こんな御時勢ですのでせめて更新を早めに、という
主旨のもと、本年はペース速めにおこなっております。
資料のストックが尽きたらそれまでですが。
記憶のかさブタも83回目。というわけで
今回は一風変わった「なんでこれがアニメに?」という異色の作品を。

レインボーマン(アニメ版)
(1982年10月10日〜1983年4月9日(キー局)
(東京での放送は1982・10・10〜1983・3・27)
毎日放送系放映・全22話
製作・愛企画センター)




往年の名作特撮ヒーローがアニメで復活
本作は1972年にNET(現・テレビ朝日)にて放送された
名作特撮テレビ映画「レインボーマン(東宝・萬年社・国際放映)」
10年後に作られたアニメ版リメイク。
あの往年の、いや、アクの強すぎるカルト的な特撮作品がアニメリメイク?
わたしなどは「どんな作品になるのだろう?」と当時怖いもの見たさで見てた印象。
1982年10月より新たに設置された「サンデーアニメプレゼント」という番組枠の
日曜昼13:30放送という過去前例の無い時間帯のオンエアということもあって
強烈な違和感と共に印象に残っている作品でもあります。
マクロスの前座、などと言う無かれ。


とはいえ、殆ど思い返されることも無い本作品。
何かにつけて本家の特撮版と比較されて
「アニメでは意味が無いのだ」(宇宙船Vol.32「70,S特撮図鑑」13頁より 朝日ソノラマ刊)
と言われるなど、あまり評価は芳しくない本作品。
実際の内容とはどんなものだったのでしょうか?

出だしのあらすじはこんな感じ。

全日本高校レスリング大会で優勝したヤマトタケシは、
さらにその腕を磨く為にインドのヒマラヤに住む
伝説の聖者ダイバ・ダッタに弟子入りするため旅立つ。

ダイバと出会い、ついに弟子入りを許されたタケシ。
厳しい修行の果てにダイバのもつ果てしない「人類愛」の心に触れ、
タケシの意識は変わっていく。
艱難辛苦の修行の末、ついにタケシは御仏の化身というべき
「レインボーマン」七つの化身への変身超能力を修得する。


日本に帰ったタケシはそこで、世界征服を目論む
秘密結社・死ね死ね団の魔手が日本に伸びていることを知る。
タケシはレインボーマンの秘術を駆使して、
死ね死ね団に立ち向かう事を誓うのだった。

ここまでなら実写版とそこまで差異はありません。
マカオの殺人ショウとか、さくらとロコのくだりこそありませんが。

川内康範氏の描く70年代ヒーローは、仏教の精神に基づいた世界観で構築されていて
主人公は艱難辛苦の修行や命をなげうつ自己犠牲によって、
はじめてヒーローになれるという、いわば「即身仏」。
アニメ版はそこまで辛辣な自己犠牲や孤独な戦いを強いてはおらず、
共に戦う仲間や協力する理解者もいます。
(実写版にも一応いるにはいるけど…簡単に殺されたり、犬にされたりするしね…。)
一人で戦う70年代ヒーローではなく、
明るい仲間達と手を取り合い、悪に対峙するのが80年代ヒーロー版レインボーマン。

実写版はタケシ帰国後、日本に蔓延する発狂薬「キャッツアイ」をめぐる
騒動の裏に、黄禍論至上主義の秘密結社「死ね死ね団」の存在を知り
レインボーマンが敢然と立ち向かう構図になるのですが、
アニメ版はここから全く違う展開を見せていきます。

当初はレインボーマンの超能力に圧倒されていた死ね死ね団だったが、
死ね死ね団の天才科学者ドクトル・ギルマの開発した
巨大ロボット「デビルメカ」が戦線に加わると
状況は一変。レインボーマンは苦戦を強いられる。


そんな折、タケシの父・一郎の友人であった大宮博士が
ダイバ・ダッタの啓示を受けて、対デビルメカ用の
レインボーマン用巨神鎧・Vアーマーを開発。
レインボーマンはVアーマーと融合し、レインボーセブンとなり
デビルメカを粉砕!レインボーマンの反撃が始まった。

