看板

まず、最初にお断りを。
今回の記憶のかさブタは通常のバージョンではありません。
扱ってる題材が成人向として作られたものであるため、
未成年の方、そういう物に不快感を抱かれている方には
不向きな内容になっています。
故に、そのことを重々承知の上で退場、もしくは閲覧下さい。
また、当時使用された言葉には現在不適切な表現もありますが、
作品の歴史的価値、研究の視点から修正を行っておりません。
どうぞ御了承下さい。


★未成年の方や、成人アニメに嫌悪感を催す方はこちらから退場して下さい。









昭和オリジナルビデオアニメの世界
大人の番外編 第二章
くりいむレモン特集

すみません。ごめんなさい。と先に謝罪。
昭和OVA特集の実質第六弾は二度とやらないと言っていた
アダルトアニメビデオ特集第二弾。しかも通算100回目にしてこの御題。
♪お願いだから遠慮がちにしてね♪などと言ってる場合では無く。
実はこのくりいむレモンも先にやった
「昭和アダルトアニメビデオ編」で一カテゴリとして入れる予定だったのですが、
あまりにも膨大なのでオミットしたのです。これだけで単体もつな、いずれやろうと塩漬けにしてたら、
今回になってしまった次第。普通100回記念ならもっといろいろ考えましょうよと言われそうですが、
特にそういう記念碑的な意識も無かったので、別にいいや、と言う感じで。
いやいや、くりいむレモンシリーズが日本のアニメに残した爪痕は思いの外深いのですよ奥さん。
これを見て人生踏み外し、潰しの利かなくなった人がどれだけ多くいたか。
そんな日本アニメ界の蟻地獄たるアダルトアニメの中で特に大きく深い伝説のシリーズを
今回は考察して参りましょう。にしても2025年一発目からコレですか。

作品の内容が内容なので、扇情的なパッケージやスチールなどは
出来うる限り掲載しないように配慮しています。
また、作品の性質上・スタッフの明記はありません(一部例外もありますが)。
猥雑な目ではなく、日本のアニメの歴史的資料を
垣間見るような感じで見ていただければ幸いです。
では、始めましょうか、ナオミお姉さま。




AAV前夜〜当時のアニメ状況〜

まずは、発売直前までのアニメとエロスの関係性の流れから観察してまいりましょう。テストに出るよ(笑)。
性を扇情的に扱ったアニメーションは過去にも数作品あり、
成人向アニメとしては「○秘劇画・浮世絵千一夜(1969・レオプロダクション)」
成人指定は無いものの「千夜一夜物語(1969・虫プロ)」「クレオパトラ(1970・虫プロ)」
「ヤスジのポルノラマ やっちまえ!(1971.東京テレビ動画)」などがあり、TVアニメでも成人向として
制作されたものとして「仙人部落(1963・TCJ)」「まんが花の係長(1976・東京ムービー)」などが既にあったものの、
いずれも大きな流れになる事は無く、成人向アニメが定着することはありませんでした。
しかし、1977年の劇場公開版「宇宙戦艦ヤマト」から巻き上がったアニメブームによって、
ハイティーンによるアニメファンダム文化が浸透し、アニメ専門誌なども次々創刊、
いつしかアニメは子供向けのプログラムから若者向けのカルチャーのひとつとして認知されていくように
なったのですが、その過程で「アニメキャラに性的興味を抱く」ファンが少なからず存在する事が
次第に判明しはじめます。「宇宙戦艦ヤマト」の森雪、「機動戦士ガンダム」のセイラ・マスなど、
画面に出たサービスシーンを写真に収めて悦ぶファンが続出し、
これが実質「アダルトアニメビデオ」制作のとっかかりになった、と言われています。

思えば当時、アニメヒロインのヌードや入浴シーンは当たり前に描写されていていましたが
それは性的な目的と言うより、スタッフのお遊びと言うかサービス的な意味合いも多く、
「たまにはいいだろこんな遊びも」みたいなもんでした。が、雑誌や情報交換を通じて
「○話のモニターの中で○○が脱いでる!」「○話の6分過ぎに○○の乳○が見える!」なんて情報が共有され、
ビデオテープ擦り切れるほど凝視したり、プリントにおこすファンがわらわらといまして。
そんな状況下ゆえに、1980年代に入るともう、
なんというか「アニメヒロインは脱がなきゃ存在意義が失われる」みたいな風潮になっちゃってて、
少なくともTVアニメのヒロインは「うん、かわいい。じゃ、とりあえず脱ごうか」な状況になってました。
「うる星やつら」のラム、「Theかぼちゃワイン」のエル、「さすがの猿飛」の魔子、「戦闘メカザブングル」のラグ&エルチ、
「超時空要塞マクロス」のミンメイ、「魔境伝説アクロバンチ」のレイカ、「銀河烈風バクシンガー」のライラなど、
まあー皆様脱ぎっぷりのよろしい事で。当時は乳首券もバンバカ発行されていましたから。
逆に脱がないヒロインは「ヒロインの分際で何故脱がぬ!」と怪訝な表情をされる始末で。
TVをつければアニメヒロインがどっかで必ず脱いでいる…1980年代ってそういう時代でした。

しかし、脱いだり入浴したりだけでは前に進めない(?)と判断してか、さらなる先を描写する動きがこの時期出てきます。
「銀河旋風ブライガー(1981・国際映画社)」ではエンジェルお町がアニメヒロインとして初めてTVでベッドシーンを演じ、
(ルパン三世の峰不二子が先?いや、誘ってるシーンはあるけど、実際♂×♀はやってないし。)
「さすがの猿飛(1982・土田プロ)」では少女の服を引き裂くレイプまがいの演出も登場。
「宇宙戦艦ヤマト完結編(1983・ウエストケープコーポレーション)」では、
古代と雪の愛の営みが大スクリーン一杯に展開されていました(完全版では全面カット)
このように、アニメヒロインが性行為を行う事が次第に解禁されつつあった中にあって、
遂にワンダーキッズが世界初のアダルトアニメビデオソフト「雪の紅化粧/少女薔薇刑(1984年2月)」を発売。
劇画タッチ故に当時のアニメファンには敬遠され商業的には失敗したものの、
確実にアニメに対してエロスを求める層は存在している事が解り、
「TVアニメのようなキャラが本番ファックを行う作品」として、くりいむレモンの制作はスタートしました。


第一期前半



part1「媚・妹・baby」(1984.08.10発売 25分)
part2「エスカレーション」(1984.09.10発売 25分)
part3「SF超次元伝説ラル」(1984.12.03発売 25分)
part4「POP・CHASER」(1985.03.13発売 25分)


すべてはここから始まった…。アングラ感と試行錯誤が交錯する初期シリーズ


くりいむレモンに課せられた方向性は
※官能劇画のような劇画タッチにはしない
※犯罪性・暴力性を排除し、アニメファンに訴求するフィーリングを重視
※ファンに受け入れられるアニメ的キャラクターにすること
でした。そうして最初に作られたくりいむレモン第一作は、先行するワンダーキッズのフォーマットを踏襲するかの如く、
15分アニメ二本立。亜美&リエのWヒロインで販売する事となったのですが、早速ビデ倫から「NG」の通達が。
理由は「主人公の年齢が低すぎる」
(わたし、亜美、1●歳!と明らかにアウトな年齢が冒頭自己紹介されてます。一作目の亜美の肢体が幼いのはその年齢故)
「時間比率的に官能シーンが多過ぎる」
(そりゃまあ、亜美とリエの濃い部分だけ集めて30分にまとめたら、ほぼエロシーンになりますわいな)
という事で、亜美編とリエ編を分割。各々にドラマ部分を追加して各25分の単品作に仕立て直して再発売。

血のつながらない兄妹・ヒロシと亜美。ある日ヒロシは妹の亜美に異性として意識している自分に気づく。
一方の亜美もヒロシに対して、家族としての親愛以上のものを感じ始めていた。亜美の入浴を覗くヒロシは
そこで自分を想い自慰に耽る姿を目撃してしまう。それを契機にヒロシは亜美に告白。
亜美の未熟な肢体を開かせ、兄妹で禁断の性交に至ってしまう。しかしそれは悲劇の始まりだった。
(媚・妹・Baby)


全寮制のカトリック女学園に転校してきた少女リエ。登校早々生徒会長のナオミに見染められる。
ナオミと同室になったリエは喜ぶも、それはすべてナオミの画策だった。ナオミの寵愛はやがてSっ気を帯び始め、
ナオミのペット・ミドリも加わり、リエを責め苛む淫虐の宴と化していく…
(エスカレーション〜今夜はハードコア〜)


