪宏幸・高山秀樹
演出/高山秀樹
作画監督/山下明彦・大森英敏・北爪宏幸
メカニック作画監督/大森英敏
美術監督/佐々木洋・菊地正典
SF考証/永瀬唯
キャラクターデザイン/北爪宏幸・山下明彦・山形厚史
メカニックデザイン/北爪宏幸・ふじたゆきひさ・安藤達也
音楽/矢野立美

エンディング「WE NEED LOVE」/作詞・リンダ.ヘンリック/作曲・瀬井広明/編曲・若草恵/歌・ひろえ純
挿入歌「答えて欲しい」/作詞・安藤芳彦/作曲・国安わたる/編曲・若草恵/歌・ひろえ純

キャスト
アルシア・グレイス/岩間えり子
エルゼフ・グレイス/永井一郎
ゼノ・モゼスティ/田中秀幸
サハロ/矢尾一樹
ドロシー・トワイフ/神代智恵
ブリック・トワイフ/松井菜桜子
フェルミス・リーク/勝生真沙子
ダーツ・アイラー/鈴置洋孝
ほか


ザ・ヒューマノイド 哀の惑星レザリア

(1986度年作品 45分 製作・東芝EMI株式会社)

愛に生き、愛に死すヒューマノイド
東芝EMI初のオリジナルビデオアニメ。
主役のヒューマノイド・アントワネットは空山基がデザインしたという事で話題にもなりました。
しかも声はハマーン様…もとい、アーマノイドレディの榊原良子。
榊原さんってメカ美女がよく似合うというかなんというか。
ヒューマノイドのそのスタイルといい、なんとも妖艶なエロティシズムを感じさせるボディラインで、
本編中においてもそれを損なう事無く、カナメプロが入念な作画で応えています。

製作・長尾聡浩
今回のテーマはヒューマノイドという
人工的なロボットと人間は共存できるかという事です。
これを若いスタッフでチャレンジしてみたい。
テーマは重いがエンターテインメントなものにしたい。

製作総指揮・芝崎寛政
世界的にも有名な空山基氏のセクシーロボットを
モチーフに映像化してみたかった。
クロームメッキの味を出すのは難しいだろうが、
カナメプロなら出来ると思う。
アニメファン以外のイラストファンにも見てほしい。
パート2も作っていく予定で、13本は作りたい。

監督・政木伸一
ストーリー的には新しさというより
むしろ「クサさ」を狙っています。

美術監督・勝又激
SFアクションものということで、「ウィンダリア」ほどの美術の見せ場は無いですね。
ただ、画面が平坦にならぬように、地球側は緑あふれるスカーッとした絵に、
敵のメガロス側はふきだまりのような感じの絵になるようにとコントラストをつけてます。
それから未来っぽくしすぎて生活とかけ離れた美術にならぬように気をつけています。
必然性無く未来未来した絵だと嘘っぽくなりますから。

あらすじはこんな感じ。

宇宙連絡船セルの乗員であるエリックとアーロン。
地球人とメガロス星人が共存する惑星レザリアに向け航行していたが、
突然謎の攻撃を受けてしまう。
已む無く本来の目的地ではないレザリアの地球エリアに不時着する。

エリックとアーロンは命からがら脱出するが、謎の攻撃は執拗に彼らを追い狙う。
逃げ込んだ先で二人は、ワトソン博士と、彼が開発した
ヒューマノイドのアントワネットに出会う。

実はメガロスでは、星の実権を握るプラウド総督が独裁者振りを次第に発揮し、
星の遺跡・イクシオンを発掘したことで大いなる野望を実現しようとしていた。
だがその遺跡を発動させるためには「鍵」が必要。
プラウドは人質作戦でワトソンから鍵の在り処を聞き出す。
「鍵は…アントワネットだ!」