はい。アニメ版レインボーマンの代名詞たる巨大ロボット
「レインボーセブン」の登場でございます。
ガンダムブーム華やかなりし時代、加えて児童向け
合金ロボットトイがアニメ商品の中心だった時代の
要請を受けての登場だったことは想像に難くありません。
ただ、先述のようにこの番組、「サンデーアニメプレゼント」枠で
「超時空要塞マクロス」とセットで放送されていたのが
ある意味痛かったかも。あのバルキリーと同枠で映されるには
レインボーセブンはあまりにも前時代的デザインに見えました。
頭デカいわ足短いわ。デザインした岡迫氏いわく「大魔神(1966・大映)を
モチーフにした」
とのコトですが、それにしてもレインボーマンという
いわば御仏の化身たる存在がスーパーロボットを駆って
敵の巨大ロボとドンパチ繰り広げるという展開が
どうしても飲み込めず難儀しました。このあたりは
先に実写版の刷り込みがある世代の共通の苦悩かも
知れませんが。

広岡 瞬(オカスタジオ)
なにせ急に決まった作品なもので、放送に間に合うかどうかギリギリの制作日数しかなく、
連日の徹夜作業。スタッフ一同、作るからにはよいものを、と
懸命にガンバってます。レインボー分身の術より、
Vアーマーと合身してレインボーセブンになるシーンは
作画に加え、撮影に秘密兵器を使ったので、一味ちがった出来だと思います。
シナリオライターの伊東さんも、レインボーダッシュ1から6まで分身したかのような勢いで、
ノリにノって執筆しているので、高校チャンピオンになって一段と
たくましくなったタケシをどう人間的に成長させていくか、
シナリオの上がってくるのを楽しみにしています。
それに総監督の岡迫氏も、ドラマのタッチに加え、メカの部分も相当研究し、
原画を一時ストップさせてでも、色々な参考フィルムを見てアイディアを練っていると
いった熱の入れよう。その上で納得づくめで仕事を進めています。
(月刊アニメージュ1982年11月号 テレビアニメーションワールド95頁記事より)

しかし、結果的に準備期間が足りず第一話の放送日に
間にあわなかったようで…。

アニメーター・板野一郎
サンデープレゼント枠「超時空要塞マクロス」のスタッフ
(サンデープレゼント枠「超時空要塞マクロス」とセットの)
「虹色の人(笑)」っていうアニメーションがあったんですよ。
けど、そいつが1話コかして(間に合わずに)穴開けたんですよ。
そいつのせいで、急に(マクロスが穴埋めで)1・2話スペシャルってのが決まって。
一回の放送で二話分。ストック無いんですよ。しかも二話は海外班の制作担当回だったんで全直し。
(マクロスは)本当にスタッフが足りなくって海外グロスでお手伝いをお願いするんです。
で、下請けの海外のスタッフが来て学ぶんだけど、学んで上手くなった人は、
アニメ制作の元請けだったタツノコプロに引き抜かれて「ウラシマン」に行っちゃう(苦笑)。
ひどいモンだったんですよ。
(BS-TBS「X年後の関係者たち 超時空要塞マクロス」インタビューより抜粋)


なかなか厳しい船出だったようです。
レインボーマンの超能力をもってしても納期には間に合わなかった?

Vアーマー・レインボーセブン(全長13m・重量700t)
コンバトラーVの1/4以下の大きさで重量はコンVより重い。


巨大ロボ・レインボーセブン出現!驚異の「元素集合の術」
元素集合の術 主役側スーパーロボットの新登場と初陣快勝。普通ならこの後暫く
無双モードと新兵器お披露目モードが続くのが定番。
ところが一筋縄ではいかないのが川内ヒーローといいますか。
折角登場したばかりのVアーマーはあっさりと
文字通り「木端微塵」になってしまいます。

死ね死ね団の科学陣は徹底的にVアーマーを分析した。
その結果、レインボーセブンは大宮研究所のVアーマーを
一旦原子分解し、レインボーマンの元に光子転送移動させて、
その上でレインボーマン本体と融合しているという
メカニズムだということが判明。死ね死ね団はこの転送中を狙って、
光子砲でレインボーマンを攻撃。
結果、Vアーマーは虚空に分解消滅してしまう。
完全敗北のレインボーマン。

もう敵はいない!勝ち誇った死ね死ね団は
ここぞとばかりにデビルメカで蹂躙の限りを尽くす。
風前の灯の東京。
大宮研究所にも危機が迫る!