確か「月刊BOMB!(学研)」だったと思うのですが、
発売直前の時期にくりいむレモンの記事が組まれていて
「アニメだからって、バカにはできないよぉ!」というコピーが付いていたのが記憶に残ってます。
裏を返せば「アニメのポルノ?フン、そんなもの」という見方が当時の常識だったことの証明かと。
「所詮は漫画映画。絵に描いた餅に何が出来るのだ」という感じでしょうか。

が、蓋を開けてみればインド人もびっくり。結果、第1作「媚・妹・Baby」第2作「エスカレーション〜今夜はハードコア〜」は大ヒット。
双方の原作・キャラデザインを担当した富本起矢氏の描きだす「禁断」「背徳」の世界観が作品と見事にマッチし、
今なおこの二作品を「くりいむレモンの原典にして頂点」と崇めるファンは数多いです。

富本起矢ワールドに彩られた1・2作とは全く異なる新たな方向性として
提示されたのが3作目の「SF・超次元伝説ラル」
全宇宙の支配を目論む悪の魔法使いラモー・ルーが伝説の剣リバースを求めて惑星ラルに降り立った。
ラルの国の王女ユリアを拉致し剣のありかを聞き出そうとするラモー、
そんな時、平凡な村娘だったキャロンに異変が起こった…


くりいむレモンの今後の方向性を見極める為に制作された実験作とも言える一品で、
人気美少女コミック作家として知られる計奈恵と狐ノ間和歩がキャラデザインを担当。
特筆すべきは初回販売時、無修正で発売されたという点。しかもビデ倫の審査済。
アニメにおける性描写の修正基準がまだ蓄積されていなかった故の産物でしょうか。
当時「幻夢戦記レダ」などでアニメファンに衝撃を与えた異世界&ビキニアーマーを踏襲し、
性戯の相手も「触手」という新たなプレイを確立。
その後無数にアダルトアニメに溢れかえる触手プレイのさきがけともなった作品です。

多少遅れて発売された4作目「POP・CHASER」は参加した豪華なスタッフによる
派手なメカアクションと悪乗りパロギャグと濃密作画で今や伝説と化した異色作。


流れ者少女リオがセーラー服サロンの少女マイから用心棒を頼まれるのだが…というストーリーなどどーでもいい。
本作はご覧のようにギャグとパロと派手な爆発を脳みそからっぽにして見てればいいのである。
まともに筋を追ったら頭が痛くなる。
成人向アニメとしての実用性は正直どうかと思うものの、娯楽作品としてはクオリティが高いので、
アニメで楽しみたい人にはオススメかも。

初期4作品はいずれも高評価を得て、くりいむレモンはアダルトアニメとして確固たる地位を築く事に成功しました。
1・2と3・4ではまるっきり方向性もキャラデザインも異なるのですが、
様々な方向性を拡げる事で多くのファンに訴求出来る事もくりいむレモンの強みとなりました。


第一期中半



part5「亜美・AGAIN」(1985.04.10発売 25分)
part6「エスカレーション2 禁断のソナタ」(1985.05.25発売 25分)
part7「MAKO・セクシーシンフォニー」(1985.07.12発売 25分)
part8「スーパーバージン」(1985.09.10発売 25分)
part9「ハプニングサマー」(1985.10.17発売 25分)
part10「スタートラップ」(1985.11.10発売 25分)

待望の続編と、新たなるスター発掘を目指して

鮮烈なエロチシズム・アニメファン受けするキャラの魅力・雑誌媒体への積極的広告戦略などもあって
くりいむレモンは想定以上の大ヒット作となりました。当時創映新社の関係者もこのヒットについて
雑誌インタビューで次のように語っています。

創映新社・中野氏&足木氏インタビュー
テレビや劇場用アニメにたいする不満みたいなものがあったんでしょうね。
例えばSFアニメなんかでも、シャワーシーンがあるとそこに話題が集まったりする。
やはり、今までのアニメにはどうしても消化不良があったんじゃないですか。
そういう見る側の欲求不満に応えたということが大ヒットの原因みたいですね。
これからもファンの支持がある限り、人気は続いていくことでしょう。
「くりいむレモン」も良い作品を作ります。楽しみにして下さい!!

(週刊サンケイ1986年1月18日号「あふれる可愛さ!美少女アニメ大特集」記事より抜粋)

想定をはるかに超える空前のヒット。であるのなら、二匹目の泥鰌はまだまだいる、とばかりに、
当然のごとくシリーズの続編がリリースされる事になりました。
第5作「亜美・AGAIN」は人気ヒロインとなった一億人の妹・亜美の第二作。

 


物語は前作の三カ月後。兄が無理矢理ロンドン留学させられ(つー事はやっぱ直後にバレたんだ)
兄飢えで火照る体を持て余した亜美が友人に誘われたディスコ(時代やね)でプレイボーイ河野の
手に堕ち、その欲情の中で兄との関係を知られてしまう。「忘れさせてやるよ」とばかりに
亜美の秘所を責め苛む河野。亜美はこれからどうなってしまうのか…?
という話。
亜美シリーズにおけるヒール・悪の冴場遼こと河野クン初登場。以降最後まで亜美につきまとい
体を重ねるワルい男を演じていくのですが、気分転換でこんな男がたむろするディスコに亜美を
連れていく級友の今日子は何者なのだろう?亜美に避妊具渡したりするし。ロクなもんじゃないぞい。
今回は最初から亜美は高校生という設定の元に作画してる事もあって、亜美のプロポーションは
グッと大人っぽくなりました。一作目のほうが好みという人も多いだろうけど。

亜美の続編の次は当然…というわけで第6作「エスカレーション2〜禁断のソナタ〜」
一億人のペット・リエちゃんの第二作。ナオミお姉さまの卒業によって禁断の宴も終焉を迎えた…
ところがぎっちょん(by庵○○明)リエはナオミから招待を受け、嬉し恥ずかしな気持ちで
ナオミの邸宅を訪ねる。しかしそこでリエを待っていたのはナオミの淫虐な仕打ちだった…。


例によって調教されるリエのプレイバリューの広さ(縄でも洗濯バサミでもディルドーでも何でもござれ)
先輩ペットのミドリの嫉妬メラメラ具合も健在で、その嗜虐のボルテージは前作をもしのぎ、
本作品をエスカレーションシリーズの最高峰と評価する声も多数。淫猥・背徳・禁忌…。
初期くりいむレモンのエッセンスを余すところなく詰め込んだ濃密なる秀作です。

初期作品のパート2はいずれも期待にたがわぬ成功を収めます。しかし当時のくりいむレモンは
こんなところで止まらない。間髪いれずに新たなる名作を産み落とす事になるのです。
それが第7作「いけないマコちゃん MAKO・セクシーシンフォニー」

 


謎のアニメーター(笑)平●●弘と幕ノ内味美によって生みだされたニューヒロインは
男と触れる事すら出来ない潔癖症の美少女マコ。そんな彼女の前に現れた謎の少女・レプレスによって
マコは性の悦びを教えられていく
という展開。作画のグレードはもの凄く高く、本番行為こそ
無いものの興奮度は十二分で、人気故に即、続編の制作が決定しています。
どーでもいい事かも知れないけど本作のスタッフクレジットにある「演出・ちちもみのり」が
気になって仕方が無いんですけど。なんだろ、この頭の悪そうなネーミングは。

さて、問題の第8作「スーパーバージン」でございます。巷では「スーパームーミン」とまで
揶揄され、くりいむレモンの黒歴史だのシリーズ随一の不人気作と言われるシロモノですが…。
確かにキャラクターデザインは個性的に過ぎる(なんであんなに顔の縦幅が長いのだ?)のですが
設定やストーリーはどうだったのかというと、
EP学園内で対立する超能力女子会(スーパーバージングルーピー)と超能力男子会(超童貞倶楽部)。
ある日スーパーバージンの一人、魔子は女子に絡まれている多魔気を助けたことから懇意になるも、
実は多魔気は超童貞倶楽部の一員だった。その事を仲間から罪に問われ性拷問を受ける魔子。
しかしやがて魔子と多魔気の愛は止めようも無く燃えあがり…。

 


まずネーミングセンスがなんとも…。超童貞倶楽部ってなによ?パナマどこよ!(違)
ギャグとして針振り切った様なノリならいざ知らず、なまじ普通の話だけになんともし難いというか。
魔子と多魔気の愛の営みも平面的だし、超能力者同士のSEXだからかオーラほとばしる演出も
ありきたりというか、ああ、やっぱりね、な印象で。今の時代なら絵の多様性も広いから
この顔がいい、という人も一定数いる…のかな?発売が告知された当時はこのキャラ故か
予約がまったく伸びなかったのだとか。故に本作は早々に見切られ、第9作「ハプニングサマー」へと
主眼はスライドしていくのでした。合掌。