鍵を手に入れたプラウドは狂喜し、遺跡を発動させる。
だが、遺跡は予想外の高エネルギーを発生させ、プラウドたちは蒸発。
このままではレザリアが崩壊し、みんな宇宙の塵と化してしまう!
それを止めんが為に、アントワネットが捨て身の行動に出た。
全ては、秘かに想いを寄せていたエリックを救いたいが為…。



基本的には独裁者タイプの総督に、被害に合う科学者と若者、
そこに遺跡やメカを絡めて宇宙SFをふりかけて…な感じの作品。
それだけならよくある感じですが、
やはりヒューマノイドのアントワネットの存在感が突出しています。
後半、服が破れてメカの素体がむき出しになるシーンは妙にエロチック。
ただ、時間が短かった事もあって、アントワネットが何故エリックに
一途な恋心を抱くようになったのか、というのが若干解りにくいかなぁ。
にしても命を捨てて遺跡とエリックを守って、
結果レザリアから発光したエメラルド色の光跡を、
エリックとシェリーが「綺麗…」と宇宙船で呟くシーンは、
アントワネットにすれば、ちとやるせないラストかも?

本作は1986年3月に「炎トリッパー」「県立地球防衛軍」のOVAと三本立で松竹富士系で劇場公開されました。

ザ・ヒューマノイド 哀の惑星レザリア スタッフ

製作総指揮/芝崎寛政
製作/長尾聡浩
プロデューサー/長尾聡浩
監修/影山楙倫・樋口純郎
監督/政木伸一
脚本/水出弘一・カナメプロダクション
作画監督/上條修
美術監督/勝又激
オリジナルキャラクター/空山基
キャラクターデザイン/小原渉平
サブメカニックデザイン/西井正典・佐藤智子
音楽/中島正雄

主題歌「ダンシング・イン・ザ・レイン−昨日よりも美しい人−」/作詞・三浦徳子/作編曲・佐藤健/歌・早川めぐみ
挿入歌「金色の微笑」/作詞・三浦徳子/作編曲・中島正雄/歌・早川めぐみ

アニメーション制作/カナメプロダクション

キャスト
エリック/矢尾一樹
アントワネット/榊原良子
シェリー/柴田由美
プラウド/曽我部和恭
アーロン/小林清志
ワトソン/柴田秀勝
イグナシア/あきやまひかり
リベロ/丸山詠二
側近/佐藤正治
ほか


超時空ロマネスク 沙美(SAMY) 
MISSING・99

(1986年度作品 60分 製作・販売 サイ.エンタープライズ・TDKコア株式会社)

ふしぎの国のアリス風味・異世界女神様バトル
OVA黎明期において「ドリームハンター麗夢」などの佳作で頭角を現していた
サイ.エンタープライズが、「ゴーバリアン」の奥田誠二・「レイズナー」の谷口守泰のタッグで
新たに世に出した異世界ファンタジーSFアニメがこちら。
「超時空」と冠についているのですが、ビッグウェストとは何の関係もありません。

総監督・奥田誠二
アニメ現場から企画が発生して、
主導的に作品を作り上げる事は今の状況では少ないのですが、今回はそういうやり方をしたい。
作り終わった後我々のグループがどこか光って見えればと思っています。

「魔」の超時空戦艦は多少時代がかったデザインにしてみたんです。
緑青色で、空中に毒をふりまきつつ進むイメージですね。
製作のTDKコアの協力で見たこともない画面を作ります。

作画監督・谷口守泰
今回の沙美については、「今まであったビデオヒロインと外れないように」と言われました。
主役には色々規制があるので、むしろ脇役のほうが好きですね。
個性がハッキリしてるし、任せてもらえますから。
今回では魔王の手下のシルバーに自分の持ち味が出たと思います。
あと、苦労したのはファンタジーっぽい世界に出てくるウサギ。
監督からは「ディズニーっぽく」と言われたのですが、これに一番手こずりました。
見どころとしては、炎のフォルムで魔王を作り出すシーンがあるのですが、
ここのシーンはそこそこのものになっていると思いますね。