科学には科学で相殺だ、と言わんばかりに
いともあっさりレインボーセブンの致命的弱点が露呈。
そしてものの見事に粉砕されてしまうのです。
この逆転逆転また逆転な展開は実写版の
ストーリー展開にも通じるところがありますね。
脚本が同じ伊東恒久さんだからその辺の作劇は
踏襲していて然るべきなのですが。
無論このまま負けないのが川内ヒーロー。

今のままでは勝てない…。
タケシは新たな超能力を身に付けるため修行に入った。
Vアーマーの設計図の入ったマイクロチップを額に仕込み、
原子と散ってしまったVアーマーを、
マイクロチップと自らの超能力で再構成して甦らせる
「元素集合の術」をついに修得。
よみがえったレインボーセブンはデビルメカを次々粉砕。
怒り狂った死ね死ね団の帝王ドンゴロスは、
レインボーマンを第一の敵として彼の抹殺を最優先の作戦に指定した。
レインボーマンと死ね死ね団の壮絶なる戦いの決着は…?

原子と散った巨大ロボを再び分子再構築させる超能力とは一体何なのでしょうか?
マイクロチップのデータを読み込んで設計図通りにレインボーセブンを再構築って、
なにげにやってますが、かなりチートな超能力です。
理屈じゃない、無から有を生み出す、これぞ御仏の神通力、
ということでしょうか。兎にも角にも、これによってレインボーマンは
いつ如何なる状況においても、元素集合の術を用いて
巨大ロボ・レインボーセブンを出現させる事が可能になったわけです。
しかもレインボーマンのエネルギーが尽きぬ限り何度でも修復・復元が可能!
こんな厄介なロボットは他に無いでしょう。
ゼオライマーの次元連結システムなみにタチが悪い。
死ね死ね団にすればやっと始末した敵の兵器が
倒したせいで、さらにタチが悪くなって甦った、みたいなモンです。
結果的に敵に塩をおくってしまった死ね死ね団。
憎むべきあいつの名前はレインボーマン!
ということで、次々と悪辣な作戦を仕掛けます。
街中の犬を凶暴なデスノイドに変えて
人々を襲わせる「デスノイド犬作戦」
デビルメカで大津波と大竜巻を
同時発生させ街を壊滅させる「ハリケーン作戦」
(ダイヤモンドアイ(1973・東宝)にも同名の作戦があったっけ)
Vアーマー開発者の大宮博士誘拐作戦と、
次から次へと魔手を伸ばしていきます。


アニメ版死ね死ね団は宇宙の悪魔?

アニメ版はレインボーセブンの新規設定もさることながら
敵の死ね死ね団も設定が完全に一新されました。本家の実写版は
日本人のみを忌み嫌い、日本人皆殺しを図る黄禍論主義秘密結社。
日本の壊滅・日本人の根絶のみを主目的にした悪の集団というのは
当時の同種の番組の中でも一際異彩を放っていて、
怪獣やロボットなどの荒唐無稽な強襲作戦はおこなわず、
発狂薬で精神異常者を多発させ、社会秩序を崩壊させる「キャッツアイ作戦」
精巧な偽札を大量頒布し貨幣価値を崩壊させ、経済基盤を壊す「M作戦」など
現実性に基づいたリアルな亡国作戦が展開されていました。
(終盤はサイボーグ作戦やミサイル作戦など、大味なものになりましたけどね)

これに対し、アニメ版の死ね死ね団はというと、

宇宙の彼方より飛来した異星の超能力者・ドンゴロス。
あまりの悪辣さゆえに故郷のワンダル星を追放されたいわくつきの暴君で
百数十年前地球に不時着。超能力を使って地球の人々を扇動し
地上に戦乱と紛争の嵐を巻き起こし、影で歴史を操作していたが、
まだ若かりし頃のダイバ・ダッタの超能力よって石柩に封印されてしまう。

時は過ぎ、復活を遂げたドンゴロスは先の反省から個人ではなく
組織を編成して、その軍団の力で世界征服を目論もうとするのだった。
秘密結社「死ね死ね団」を編成したドンゴロスはその力を
世界、ゆくゆくは自分の母星へと向けんと、行動を開始した。

もともとはダイバと因縁ある仇敵でもあった悪党が
復讐と怨念で勃興させた組織が「死ね死ね団」という点が
アニメ版における新規設定。実写版ではダイバと
死ね死ね団は直接何の因縁もありませんでしたからね。
ダイバもそれを重々承知してか、大宮博士にVアーマーを作らせたり
タケシの父に死ね死ね団潜入を命じたりと、ある意味準備万端というか。