で、9作目の「ハプニングサマー」。このキャラを見て安心したファン多数(原体験)。
女性アニメーター美橋亜矢子さんがデザインしたヒロインのユキは愛らしく、内容は
どちらかというと少女漫画の世界。その内容はと言うと
少女ユキは姉の恋人、アキラにいけない想いを寄せていた。そんなある日、
アキラがユキの部屋に入って来た。ユキは想いをアキラに告白するが、どうも
アキラの様子がおかしい…と思った刹那、アキラがユキを…


男は狼なのよ気をつけなさい♪という歌詞を絵にしたかのような展開。
後味のいい話ではないものの、キャラが魅力的だったのが救いになってます。
にしても、くりいむレモンのヒロインって自慰が好きなんだなぁ(遠い目)。

で、節目の10作目となる「STAR TRAP」は「SF・超次元伝説ラル」以来の
計奈恵・狐ノ間和歩コンビによる第二弾。当時のTVアニメ「ダーティペア」を思わせる
キャラと設定ですが、タイトルを見るに某海外SF映画のパロ要素も。
銀河連邦宇宙艦隊所属のエスパー戦士ランとカナタはドジばかりの劣等生。
地上勤務についていた彼女に謎の宇宙植物惑星が地球に接近しつつあるとの情報が入る。
ランとカナタは宇宙船に乗り込み植物惑星に向かう。そこで彼女を待ち受けていたものは?


植物生命体の目的が繁殖で、女が子を産むから女性ばかり取り込もうとしていたのを
「男性がいないと繁殖しないの!」と指摘され、「だったらやり方を見せてくれ」といわれて
カナタが超能力で男性に変身し(つまりナニを生やし)「これを見れ」とばかりに
植物生命体の前でランと特出し生本番ファックショーを見せるという展開
(そしてその様を興味しんしん丸でガン見する植物生命体…あははバカだ…)
キャラの魅力はさすがの計奈&狐ノ間コンビ。盤石でよどみがありません。

途中、難が無いわけでは無かったものの全体的には好調をキープ。
シリーズはさらに続きます。


第一期後半



part11「黒猫館」(1985.12.10発売 30分)
part12「MAKO・セクシーシンフォニー2」(1986.02.25発売 25分)
part13「亜美3」(1986.05.25発売 25分)
part14「なりすスクランブル」(1986.08.05発売 25分)
part15「超次元伝説ラル2 ラ・モールの逆襲」(1986.12.05発売 25分)
part16「エスカレーション3 天使たちのエピローグ」(1987.02.21発売 25分)

人気シリーズ終章と次への布石

シリーズ開始から二年目を迎え、もはやアダルトアニメの代名詞ともなった「くりいむレモン」。
単なるビデオリリースに留まらず、多彩なメディアミックスを展開していきます。

 


文化放送のラジオ番組「アニメファンタジー・今夜はそっとくりいむレモン」(1985.11〜1986.4)が放送されたり
富士見美少女文庫としてくりいむレモンのノベライズ文庫が刊行されたり
(川端康成文学賞受賞作家の稲葉真弓氏が覆面作家として執筆していたことが後に告白される)
PC用ゲームとして「STAR TRAP」など複数の作品がゲーム化されリリースされたり、
徳間ジャパンからテーマソング「ノックはいらない」をはじめとしたレコード、音楽集(ピクチャーLP)
BGM集(フェアリープレスから発売。)が発売されたり、
さらには公式ファンクラブが設立されたりと、ムーブメントはどんどん大きなうねりとなっていきます。
制作に関わった関係者の方は当時を振り返りこう証言しています。

その時、美少女アニメの歴史は動いた
〜くりいむレモンの現場とは?〜
中矢圭治
―どういった経緯でくりいむレモンに関わったか?―

スタジオロビンから独立してスタジオNコンを立ち上げたんですが、
丁度その頃お付き合いしていたのがロボットアニメで定評のあったAICだったんです。
私がお手伝いしたのは「戦え!イクサー1」のOVAでしたね。AICもその頃下請けが少なくて、
「一緒にやりましょうか」ということになったんですよ。
「くりいむレモン」は独立して最初に関わった仕事ですね。
第5作「亜美・AGAIN」から新シリーズの「e・tude〜雪の鼓動〜」までのほぼ全作に
仕上で関わりました。途中からウチがやってたアニメーター養成学校を卒業した
阿部邦広(プロジェクトA子や新世紀エヴァンゲリオンに参加したフリーアニメーター)
原動画で描くようになりました。
(当時は)コミックマーケットとかで「うる星やつら」とかのエロパロ漫画が流行ったりしてた時代でした。
そんな時に「くりいむレモン」が世に出てきたから、
最初はちょっといかがわしい裏モノっぽい感覚の作品になっていたんですよ。
マイナーというか低予算で作っていたんで。それがかえっていい雰囲気を出していたというか。


―当時はかなりヒットしたとか―

アニメージュとかに広告を出したおかげで、わりに広く認知されるようになって、
ヒットのきっかけをつかんだように感じました。
「亜美・AGAIN」あたりになって、テーマソングまで付いたりして、メジャーな雰囲気が出てきたんですが、
個人的にはマイナーなノリが好きでした。


―その一方で業界内の反発もあったようですね。
アニメックでは編集長自ら批判文を掲載し、自誌への掲載を拒否すると公言していましたが―


アニメックの小牧編集長とは個人的に親しかったんだけど、出る杭は打たれると言うか。
でも、皆が求めるモノは防げないですよ。

―古株の人には抵抗が大きかったのでは?―

それはあります。アニメのエロってのが認知されてきたのはシリーズ自体が終わる頃だったけど、
やはりアダルトアニメを開拓したのは「くりいむレモン」だったんですよ。他の作品とかは入れ替わりが激しいのに、
「くりいむレモン」はいまだにレンタルビデオ店に総集編が置いてありますからね。
「くりいむレモン」が色褪せない理由っていうのは、ストーリーやキャラクター設定が
よく出来ていたからじゃないですか。その上で、劇中で肝心のシーンになるまで
ほとんど脱がないからエロシーンが活きていた。
それに比べると最近の美少女アニメは世界設定やキャラクター設定が甘いまま
作られていて、ひたすらエロだったりグロだったりですから。いやらしさと言う点では過激かも知れないけど、
いくら凄いエロシーンにしたって、所詮それは二次元ですから。
三次元の肉感や存在感にはかなわない。だから「くりいむレモン」は二次元のキャラにしっかりとした
ストーリー性、キャラクター性を与える事で命を吹き込み、エロシーンのクォリティを上げていったんですよ。

当時「くりいむレモン」はどこのスタジオが作ってたか解らなかったんですよ。
シリーズが進むと名前を出さないで、TVアニメで有名な制作会社(某P社)さんとかが作ってたりね。
(「くりいむレモン」が)売れたモンだから、有名な人やスタジオが「1カットでいいからやらせてくれ」って
言ってきたりして。みんなやりたかったんですよ。「POP・CHASER」がああいうことになったのも、
そんな流れからなんです。あの作品自体は凄いスタッフが集まっちゃって、
シリーズ的には毛色の違う作品になったけど。


私が元々日本アニメーション系列の出身ということもあって、名作劇場や「キャッツアイ」などにも
参加させていただいたり、最盛期には大阪、千葉、東北で合わせて300人ほどのスタッフがいました。
でも、その頃あたりからアニメ自体がどんどん増えていって、かなりすごい状況になって。
「くりいむレモン」からの流れで、劇場用作品「プロジェクトA子」「旅立ち〜亜美・終章〜」の
二本立も手掛けたんだけど、現場が「A子」に力を入れ過ぎて、
「亜美・終章」のスケジュールがギリギリまで押してしまってね。
あの頃は更に「メガゾーン23」「イクサー1」のシリーズも重なってて大変な状況でした。
「メガゾーン23」は第一作は影を三段につけてたけど、第二作は余裕がなくなってましたね。
この頃辺りから韓国への仕上げ外注を出すっていうのが始まったんです。
過密スケジュールってのもありますが、人手不足が大きいですね。
この頃から、みんなやってるうちに「アニメやってても儲からない」って事に気づき始めて(笑)。
養成学校でアニメの技術学んでもアニメのスタジオに行かずゲーム会社に就職する事が多くなっちゃってね。
それで慌てて韓国とかに仕事出すようになっちゃったんですよ。
「くりいむレモン」はほぼ国内で作ってたけど、「吸血姫美夕」あたりから韓国に出して、
戻って来た仕上げの中からヒドイものを修正する仕事が多くなってきた。
それでだんだんメインの仕事が出来なくなってきたんです。