宣伝担当・平良 務
見所は後半、沙美が一瞬菩薩になるのですが、
その部分だけコンピューターグラフィックスを使っているところ。
30秒から1分ぐらいですが期待して下さい。


ちなみにあらすじはこう。

ごくごく平凡な、どこにでもいる少女・沙美。
ある日、ひょんなことがきっかけで異世界に飛ばされてしまう。

それは、宇宙を支配しようと企む「魔」によって仕組まれた罠であり、
彼女は訳もわからないまま魔獣たちの巣窟たる
異世界で危機に晒される。

絶体絶命の沙美。そこに神の命を受けた4人の戦士が
彼女を救うべく「魔」の前に立ちはだかった。
実は沙美こそ、「魔」を滅ぼす秘めた能力を持つ女神であり、
その能力を恐れた「魔」の一族は
覚醒する前に彼女を消そうと目論んだのだ、と教えられる。

沙美が覚醒する前に消さねば!
「魔」の頭領たる帝王は超時空戦艦を出撃させる。
そして、ついに沙美は覚醒した…!

「魔」は敗れ、沙美は現世に帰還する。だが、
「魔」は滅んではいなかった。「このままでは済まさん!
いずれ別の世界に誘い込み、その力封じてみせよう…」



ごくごく普通の少女が異世界に突然巻き込まれて、
覚醒し女神となって悪を倒す…。なんか今となっては手垢にまみれたような
ファンタジーものの定番ですが、1986年当時はどうだったんでしょう?
やっぱし古かった?キャラデザインは谷口守泰さんなんで、
ヒロインにどこか「レイズナー」の面影がチラホラ。
作画面については戦闘シーンは奮闘していますね。
ラスト、敵戦艦とのバトルは結構迫力があります。ただ、やはり主人公の沙美が
いまひとつインパクトにかけるというか、曖昧な感がありまして。
異世界に飛ばされたのにもかかわらず飲み込みが
良すぎるというか順応性が高すぎるというか。話が進むにつれて戦士になったかと
思いきや一気に覚醒して女神になったりと、
最後まで沙美というパーソナルが掴みきれないまま物語が終わって
しまった印象です。ラストは一応現実世界に戻っては来たものの、
まだ展開次第では続きがあるよと言いたげなエンディング。
製作元のサイ・エンタープライズが翌年倒産してしまったのでそれも叶わなかったのですが。



超時空ロマネスク 沙美(SAMY)MISSING・99  スタッフ

企画・製作/黒田誠吾・沖山昭八
原作・脚本・総監督/奥田誠治
プロデューサー/外崎清・谷田部雄次
プランニング・プロデューサー/長谷川繁幸
監督/窪秀巳
作画監督・キャラクターデザイン/谷口守泰・新井豊
メカニックデザイン/吉田とおる

コンピューターグラフィック/TDKビデオセンター

音楽/後藤英雄

主題歌「風に抱かれて」/作詞・椎名恵/作曲・いけたけし/編曲・戸塚修/歌・椎名恵
挿入歌「見つめていたい」/作詞・小比類巻かほる/作曲・いけたけし/編曲・戸塚修/歌・麻木久仁子

アニメーション制作協力/TDKコア株式会社
制作/プロジェクトチーム永久機関・アウベック・アニメアール

キャスト
吉野沙美/平野文
日向時人/堀内賢雄
シルバー/池田秀一
戦士デュース/鈴置洋孝
戦士コディー/飛田展男
ノア/若本紀昭
鷹の帝王/小林清志
ビット/古谷徹
暴走族・マキ/山本百合子
メルヘン世界の魔女/小原乃梨子
ほか


GREED(グリード)

(1985年度作品 60分 
製作・フィルムリンクインターナショナル・ポニー・東和ポニー)