ただ、アニメ版死ね死ね団は実写版と異なり、世界征服が主目的という
そこら辺に転がってそうな、普通の「悪の組織」になってしまったのが残念。
地球はもとより、宇宙(自分の故郷)にまで牙を向けるっていうのも
ちょっと風呂敷広げすぎ?にしては「死ね死ね団」って組織名が実写版のまんま、ってのはどうなんだろ?
日本人皆殺しを目論む黄禍論主義組織だからこそ、このネーミングは意味がある、と
思うのは私だけでしょうか?
帝王ドンゴロスも見ての通り。地球外生物の超能力者で
角を生やし緑色の顔で、声も飯塚昭三って、「血統書つきのワルでござい」な感じ満々。

実写版では死ね死ね団の総帥たるミスターKも、アニメ版ではドンゴロスの部下で
単なる「極東方面司令官」という中間管理職に。中間管理職らしく
性格も卑屈で卑怯で小心者というイヤなイヤな小悪党。
平田昭彦さんに謝れと言いたくなる様な小鼠の如きキャラになってました。

部下は諜報活動のプロである女幹部フェアリ・ロゼ(12話で死亡)
軍人肌のハインツ少佐(16話で戦死)、そのハインツの婚約者で復讐に燃えるも
最後は改心しレインボーマンを救って死んだパステル・プチなど、
バラエティに富んだキャラが配置されていますが、基本的に作戦が
改造人間デスノイドか巨大ロボ・デビルメカを用いた大規模破壊作戦が
主なので、死ね死ね団の作戦自体が大味になってしまったのは否めません。


新開拓枠「サンデーアニメプレゼント」マクロスと二本立
先述のように本作は新アニメ枠「サンデーアニメプレゼント」の
第一部の作品としてオンエアされました(第二部は「超時空要塞マクロス」)
日曜の昼下がりという時間帯をアニメ枠にするという試みは過去に前例が無く、
文字通り前代未聞の挑戦。超時空シリーズはファンの支持を得る形で、
合金トイマクロス以降も「オーガス」「サザンクロス」と続きましたが、
第一部の枠は「レインボーマン」一本で消滅。
同時に「サンデーアニメプレゼント」枠も消えてしまいました。
故に僅か半年しか存在しなかったという、ある意味レアな番組枠。
超時空シリーズもサザンクロスの低迷で1984年に23話で終了すると、
14:00台の枠も消滅。
結果、日曜昼下がりのアニメ枠は定着、とは行きませんでした。
なぜ日曜昼にアニメ?と考える方もいるかもしれませんが、
実はキー局毎日放送のある関西では、
日曜昼に普通にアニメの再放送とかやってた地盤なんです。
(よみうりテレビはこの頃、12:00〜13:00枠で
「ルパン三世」の再放送を長年やってまして。)

それなら、日曜の昼下がりという、子供にすれば
エアポケットのごときTV空白地帯にアニメを流せば、
ヤングや子供の視聴者を独占できるのでは?
と考えても不思議じゃないですよね。

とはいえ当時の視聴者から言わせて貰えば、
日曜昼間は普通、遊びに外に出かけてます。
私などは主にビデオでタイマー録画して見てました。
友人とかもそんな具合。そういう人も多かったと思うので、
視聴率には結びつかなかった?

アニメ版レインボーマンについて/監督・岡迫亘弘
実写版のキャラクターデザインも僕がやったんです。
川内先生にホテルニュージャパンに呼ばれて。
実写もののキャラクターデザインはこれが初めてでした。
川内先生の意見を取り入れながらやってて。
だからずっと二人でニュージャパンに缶詰状態でやっていたね。

番組終了後も川内先生とは関係が続いてて、
「今度レインボーマンをアニメでやるからまたキャラクター創ってくれ」って。
それから「監督も頼むよ」って云われて…。
まあ、僕もアニメで「レインボーマン」となれば自分しかいないよなって。
キャラクターデザインと作画監督と監督を兼任することになって。
僕はいつも監督やるんなら作画監督も一緒にやらせてくれって云ってたから
それは有り難かったけど、やっぱり監督と作画監督をTVシリーズで平行してやるっていうのは大変で。
仕事量が膨大で(苦笑)。多分若いから出来たんだろうね。