(くりいむレモンマニアックス2 インフォレスト・2006年7月10日発行 34〜39頁記事より抜粋・一部文章再構成)

さて、本編に話を移しましょう。11作目「黒猫館」は久々の富本起矢ワールド。
大学生の村上は新聞の求人広告に誘われるように山奥の洋館「黒猫館」に書生のアルバイトとしてやってくる。
出迎える館の女主人をはじめとする三人の女性。
だが書生のバイトという広告は名目で、彼女らの真の目的は…

 


太平洋戦争直前の昭和16年という時代を舞台に、山奥の洋館で繰り広げられる背徳と淫猥と倒錯の性世界。
富本起矢エキス100%で生成された異色作ではあるものの、その魅力が如何なく発揮された傑作で、
その幻想的なラストを含め、本作品を今なお信奉するファン多数。初期くりいむレモンの
アングラかつ背徳的なノリを体現した、という意味ではある意味最後の作品なのですが…。

12作目は人気作となったマコちゃんの続編「いけないマコちゃん MAKO・セクシーシンフォニー2」
前作で性の悦びを知った為、箍が外れて自慰中毒少女となったマコ。それを悲しむレプレス(お前が契機や)。
その真の原因はフリーと名乗る謎の少女のしわざだった。実はレプレスとフリーはマコのセックスインパルスの
抑制と奔放をつかさどる精神の象徴だったのだ。フリーによって性奴隷と化したマコをレプレスは救えるか?


…なーんか、カ●オの脳内天使VS悪魔のエロバージョンみたいですな。つーか、それを具現化して
擬人化出来てしまうマコって何者なんでしょうか。どこかSFチックなのは制作者の影響もあってのことかな?
にしても性への対応が0か100かしか無いのね。マコちんってば極端。

13作目「亜美3」はくりいむレモンの立役者・亜美シリーズの三作目。
もはや看板女優となった亜美ちゃんの新作と言う事もあって、大いなる期待を持って迎え入れられました。
兄の事が忘れられず今日も今日とて自慰に耽る亜美(またかいなキミ)
そんな折ヒロシが帰国したと一報を受け、喜び勇んではせ参じた亜美だったが、ヒロシが告げたのは絶縁だった。
「もういけないんだ!…こんなこと!」
絶叫する亜美。放心状態で河野のマンションに向かった亜美は、憂さを晴らすように体を委ねていく…。


なーんかねぇ、色々スッキリしない話。亜美ちゃんすっかり自慰少女になっちゃって。
♪火照る火照る身が火照る〜って、がきデカじゃないんだから。しかも炬燵でやるかね。
にしてもほんとヒロシってロクでもない。自分が火をつけておいて、どの口でそんな言い草を。
劇場用映画「旅立ち」とほぼ同時に作られた作品で、アダルトアニメ亜美シリーズとしての完結編とも呼べる作品。
まあ、実際のところ終われなかったんですけどね。詳細は後述。
(しかし何で河野は亜美の生理が始まったのを気付いたんだろ?
 ヤり終わったあと、河野の先っちょに血が付いてたんだろうなやっぱ。)


14作「なりすスクランブル」はうってかわってとことんギャグ&パロ&スラップスティックなお気楽作品。
「ハプニングサマー」のアニメータ美橋亜矢子さん再登場。とにかく悪ノリのギャグが全方位展開。


学園長の娘なりす。彼女には秘密の任務があった。♪学園に危機が迫る時、うなる鉄拳破裏…もとい、
特殊強化服に身を固めて学園の敵と戦う任を強制されていたのだった。今日も学園に仇なす悪党が現れた!
いけ!なりすスクランブル!
…ハッキリ言って話の内容は無きに等しいもので、見どころはなりすの
ガメ●強化服とカーリーちゃん人形のギャグくらい。脇役がわちゃわちゃ賑やかな反面、主人公である
なりすの個性が乏しいのも難点。この娘もCLヒロインらしく自慰に耽っていますけどね。

15作「超次元伝説ラル2〜ラモー・ルーの逆襲〜」は第三作「SF超次元伝説ラル」の続編。
二年ブランクが開いたこともあって、物語は前作から3年後の世界。それに伴ってキャロンらの
デザインも成長バージョンに変更。これには賛否両論がありましたなぁ。あのロリキャラが
ぐっと大人っぽいスタイルに変わっちゃって。好みは人それぞれでしょうが。
リバースの剣で葬られたはずのラモー・ルーが三年の歳月を経て復活。村人を次々洗脳して支配下に置き
キャロンたちに復讐を始める。なんやかんやあって再び伝説の力を得たキャロンによってラモーは
打ち破られる。が、ラルの危機はまだ続いている。真の戦いがこれから始まろうとしていた…


ラストに次作への伏線がご丁寧に張られていて、三部作として完結させる予定だったことが伺えるものの、
結果三作目は制作されず。ビデオシリーズあるあるとはいえ、残念なことです。

16作「エスカレーション3〜天使たちのエピローグ〜」は人気シリーズ「エスカレーション」の三作目にして完結編。
同時に第一期くりいむレモンシリーズの最終作となりました。本作品ではそれまでキャラデザインを担当していた
富本起矢氏が降板し、みずまくら氏によって新たにキャラクターデザインが描き起こされたため前二作とは
キャラのテイストが大きく異なり、従来のファンからは戸惑いの声が。また内容もエスカレーションシリーズ定番の
「背徳」「淫猥」「禁断」といった要素が薄まり陽性のノリが強くなったため、
ファンから不満の上がる完結編になってしまいました。

 


リエの卒業が迫っていた。そんなリエに好意を寄せる後輩の元気少女・アリサ。彼女の押しの強さに戸惑いながら
リエはお姉さまとして彼女に性の手ほどきを行う。ナオミお姉さまをも双頭ディルドーで姦通するリエ。
ついにリエも後継者として立派な「お姉さま」になったのだった…。


秘められた空間で禁断の背徳に悦び喘ぐ少女たちの狂宴…というエッセンスはどこへやら。なんか明るい
青春レズファックものになっちゃった印象。いい汗かこう若人よ。新キャラのアリサ(底抜けに明るい元気っ娘)っていうのが
そもそもこの作品にとってミスマッチだったのでは?キャラデザインも愛らしいのは愛らしいけど
富本起矢キャラの持ってた「憂いの影」の要素が無くなってしまった。うーむ…。

この作品をもって、第一期くりいむレモンは終了。しかし
同シリーズは間髪入れずに新たなるステージに突入するのです。


第二期(新くりいむレモンシリーズ)



part1「森山塔スペシャル 5時間目のヴィーナス」(1987.03.21発売 25分)
part2「ホワイトシャドウ」(1987.04.15発売 25分)
part3「魔人形」(1987.05.01発売 25分)
part4「e・tude〜雪の鼓動〜」(1987.06.21発売 25分)
part5「ゆめいろBANNY」(1987.07.01発売 25分)
part6「サマーウィンド 少女たちが運んだ夏」(1987.07.30発売 25分)
part7「二人のハートブレイクライブ」(1987.12.26発売 25分)
part8「e・tude2 早春コンチェルト」(1988.01.21発売 25分)
part9「森山塔スペシャル2 放課後×××」(1988.03.21発売 25分)

制作会社変更と新たなテイストの模索


この17作目より、それまでも制作に関与していたAICが正式に「提携作品」として前面に。
名も新たに「新くりいむレモン」としてシリーズはリスタートします。
タイトルロゴも平仮名にラスタカラーっぽいお馴染みのモノから筆記体の横文字に。
どこか裏モノっぽいいかがわしさを感じさせる初期ロゴから、オサレなパチシエ風の看板に変わってしまいました。
まあ、レジ持っていく時の人の目は多少誤魔化せる効果はあったと思いますが(苦笑)。


そんな記念すべき新くりいむレモン第1作は美少女コミックの革命児・森山塔の完全オリジナル。

「原案とキャラクター表みたいなのを書いて、あらすじは友達に手伝って貰って2人で書きました。
 好き勝手やらせてもらった感じですね(森山塔)」


という新シリーズ第1作「5時間目のヴィーナス」の内容はというと
美術教師の苑子はラブホで見た裏ビデオに自分の生徒である葵しめじが出演しているのを目撃してしまう。
後日学校でしめじを問い詰めると、「父の会社が倒産し母が浮気、寝たきりの祖父介護にサラ金地獄やなんやかんやで
しゃーなしに裏ビデオ出ちゃいました。わーんごめんなさーいっ♪」これを信じてか否か、自身のゲージツに協力なら黙認すると
取引を要求。そして五時間目、しめじをモデルにした美術の授業が始まり、不条理かつ非常識な展開へ…。

 