湖川友謙第一回監督作品。そのテーマは?
前述の「レガシアム」同様、こちらも人気アニメーター第一回監督作品。
「イデオン」「ザブングル」「ダンバイン」で当時絶大なる人気を
誇っていた実力派アニメーター・湖川友謙が原作・監督・脚本・作画監督etcと、
大車輪の如く奮闘したのが本作品。

原作・監督・脚本・絵コンテ・
キャラクターデザイン・作画監督
湖川友謙
GREED(グリード)のテーマは「欲」。
何本かビデオ作品の予定はありますが、
しばらくは同じテーマで作り続けようと思います。

果たして、湖川さんの第一回監督作品とは、どのような世界になっているんだろう?
ファンの期待も高かったのですが…
ちなみにこんなストーリー。

ヒュム・エリアに住む若者リッド・カイルは、
父の死の間際に「何者かによってこの世界は強大な邪悪に歪められている。
それを倒して世界を取り戻せ!遥か北へ…仲間を求めて旅に出ろ…」
という遺言を聞く。父の死後、リッドはこの世を歪めた
悪の権化ヴァイイを倒すための旅に出ることを決意する。


この世界は邪悪によって「妖精の国」「メカの国」など六つの世界に分けられていた。
長い長い旅路の中でリッドは
少女キイ、竜に変化できるバグダ、無言の戦士ロングン、メカの国のミマウなどと出会って仲間になり、
パーティーを組んで旅を続けていく。


様々な旅路や冒険の果てに、ついに一行は遺された「舟」で宇宙空間に飛び出し、
歪められた世界の姿を目視。その宇宙の悪の権化・ヴァイイのもとにたどり着く。
世界を歪め玩具のように玩んでいたヴァイイに怒りをあらわにするリッド。


ヴァイイの挑発に乗ったリッドは感情を爆発させ、憎しみの力を暴発させる。
しかしそれこそヴァイイの思惑だった。リッドは五人全員と合体、強大なパワーを得て
ヴァイイを消滅させたものの、自らが醜い悪鬼に化してしまった。


「嗚呼…!我々はヴァイイを倒すことのみに狂気していた!
我々の敵は我々の中にこそあった!ヴァイイは消え去り、
醜い我々だけが残っているのか…!」悲観に暮れるリッド。
悲しみが膨張し、爆発。宇宙空間を漂うリッドの魂。
しかしキイの言葉で彼は我に返り、
元の自分を取り戻すのだった。世界は歪みから解放され、そして彼の魂は故郷へ帰っていく…


う〜ん…。こういっちゃアレですが、話の展開がよく解らないというか、
話のスジにメリハリが無く散漫な印象を受けました。
異なる世界が複数混在する世界…という話なのですが、
一時間程度に収める為にいろいろ詰め込みすぎて、
説明不足な面もあってかなり混乱&矢継ぎ早な展開になり、
見てるほうが何がなにやら解らなくなってしまって。
主人公が父の死を契機に旅に出て仲間と出会い、
やがて世界を歪める悪の権化と戦うに至るも、
己が精神の根源の中に救う邪気に翻弄され悪鬼になり、
後悔し覚醒し再起を図る…
というスジ立て。
人の心の中の欲望に囁きかける悪魔メフィスト的な発想なんだと思うのですが、
見せ方が正直上手くありません。
出てくるキャラクターたちもイマイチはっきりと立ってないというか、
展開も御都合主義な面が目立ちます(みんなあっさり仲間になり過ぎ)
我儘の限りを尽くしてたヒロインのキイがラストに主人公を諭す役回りを演じられても
「お前が言うな」と言いたくなりますし。それにしてもラストのあの宇宙飛行士になって飛んでいくシーンは
どう捉えたらイイんでしょう?「主人公の思念のみが宇宙で実体化していて、
その思念体が戦いを終え本体に帰る」
という比喩なのでしょうか?
宇宙空間で人間が普通にビュンビュン飛んでたラストのバトルといい、
戦いの後「みんな元の場所に戻った」というキイのセリフといい、
ちょっと「?(なぜ)」の嵐です(例えが古い)
宇宙に出るまでの間に肉体と精神が分離した、という事?ううむ…
いろんな意味で説明不足の面が拭えない感じに終わってしまったのが残念というか。