実に森山塔っぽい独特の世界観。たたみかけるようなエロの応酬と攻め、スラップスティックな
展開とやりとり。非常識や犯罪的な行為も「何が悪いの?」と言わんばかりにさらっとこなす不条理さ。
「躍動感を出して!アニメなんだから!」苑子センセーのおっさる通り、よく動いてくれます(性的に)
エロスのボルテージはもしかしたらシリーズ随一かも知れません。が、その内容故に
「くりいむレモンのポリシーがついに破棄された」という声も聞かれた問題作。
とにもかくにも本作によって「新くりいむレモン」はスタートの口火を切ったのでした。


続く第2作「ホワイトシャドウ」は一風変わった作品ですが、新くりいむレモンの中ではなかなかの人気作。
新体操部のエース美少女・麻美はある日恋人の翔太からペンダントを貰う。
しかしある日、ペンダントの謎の力で鏡の世界に閉じ込められてしまう。
彼女に変わって鏡から出てきたもう一人の麻美。それは人の精気を吸う化物だったのだ…。


スペース・バンパイヤあたりが元ネタになった?麻美に化けて
男と性交を重ね精気を吸い上げ、ミイラみたいにして最後はバラバラスプラッターという
いかにも80年代中盤のホラーブームに合わせたかのような演出が垣間見えます。
麻美は新体操少女という事でレオタードが基本の子なんですが、本編での新体操は
基本止め絵。予算的に枚数食うようなシーンは描けなかったんでしょうね。
でもレオタードは描きたいと。


第3作「魔人形 (madol)」も先の「ホワイトシャドウ」と同じくややホラー要素の作品。当時の流行?
みばしあやこさんの描く謎の美少女・粧子は独特の存在感を醸し出しています。

 


クリスマスで賑わう町で、青年・広夢は謎の美少女と出会う。広夢は驚いた。
その少女は行方不明になっていた姉の友人・粧子だったのだ。やがて、魔に憑かれたかの
ように広夢は粧子に魅かれ、体を重ねていく…。


全体的な演出はホラーっぽいし、音楽も色彩もそれに合わせた感じ。
不可解かつ不思議なラストも印象的。ラスト、ああなった広夢はあのあと…?それでいいのか?


第4作「e・tude〜雪の鼓動〜」は新くりいむレモンにおける新時代の亜美シリーズとして
制作された作品。ヒロインの声も亜美の中のひと。それだけ期待も大きかったんでしょう。


帰国子女の由梨香は生まれつき心臓に欠陥があり、余命幾許もない体だった。由梨香には
亮という恋人がいた。しかし二人は体を重ねる事に不安があった。互いをいたわりつつ、遂に
愛の結合を果たす由梨香と亮。しかし亮は彼女の元を去っていくのだった。

内容は正直薄幸少女の純愛モノに性交渉シーンを付け足したような感じ。心臓弱いのに
そんな上になったり下になったりして大丈夫なのか由梨香?と観た人の大半がツッコミ。
制作者側の四苦八苦振りは伺えるものの、設定に遠慮してか肝心のHシーンが平凡なものに
なってしまい、さして印象に残らない仕上がりになってしまってます。


第5作「ゆめいろBUNNY」は前作の重さをウソぴょんと跳ね飛ばすようなウサギ少女・ミルクの
ハチャメチャギャグパロアニメ。


欲求不満のタクミ少年はナンパに連戦連敗。そんなタクミ少年の前に
謎のペット屋が現れ、幸運を呼ぶウサギ・ミルクを売りつける。さあその日からタクミ少年は
チ●●の乾く暇も無いほど、オンナに恵まれまくりますが…。
あげまんウサギを手に入れて
通りすがりの美少女からスケ●ン刑事(多分2代目) まで入れ食い状態我が世の春、ってなトコでしょうか。
「なりすスクランブル」同様の、ひたすらギャグとパロと悪ノリが横溢する作品で、ストーリーはほぼ皆無。
最後は行為に興味を抱いたミルクがタクミとヤっちゃうんだけど、これって獣姦になるのかね?
それでも「オレ理性無いもーん」でタクミが逆にミルクに襲いかかるオチはどう捉えりゃいいのやら。
ひたすら脳天気なオタク系のお遊びが随所に出てくる作品で、正直アダルトものとしてはどうかと思うけど。


第6作「サマーウィンド〜少女たちが運んだ夏〜」はまずその絵柄にビックリ。ハートカクテルの影響もある?
事故で死亡しこの世を去った恋人の想いを抱いて、海に向かった青年・陽。そこで陽は不思議な少女・美奈と出会う。
二人は急接近するも、なぜか彼女の行動は不審点が多い。美奈の正体とは?


ストーリーは意外といっては失礼だが、結構マジメな展開。故に急に始まるエロシーンが浮いてる印象。
せつない悲恋物語でもあるので、ポップな絵柄とギャップがあるように思いますが、これも味とみるべきか。


第7作「二人のハートブレイクライブ」は7作目発表から約半年後と、かなりブランクが開いたものの、
内容、作画、キャラともに評価の高い佳作。
早く大人になって憧れの幼馴染・こうじを振り向かせたいオマセな少女るり。ある日現れた宇宙人から
大人に変身できる魔法を手に入れた。るりはこうじが夢中になってるアイドル歌手・こなみに変身し
彼に接近するも、勢い余ったこうじによって大人の愛の営みを体験させられてしまった…。

 


当時TVシリーズで放送されていたぴえろ魔法少女シリーズの設定をそのままアダルトアニメに落し込んだ内容。
実際、本家のスタッフも参加していたのでは?と言われるほど類似性が指摘されている作品。Hシーンは
こなみ(大人に変身したるり) とこうじの性交シーンがメインですが、それよりロリコン蕎麦屋の妄想による
るり凌辱シーンのほうが肝かな。蕎麦を触手として少女を責めるとは。麺が生きているとはまさにこの事也。
あきらかに続編を匂わせるような終わり方をしておりますが、
結局ロリコン蕎麦屋の野望は果たされぬまま、40年という月日が経とうとしています(涙)。


第8作「e・tude2〜早春コンチェルト〜」は、「e・tude〜雪の鼓動〜」の続編かつ完結編。
連作シリーズとして考えられていたものの評価が芳しくなかった事で早々に打ち切りが決定し、
急遽前後編にまとめられる事に。その影響で重苦しいストーリーが方向転換されて
明るくシンプルな要素が追加され、キャラ設定もわかりやすいものに変更されています。


恋人亮と別れて数カ月。由梨香は悲しみにあけくれていた。
そんなある日、従兄弟のまさひろが由梨香のもとを訪れた。まさひろの明るさに
やがて由梨香は癒され、心が開かれていくのだった。

亮サイドと由梨香サイド両方で繰り広げられる愛の営みが見せ場でしょうか。
打ち切り短縮による余波で、ストーリーも単純明快になったので
前作よりは好感のもてる作りになったかも?


そして新くりいむレモンのトリを飾ったのは、第1作「5時間目のヴィーナス」に続く森山塔スペシャルパート2。
その第9作のタイトルは「放課後×××」(森山塔自身、なんと読むのか具体的に決めて無かったそうなので各々好きに呼称可)
大富豪のお嬢様・あすかはある日謎の覆面軍団に拉致され輪姦されてしまい、その痴態の写真をネタに
呼び出されてはレイプされるという日々を送っていた。それを知ったしめじと八千代(前作のキャラ)は
わるものを退治しあすかを助けるが、それはあすかを自分たちの性玩具にする事が目的だった。あすかの運命は?


筆談で会話する仮面強姦魔や、異様にあっけらかんとした世界観などに森山塔テイストを感じる事が出来ます。
お嬢様イジメという題材も含めてね。本作品では露骨に脅迫・強姦といった犯罪色の濃い描写が行われていて、
(くりいむレモンでは基本、強姦は扱わないのがポリシー)前作同様くりいむレモンとしては過激な異色作のひとつ。
新シリーズは森山塔に始まり森山塔に終わった、という締めでイイ、のかな?