GREED(グリード) スタッフ

製作/山本又一郎
企画・プロデューサー/山川紀生
原作・監督・脚本・絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督/湖川友謙
脚本/花井愛子
設定デザイン/もとのりゆき
ストーリーボード/ビーボォー・湖川友謙
演出助手/山崎友正
作画監督/大森英敏・北爪宏幸
音楽/丸谷晴彦

テーマソング「AMBITIOUS」/作詞・作曲/川口雅代/編曲・丸谷晴彦/歌・川口雅代(キャニオンレコード)

制作協力/悟空舎・ビーボォー・トーヨーリンクス
制作/フィルムリンクインターナショナル

キャスト
リッド/堀内賢雄
キイ/皆口裕子
バグダ/玄田哲章
ロングン/田中秀幸
ミマウ/榊原良子
ヴァイイ/大竹宏
ラールリップ/玉川砂記子
リオ/池田勝
イコ/川島千代子
ガイ/二又一成
オミ/佐藤正治
イノセントA/本多知恵子
イノセントB/伊藤美紀


COOL COOL BYE

(1986年度作品 45分(本編29分) 
製作・フィルムリンクインターナショナル・ポニー・東和ポニー)

前作とはガラリと変わった痛快娯楽アクション
前作「GREED」がやや観念的な話だったのですが、
第二作はうって変わって娯楽漫画映画で!と、いう事だったのでしょうか。

前作とはガラリと趣を変えた作品になったのが本作。
ちなみにあらすじはこんな感じ。


ハン一族の戦士、レックとハーン。そして参謀役の小動物・ゲゲ。
彼らは一族の掟に従って、戦士としての旅を続けている。
そんな彼らの前に、超弩級の飛行メカロボが現れる。
彼らは立ち向かうが、余りにもデカ過ぎる獲物ゆえにどうしようもなかった。

そんな彼らを訝しげに見る村の人々と長老。
「あんたがたに依頼した我々を失望させないでくれ」と釘をさす。
実は件の超弩級飛行メカロボは村の天才科学者・タンギーンの作った代物で、
村から全ての女性をさらって閉じ込めているのだと言う。
レックとハーンは救出依頼を請け負ったのだ。
しかし今のままでは手の出しようも無い。

一計を案じた村の少年・シリルは協力をレック達に提案。
村の若者コロラ、そして謎の少女クーリィもシリルと共に
タンギーンの潜む山へと向かう。
難攻不落の山岳地域をようやく攻略した一行は、
ついにタンギーンのメカ内に侵入。
外と内側から超弩級メカを破壊にかかる。

ついに超弩級メカは瓦解。内部から村の女性たちは救出された。
だがシリルの愛する少女・パメラはすでに息を引き取っていた。
クーリィは自らの命を与えてパメラを生き返らせる。
彼女の正体は「命の化身」だったのだ。
捉えられたタンギーンも長老の説得に改心。
村に平和は戻り、レックとハーンは再び旅立っていった。


原作・監督・脚本・絵コンテ・
キャラクターデザイン・作画監督
湖川友謙
今は制作の準備に終われてます。
話の内容を大まかに紹介すると、巨大なメカに苦しめられてる
いくつかの部落がある。その部落の人々が集まり、それに旅人も加わってメカと戦う、
といった感じ。セールスポイント?そうですね、今回は特に画面重視で
やってみたいと思ってるんですよ。セル画の枚数も1万5千枚くらい使う予定で、
かなり画面の質は高くなると思います。確かにセルの枚数が増えると
制作側は大変ですが、良い作品を作ろうと思えば逆に喜びに変わりますね(笑)。
単に枚数が多くてもだめで、それをいかに使うかが問題です。
とにかく画面をじっくり観て欲しい。

クールクールバイにはどんな女性キャラが登場するのですか?