その他



亜美・イマージュ 白い影(1985.12.25発売 30分)
亜美・青春グラフィティ くりいむレモン 亜美総集編(1986.01.21発売 80分)
旅立ち 亜美・終章(1986.08.10発売 40分)
くりいむレモンスペシャル DARK(1987.06.25発売 45分)
くりいむレモン卒業アルバム(1987.11.05発売 60分)
part0「幻のくりいむレモン」(1988.01.21発売 30分)

いろんなものがありました


シリーズとしてはカウントされないものの、くりいむレモンはエクストラコンテンツも数多く出しており、
それがラインナップのバラエティさを豊富にしていました。

「亜美・イマージュ〜白い影〜」はくりいむレモンレーベルながら一般作としてリリース。
ミュージックビデオのような構成で、物語は「亜美・AGAIN」後、街中でスカウトされた亜美が
レコーディングするという呈で進行。アイドルデビューを果たすもプロダクションの男に
ホテルに連れ込まれ暴行されそうに(そういう巡り合わせの娘なのね)なるも、振りほどいて
逃げたところ、河野の車に助け出されて終わる、という感じ。本番無し。まあ一般作だしね。
亜美のアイドルプロモビデオ的な目的で作られた作品なんですが、のちにこの「アイドル」という
設定が亜美自体に重くのしかかるようになります。


「亜美・青春グラフティ〜くりいむレモン亜美総集編〜」は劇場映画「旅立ち」をフォローする形で発売された
AAV版亜美シリーズ全3作の総集編。発売に当たって修正個所を全部やり直し、結果10ヵ所でビデ倫と揉めたとか。


お兄ちゃんのレーザーブレードは輪郭が解るくらい鮮明になってたし、モザイクも薄目で努力すれば見えそでウッフンな
ところまで軽減されています。各話の合間には新録の亜美モノローグが挟み込まれていて、より亜美の心境が解る作りに
なっています。しかも巻末にはテレビ東京で放送された幻の歌う天気予報版「亜美のGulty night」も収録。これは放送当時
多くの人が見逃して涙をのんだ幻の映像で(放送予定日に変更があって別日に放映された為)、くりいむレモンマニアには
垂涎のレア映像。天気予報のテロップも当然ながら無いぞ。描き下ろしのジャケット(上図)も気合ゴリゴリの力作。

そんな亜美シリーズの完結編、として作られた劇場用アニメーション映画が
「旅立ち〜亜美・終章〜」(1986年6月16日松竹系公開)
フィナーレの舞台は銀幕。やったぜアミちゃん。

アイドルデビューを果たした亜美。しかし亜美の心はヒロシを忘れられないでいる。
気がつけば亜美は高校最後の年を迎えていた。アイドル活動、両親の離婚、将来の進路…。
亜美が多くの難題を抱え苦しんでいた矢先、ヒロシが帰国。亜美に別れを告げる。
ショックで落ち込む亜美を見かねたクラスメイトのさとみと今日子が、北海道旅行に誘う。
暫く後、傷心の亜美がヒロシの部屋である写真を発見し、そこに書かれていた
「もし亜美が妹でなかったら…」という言葉を見つける。亜美はヒロシの真意を知ったのだ。
アイドルの仕事、河野との関係、すべてを終わらせようと決意し、亜美はイギリスへ旅立つ事を決めたのだった。
未来に進む為に…。

これが終章の内容。はっきり言って、いきなりここから見始めた人は訳ワカメでしょうね。
あくまで1〜3、イマージュまで追っかけてくれた人に向け発表した映画、という感じ。
これ、プロジェクトA子と同時上映された映画なんですが、A子は派手な予告編が流れていたのに
旅立ちは静止画フリップ一枚が5秒ほど流れたのみ。時間がなかったからなのか、
元が成人向アニメだから憂慮したからか…?なんにせよ、これをもってみんなの愛妹・亜美の物語は
終焉を迎えるはず、だった…のですが…。


亜美関連以外のエクストラコンテンツもここで紹介。「くりいむレモンスペシャル」としてアリスJAPANから
発売された番外編が異色のホラーポルノ「DARK〜ダーク〜」


画学生ニールは道の途中で神学生のネッドを車に乗せて近くの街まで送る事に。だが突然の落雷が原因で
車が破損。そこに通りかかった馬車が二人を助けて古城のような館へと誘う。その館は無数の人形が飾られた
不思議な空間。そこに住むのは女主人マリア、召使いのベス、そして彼らを案内した従者ハイアム。
これから始まる悪夢の惨劇を、ニールとネッドは知る由も無かった…。

タイトル通り暗く残酷かつ、ミステリアスな内容。当時はホラーものが流行していたこともあってか
本作品もその例にもれず、「ホラーポルノ」として売られていました。キャラクターデザインを新田真子氏が担当した
事も話題になりましたが、アニメになるとあまり似なくなっちゃうのが残念。

くりいむレモン3周年記念スペシャルとして作られたお祭り企画ビデオが「卒業アルバム くりいむレモン名場面集」
その名の通り、過去三年分の名場面ダイジェストをわいわいと楽しむ内容(パート8のみ1カットしか出てこない。不憫だ)
で、本ビデオオリジナルのナビゲーター娘も登場。なんでこの子がナビ担当?などと言ってはいけない。

 


新シリーズ終了後の1988年に突然発売されたのが「幻のくりぃむレモンPart0」


0、の名の通り、一作目発表前にビデ倫にはねられた亜美&リエ・15分二本立の初期構成を再現したパッケージ。
本当の元祖はこういう形だったのだッ、と言わんばかりに。
こういう初期フォーマットがウリになるほど、くりいむレモンは歴史的コンテンツになったのだ、という証でしょうか。
店頭販売はされず通販のみのリリース品ではありますが。

総集編コンテンツは亜美シリーズのほか「いけないマコちゃん MAKO・セクシーシンフォニー総集編」
「エスカレーション総集編」「森山塔傑作選」
などもリリースされましたが、今回は割愛。


第三期(亜美それから〜編)


亜美それから第一部〜哀しみのなかで〜(1988.10.21発売 40分)
亜美それから第二部〜忘れたいのに〜(1989.02.03発売 40分)
亜美それから第三部〜抱かれたいのに〜(1989.06.21発売 40分)
亜美それから第四部〜微笑のなかで〜(1990.05.21発売 40分)



新たなスターを生み出せなかった故の苦肉の策…

この時点(1988年)でシリーズ累計70万本を売上げ、名実ともにアダルトアニメの頂点に立ったくりいむレモン。
TVアニメシリーズ(レモンエンジェル・1987〜88 三シリーズ)も始まり、
さらにそれから派生したコミックも連載開始(YJ版レモンエンジェル・(わたべ淳))
アングラでマイナーな舞台から始まった作品は一気にメジャーな檜舞台に躍り出たのです。

しかしその反面、シリーズは苦境に立たされていました。
人気シリーズ「亜美シリーズ」「エスカレーションシリーズ」の完結、
新たなる人気シリーズ擁立の失敗と挫折、
台頭しはじめる他メーカーの人気作(「うろつき童子」「リヨン伝説フレア」)など
フェアリーダストは多くの難題や壁に対峙する事となります。思案あぐねた結果、
完結したはずの「亜美」シリーズのその後を制作・シリーズ化する事となりました。
結局、新たなスターキャラを生みだす事の出来なかったフェアリーダストが
迷走の末に生みだした苦肉の新作。それが「亜美・それから」四部作だったのです。

本作制作にあたり、今までの亜美役の声優さんが出演を固辞した事もあって、新たに
野々村亜美(この時、ようやく名字がつきました。それまでは「亜美」だけだったので)役の
声優をオーディションで決める事になりました。100名を超える応募者の中から選ばれたのは
ラジオCFのナレーションなどの仕事をしていた当時21歳のタレントで、これを機に
芸名も「野々村亜美」に改名。
梶原一騎が自身の映画主演女優に「白木葉子」「早乙女愛」と命名した事象を彷彿とさせますね。

あの「くりいむレモン」の喘ぎ声ギャル 野々村亜美(21)
「おはようございまーす」と透きとおった声。なんとも楚々とした美少女が現れた。(中略)
くりいむレモンシリーズ最新作でヒロインの亜美の声の主として100名を超す応募者の中から選ばれたのが、
この野々村亜美ちゃん(21)。高校卒業後、ラジオCFのナレーションなどを務めたタレント。
アダルト・アニメといえば、下手な実写ビデオ顔負けのいやらしさ。
しかも録音(アフレコ)中は画面は無修正とかで、もろ見え。
「こんなシーンがあるなんて知らなかったんです…」と亜美ちゃん。
「ゆくゆくは「母をたずねて三千里」とか「小公子」みたいなアニメに出演したいんです。」だって。
素顔はカワイイお嬢様デシタ。ハイ。

週刊宝石1989年4月20日号記事より抜粋

そんな新たな亜美ボイスを迎え、原点回帰を狙うかのように、タイトルロゴも昔のものに回帰。
この平仮名&ラスタカラーの「くりいむレモン」に「そうそう、このロゴよ」と歓喜したファン多数。
さて、多くの期待を背負って仕切り直された新・亜美シリーズ。その内容とは?