一応女性は一人だけですね。後半わりとたくさん出てきますが、とりあえずメインは一人です。
彼女は「命の化身」で。これは画面に出てこない事で、見た目はごく普通の女の子なんですが、
僕の心の中のイメージはあくまで「命の化身」ということです。
ちょっと説明しにくいですけど。それで彼女が後半姿を変えるので、
本当は一人なんですけど、二人分の女の子がメインで出てきます。

先の「GREED」の観念的描写をスッパリ止めて、
ザブングル・ダンバイン的なキャラ&世界観に「未来少年コナン」的なアクションを
ミックスして作った作品…とも言えます。登場する巨大飛行メカロボは多分にギガントの匂いが
濃厚で、内部に入ってメカをグッチャグチャに壊す展開もマンマです。湖川さん、やりたかったんでしょうね。
主人公のハン兄弟はザブングル的要素の濃いキャラで好感が持てるのですが、本編中目立った活躍を
してたかというと、実はそうでもなかったりするんですよねコレが。むしろ美少年のシリル・ソコが
なんやかんやで物語の中心で、ハン兄弟はさながら賑やかし担当というか。
ラスト、死んでたパメラが命の化身の奇跡(?)であっさり生き返ったり、
(「シリル、貴方優しいから特別よ♪」とサービスされても…)
諸悪の根源のタンギーンがあっさり改心したりと、腰砕けな展開がちと残念ですが。
先の「GREED」よりも半分程度の短編というのも影響あるんでしょうけど、
全体的にストーリー性は薄く、アクションに終始した内容になっています。

ポニーキャニオン&ビーボォーのタッグはこの後も3〜4本程度OVAを製作する予定だったらしく、
この後も「JACK OF ALL TRADES EVERYTHING(仮)」という作品がすでに準備されていて、
1986年の7/21発売を予定し、雑誌にはキャラデザインまで掲載されていたのですが…。

結局出ることも無くそのまま立ち消え。
アニメスタジオのビーボォー自体も主要メンバーの離脱により1989年に無くなってしまいました。

COOL COOL BYE  スタッフ

企画・製作/山川紀生
原作・脚本・監督・キャラクターデザイン/湖川友謙
プロデューサー/林大三郎
設定協力/山下明彦
絵コンテ/ビーボォー
作画監督/湖川友謙・大森英敏
メカニックデザイン/野沢克哉
演出助手/伊藤文雄

音楽/佐藤健

エンディング「幸せの軌跡(フットルース)」/作詞・大津あきら/作曲・佐藤健/歌・日高のり子(キャニオンレコード)

アニメーション製作協力/ビーボォー・クリムランド
制作/フィルムリンクインターナショナル

キャスト
レック・ハン/野沢雅子
フレネー・ハン/田中真弓
シリル・ソコ/山田栄子
コロラ/堀秀行
クーリィ/あきやまひかり
ゲゲ/安西正弘
タンギーン/森功至
長老/矢田稔
コロン/伊藤美紀
村人/高田由美


というかんじでお届けしました記憶72回目。
まだまだ昭和OVA特集はやりたいのですが、そろそろレギュラー系も溜まって来てるもので。
「エルフ・17」や「アモン・サーガ」「チョコレートパニック」など、
黎明期OVAで取り上げたい作品はまだまだあるのですが…ね。
しかし昭和に区切ってさえ膨大な量のあるOVA。
平成以降も入れるとキリがないので流石に手は出せません。
にしてもDVD化されてる作品って本当にごくごく一部なんですよね。
こういうのってBSやCSで特集放送してくれませんかね?
権利問題等々あるとは思いますが、そこをなんとか。
ではまた次回。




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