イギリスに行き、ヒロシの心を取り戻した亜美。その後帰国しアイドルとしても大成功し
大きなコンサートを開く事が決定し、猛レッスンの日々を充実しながら過ごしていた。そんな彼女の前に
再び河野が現れる。実は彼は日本最大の芸能事務所社長の御曹司で、そのコネを利用して亜美のプロデューサーに
就任したのだった。ヘビのように亜美から離れない河野の魔手。さらに亜美に河野を渡すまいと嫉妬の炎を
燃やす秘書のユキ。ドロドロの人間関係に絶望した矢先、ヒロシが帰国。なんとヒロシの傍らには彼の婚約者
ジャクリーンが寄り添っていた。ショックで崩れ落ちる亜美は「もう唄えない」と憔悴。心の隙間を埋めるが
如く、マネージャー中西のもとを訪ね、心と体を慰めるのであった。
(哀しみのなかで)


河野が亜美のプロデュースを担当する事になり、亜美は河野の支配下に置かれてしまう。不本意の中
レッスンを続ける亜美。マネージャー中西は亜美を河野から庇おうとするものの、行為の一件がバレて
クビを切られてしまった。さらに河野は亜美に接近し、昔のように行為を迫る。開き直った亜美は
河野を受け入れ、愛欲に悶える。行為の後、河野は亜美にプロポーズする。困惑の亜美。一方ヒロシは
婚約者ジャクリーンとデート中。しかしなぜかヒロシの気分は晴れなかった…。
(忘れたいのに)


河野は亜美にプロポーズしたが、それは秘書のユキと二股を続ける事を考慮に入れた狡猾な企みだった。
そうとは知らず河野との結婚を決意する亜美。そんな折、ヒロシは母から亜美と河野の結婚話を聞かされ、
亜美が待機してるホテルに向かう。「5分だけ話をしたい」その呼びかけに亜美はヒロシと再会。改めて
河野と結婚すると告げ、亜美はコンサート会場に向かっていく…。
(抱かれたいのに)


ついに来たコンサート。河野の求婚・ヒロシとの再会、様々な事柄による動揺を抑え込みながら
ステージに立つ亜美。その会場にはヒロシとジャクリーンもいた。ジャクリーンはヒロシの気持ちが
亜美にある事を確信。別れを告げヒロシの元から去っいく。コンサートは順調に進み最終公演の日、
ヒロシは亜美に「終わったら絵画館で待ってる」と告げる。そして終演後、河野の見守る中再会する亜美とヒロシ。
そこでヒロシは亜美に長年募らせていた愛の告白をおこなう。過去の想い出が一気にフラッシュバックする亜美。
その瞬間、彼女はすべての束縛から解放されたのだ。そこには、生まれ変わった亜美がいた。
一人の女性に立ちかえった彼女は、ヒロシと河野に別れを告げ、新しい愛を求めて去っていく…。
(微笑のなかで)


えーっと…どう…なの?これは?回り回って巡り巡って、最後はこういう焼き上がりですか。
これなら「旅立ち」で終わっておいてよかったんでないかい?とも。まあ、本来終わった話を
無理矢理続けるなんて無茶をすればこうなるか。にしても亜美の発散方法ってアレしか無いのか?
元凶はやはりヒロシだな。イラんこと仕込むからこうなる。しかもこのヒロシがあっちフラフラこっちウロウロ。
何べんもイギリスから帰って来てはキラーワード放って亜美を傷つける。何がしたいのだこのカ●ーユは。
この兄妹にかかわった中西&ジャクリーンが不憫でならない。このシリーズでのヒールは河野と言われてますが
いやいや、真のヒールはヒロシで決まりでしょう。あと、気になったのはキャラクターの作画。見て頂くと解るように
一章ごとに亜美の顔がコロコロ変わるのは何とかならんかったのか。せめてシリーズ通して統一してほしかったけど
担当作画スタッフなりの「俺の亜美」があったんでしょうね。さすが一億人の妹というべきか。

 


この作品、第三部から第四部の間が実に1年も開いていますが、まあ制作に時間かかった以上に
後述の社会的事情が大きく影響しています。そしてこの社会的事情が、美少女アニメ「くりいむレモン」に
決定的な打撃を与えてしまうのです。


第三期(漫画家シリーズ編)



「魔導都市アスタロト」(1989.09.01発売 40分)
「唯登志樹ベストヒット ヨーロッパの印象」(一般版 1989.12.01発売 25分 /完全版 1990.06.21発売 35分)
「亜麻木桂ベストヒット チェリーなゆううつ」(一般版 1990.01.21発売 25分 /完全版 1990.07.21発売 40分)
「森山塔ベストヒット そうかもしんない」(一般版 1990.01.21発売 25分 /完全版 1990.08.21発売 30分)



意欲作が揃っていたものの、時期に恵まれず…


新たな軸を求めたフェアリーダストは、先の新くりいむレモンでもタッグを組んだ森山塔をはじめとする
人気美少女コミック作家とのコラボ企画に主軸を移します。PART3からの付き合いの計奈恵氏の新作を
皮切りに、唯登志樹、亜麻木桂と人気作家原案の作品を次々アニメ化。〆はお馴染み森山塔に、と
パワフルなラインナップが発表され、大いにファンも期待を膨らませたものです。

かつて世界滅亡を目論み、エルフの戦士によって封印された魔王バローアが
魔族メルジーヌによって再び復活に向けて動き出した。魔王復活のエネルギーを集める為
各地の魔導師がメルジーヌに襲撃される。伝説のエルフ属の生き残り・メルは魔導都市アスタロトの
剣士見習いクラムとともにメルジーヌと対峙する。魔王を倒す事の出来る光の剣をめぐり、神殿で
繰り広げられる激しい戦い。果たしてメルたちは世界を救えるか?
(魔道都市アスタロト)


ラルから実に5年、その間にファミコンなどのRPGブームがあったせいか、剣と魔法RPGの雰囲気を
如実に匂わせる内容になっています。今回はあくまでも導入部と言う事だったのでしょう。事実、
続編が予定されていたものの、結局立ち消え。単発作品として終わってしまいました。
「あれ、前置き、たるかったし」計奈恵先生も後に漫画で語ってらっしゃいましたが、ああ、確かに。
(ちなみにこの作品だけ「くりいむレモン」のロゴが独特。第三のロゴになる予定だった?)


とある地球のとある世界のとある日本からとあるヨーロッパにやってきたとある「私」。
とある空港に降り立ったものの、とある雲助タクシー運転手に姦通されてしまう。
お金もパスポートも奪われた「私」は街で偶然出会ったとある美少女剣士と出会い、
元凶たる雲助タクシーを探し、パスポート奪還を目論むが…。
(ヨーロッパの印象)


不条理と幻想を全体にちらばめた不思議な作品。ヨーロッパとか日本とか言ってはいるものの
「異世界のヨーロッパ」「異世界の日本」という意味であるため、SFとも理不尽ともつかない
不可思議な物語が展開される作品。唯登詩樹キャラにしてはややアニメ的翻訳が強くなってるため、違う印象を受けますが。


トモミとマサヒコは三度目のデートで初めてのベッドイン。が、互いに初体験ゆえにうまくいかず失敗。
困ったトモミは友達のエリコに相談。ナツミ先輩と共に初体験の手ほどきを受ける。
その甲斐あって、ついに初SEXに成功したトモミであった。
(チェリーなゆううつ)


正直、内容はオーソドックスに過ぎるくらいに真っ正直な直球話。亜麻木硅キャラ独特のぽっちゃり感と
氏の好みたる百合シチュエーションが組み込まれている以外はいたってフツーな仕上がり。


ある日ある時、公園で拳銃を拾った少年(?)。それは本物だった。それを使って少年(?)は電車で、
公園で、喫茶店で、そしてTV局で傍若無人の限りを尽くす。少年(?)のいきつく先は?
(そうかもしんない)


森山塔作品らしく、理不尽と不条理で全身がコーティングされた怪作。随所にパロディキャラを散りばめ、
拳銃と言う絶対的暴力の前に崩壊させられる日常を舞台に、濃厚でテンション高めのエロシーンが絡みつく構成。
想像の斜め上を行くネタバラシなど、いろんな意味で不意打ちを食らう作品ではあります。
しかしまだヤれるとは…う〜んうらやまちい…。(武田金八氏・談)

いずれもカラーの異なるバラエティ豊かなもので、個性的な作品ぞろいでした。
…が、想定外の事態により、この人気作家シリーズは迷走の坩堝に巻き込まれてしまうのです。
それは1989年8月に発生した埼玉の事件がきっかけでした。
犯人の自宅が報道で映し出され、加害者が所謂アニメ・マンガオタクであると伝えられて以降、
一気に美少女アニメ&コミック、オタクというものに対して厳しい目が向けられるようになったのです。
それまでスルーされたいた描写や商品が一気に禁忌・規制の対象となり、糾弾運動や不買活動のようなものまで巻き上がり
美少女マンガ・アニメ業界はそれまで経験した事のない逆風に晒される事となったのです。
(実際この時期、中止になったアニメ企画や急に終了した美少女コミックの連載とか、影響は数知れず)
翌90年以降も 「有害コミック問題」などで逆風は留まる事を知らず、
もはや「美少女」「ロリコン」と口にすることすら憚られる状況。
(なにせ世間一般に「オタク」とバレたら殺されかねない、という空気でしたから。どこのウルフアタッカーだよ。)
そんな逆風の真っ只中に、運悪くこの「漫画家シリーズ」ははち合わせてしまうのです。
こんな状況下で成人向美少女アニメをリリースしたりなんかしたらどういう事になるか…。火に油を注ぎかねない。
一番最初の「魔導都市アスタロト」はギリギリ間に合ったので本来の18禁スタイルでリリース出来たのですが、
残り三本の漫画家シリーズはそんな社会的情勢を配慮してか、官能場面をカットし、一般向ビデオに改変するという離れ技で
リリースする事となりました。今更発売中止にも出来ないし、仕方がなかったのでしょう。


その後、これら3作品は時期を置いて本来の「18禁完全版」として再リリースされ、ようやくユーザーのもとに
お披露目することが出来たものの、骨抜きの一般バージョンを先に出してしまったのが仇となったのか、
本命盤が出ても「今更」という感じで、さして話題的には盛り上がらなかった記憶があります。
最初から完全版で出せていればあるいは…と言ったところで仕方のない話。歴史に「IF」は無いのです。でも…勿体無い。


第四期(無印)


青い性〜アンジェ&ローズ〜(1992.07.17発売 30分)
続・黒猫館(1993.03.19発売 45分)

そして幕、新たな時代へ

様々な社会的情勢と世間の目が厳しくなってきた事もあって、
美少女アニメ並び美少女コミック業界は逆風にさらされる状況となります。
そんな苦境下にあっても、くりいむレモンはなおも2本の新作を発表します。
しかしそれは、苦難の中で生みだされた佳品だったのか、徒花だったのか?

「青い性〜アンジェ&ローズ〜」は「Comicパピポ」などで人気のあった漫画家・悶々氏をキャラクターデザインに招き、
新機軸を打ち出そうと試みた意欲作でした。本来1992年春の発売を予定していましたが、
諸事情により夏まで延期。逆風下での新作発表はいろいろ大変だったようです。

 


カナダにホームステイに訪れた日本人少年・としやは、ステイ先の家で伯母であるローズとその娘アンジェ、
その妹のエディと出会う。ある日の夜、自慰にふけるローズを目撃してしまった。「内緒よ…」
としやは彼女と、そしてアンジェとの性体験を繰り広げていく…

という内容。ヒロインのアンジェより伯母ローズとのエロスが前面に出ている作品で、
エマニエル夫人を思わせる雰囲気がなかなか異色。
大人の妖艶な色香に誘惑される少年、という描写は「美少女アニメ」を冠に掲げるくりいむレモンとしては
毛色が違うようにも思うのですが、発表当時(1992)の有害コミック問題の余波もあって、
ロリコンアニメというそしりを免れたかった側面もあったのかも。



そして実質上、連続アニメシリーズとしては最終作となった「続・黒猫館」
文字通り1986年発表の名作「黒猫館」の30年後を描いた続編。
時は昭和40年代。50歳を過ぎた村上は弁護士になり、妻と娘と日々を過ごしていた。
ある日新聞広告で家庭教師の募集広告を目にした村上は驚愕する。広告主は「黒猫館」だった。
しかも軽井沢ではなく東京郊外?村上は黒猫館に向かった。そこには年老いたメイドがおり、
さらに驚く事に30年前となんら変わらぬ女主人冴子と娘の亜里沙がいた。
そして村上自身、なぜか30年前の姿に戻っていた。再会を喜び、体を重ね合わせる村上。
冴子と娘の亜里沙に隠された秘密とは…?

 


という話。村上は30年経っても懲りていないというか、謎のワインでまず勘ぐれ。
本作品は本家「黒猫館」のスタッフがノータッチと言う事もあってか、キャラが微妙に違います。
隠微な陰とでもいう妖めかしさが消え、ただキツ目のかわいいキャラになった印象。
30年後という設定ですが、年老いたメイドの正体はやはり「あや」。どう計算しても還暦には至ってないハズですが…
あんな老婆になるなんて、気苦労多かったんでしょうか。そして冴子と亜里沙の若さとワインの秘密が解かれます。
ネタバレになるんで詳しく言いませんが、こんな種明かしされるのならずっと黙っててほしかった。
妖しく隠微でなまめかしく、そして謎は謎のままであったほうが作品世界的にもよかったのになぁ
これじゃ冴子は妖怪としぬすみかサキュバスの類だ。18禁らしくヤる事はちゃんとヤってんですけどね。
そんな内容だもんで旧作ファンの評価は芳しくなく、この作品を最後にくりいむレモンの新作はストップ。
2001年に「新世紀くりいむレモンシリーズ」が始まるまでの実に8年に渡り、
アニメシリーズは眠りにつく事になりました。

以降くりいむレモンは「くりいむレモン New Generationシリーズ」「実写ビデオ版」
「劇場映画「くりいむレモン」(監督・山下敦弘)」
と、スタイルを変えて新作は発表されていきますが、
本章ではあくまでもアニメシリーズとして連綿と続いていた時期に絞ったので、
「続・黒猫館」を以て一つの区切りとさせていただきました。御了承下さい。


まとめ
あらためて成人向アニメのパイオニアたる本シリーズを振り返ると、実に様々な方向性を模索しながら、
バラエティ豊かな作品群を輩出していた事が解ります。
1984年当時、アニメでセックスを描くと言う事自体が信じられなかった時代において、
初期は文字通り「禁断の世界を覗き見る」「背徳に慄きながらも性の悦びに歓喜する」という雰囲気の作品で、
このシリーズはそういう路線なのかと思いきや、次作はうってかわった陽性のタッチと異世界風味に変わり、
以降は一作ごとにノリもテンションも絵柄も変わる変わる。
要は「くりいむレモン」という屋号とポリシー、「美少女」「えっち」というノルマさえ守れば、
30分何やったって構わないと言う自遊な環境。
有名無名を問わず、多くのアニメーターが日頃のウサを晴らすかのようにワイワイやってた
お祭り空間のように思えました。それ故の弊害もあるというか、
遊びが過ぎて(というかフザけすぎて)エロとして使えないモノとか、
これ本当にコンテ切って作話してんのか?みたいなデタラメ展開のものもあったりして、
…そういうのも含めて視聴者も楽しんでる、そんな時代だったんでしょうね。業界もファンもまだ若かった。

時は巡り、巷にアダルトアニメが百花繚乱ともなると。あっという間に消費され飽きられてしまうのが世の常。
本家くりいむレモンもその波に飲まれ、初期の「アニメでセックスを描く」という斬新性もいつしか過去のものとなり、
後発メーカーによるエロス表現が過激化の一途をたどるなか、
くりいむレモンも更なるエッジの効かせ方を要求されていき、様々なアプローチが試みられていきますが、
気がつけば「亜美シリーズ」の続編、「黒猫館」の続編といったものが終盤のラインナップに。
いろいろあっても、最後にはくりいむレモンの基礎を作った富本起矢氏の世界に戻って来た、というのが感慨深いです。
派手なメカ戦やうる星チックなスラップスティックを経て、
やはり18禁アニメは「禁断」「背徳」という初期のアングラのノリにこそしっくりハマるのだという事なのでしょうか。


アニメで官能の世界を描く、アニメの美少女が性行為を行う…。
当時はキワモノでしかなかった行為をスタンダートにまで押し上げた功労者「くりいむレモン」シリーズ。
時代を変革し、時代に翻弄されながらも、その種を次世代に引き継がせた役割は大きなものがあります。
この作品が産み出したものが現在のアニメ業界にどのような影響を及ぼしているか…?
それは目に見えるもの、見えないものを含めて、間違いなく日本アニメの血肉になっていると言えるでしょう。

ちなみに一連のシリーズは例外もあるものの、現在でも有料ネット配信で視聴可能。
40年を経た今もなお、亜美ちゃんは飛び続けているのです。悦べ諸君。




参考資料
くりいむレモンマニアックス(インフォレスト・2005年11月1日発行)
くりいむレモンマニアックス2(インフォレスト・2006年7月10日発行)
美少女アニメ大全集(平成3年1月20日発行・辰巳出版)
週刊サンケイ(1986年1月18日号)
週刊宝石(1989年4月20日号)
アニメV(学習研究社)
月刊グロービアン(ヒロメディア)
ほか





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