新しい試みとしてレインボーセブン(ロボット)の登場がありますが。

あのころってロボットものが流行してたでしょう?だから流行は取り入れていこうと。
ただ、アニメ版のときは視聴率が伸びなくて、局とスポンサーの意向でロボットを
もっと出してくれって言われたのが難だったね。それは川内先生も乗り気じゃなかった
みたいで、僕も反論したんだけど、視聴者=子供達へのサービスだっていうことで納得することにして。

死ね死ね団のアレンジ、新しいデザインも面白かったですね。

やっぱり肌の色が普通じゃない(笑)。グレーで。
「宇宙戦艦ヤマト(1974・オフィスアカデミー)」のガミラス人というか、サイケ調というか。
これは「鼠」のイメージで、というのがあったんで、それでなんだけど。

特に気に入ってるキャラは?

パステル・プチかな。あれはパスカル・プチというフランスの女優さんから
名前を頂いたキャラクターなんでね。あと、ヒロインの大宮陽子は
「アイドルが欲しいね」っていうことで、当時の松田聖子とかの
アイドルっぽい髪型を意識して描いた記憶があるね。
それとミスターKかな。演じてもらった桑原たけしさんは
昔、僕が監督やってた「赤き血のイレブン(1970・東京テレビ動画)」
山形豪十郎というキャラクターをやってて、僕の好きな声優さんなんです。
髪は短く眉毛が薄い。それでミスターKは桑原さんの特徴を意識して
デザインしたんだよ。眉毛の無いキャラクターは元から好きでね。

「レインボーマン ダイヤモンドアイ コンドールマン大全 70,川内康範ヒーローの世界」 
 岩佐陽一・編、2002年、双葉社発行より記事一部抜粋


その最終回は?
その後、レインボーマン+レインボーセブンVS死ね死ね団のデビルメカとの死闘は
一進一退の攻防を繰り広げます。フェアリ・ロゼ、ハインツ、パステル・プチと、
死ね死ね団の幹部たちが送り出す刺客と死闘を繰り広げていくのですが…

日本征服の切り札として、ミスターKは巨大ミサイルによる日本殲滅作戦を実施。
大宮博士誘拐の為日本に潜入行動していたパステル・プチはこの作戦を知り驚愕。
「あたしごとミサイルで…」プチは既に組織から切り捨てられた事を痛感。
発射された巨大ミサイルはレインボーセブンによって成層圏で撃破されるも、
間髪入れずデビルメカがレインボーセブンを急襲。危機に陥るレインボーマン。
だが、レインボーセブンの危機を救ったのは意外にもパステル・プチだった。
「この裏切り者!」とデビルメカの攻撃を受け倒れるパステル・プチ。
怒りのタケシはデビルメカを粉砕。瀕死のプチは
「おまえの父・大和一郎は生きている」とタケシに告げ、息絶えた。
父が…生きている!決意も新たに燃え上がるタケシの心。


そんな折、大宮博士の力で、ついに死ね死ね団の本拠地たる基地が
太平洋海域のとある場所である事が判明。
死ね死ね団の猛攻を掻い潜り、レインボーマンは基地潜入に成功。
ついに行方不明だった父・一郎とも再会を果たす。
一郎はダイバの啓示を受け、死ね死ね団に潜入し
洗脳された振りをして来るべき日のため備えていたのだ。
ミスターKは自ら操るデビルメカ・ギャングラスで
怨敵レインボーマンに突撃をかけるが、
レインボーセブンとの激闘の末敗北、壮絶な最後を遂げる。
残るは帝王ドンゴロスのみ!


怒り狂ったドンゴロスは巨大モンスターに変身し、その正体を現す。
レインボーセブンとドンゴロスの最終決戦は熾烈を極めたものの、
ついにレインボーセブンが勝利。ドンゴロスは断末魔とともに果て、
ここに死ね死ね団は全滅。レインボーマンの長く苦しい戦いは終わり、
世界に平和が訪れたのだった。

実写版では死ね死ね団は滅ばず、死闘はこれからも続くという幕引きになっていました。
憎しみの根源・人間の心の闇を完全には浄化出来ない、今後も醜い争いは
人間がいる限り続く…しかしそれでも俺は戦う!というレインボーマンの覚悟が
日の丸の旗をバックに語られ全編の終わりとなるのですが、
アニメ版はいともあっさりとミスターKも帝王ドンゴロスも死に、
死ね死ね団は壊滅、世界に平和が訪れてしまうのです。
70年代的情念のドラマは80年代にはそぐわないということで
こういう完全決着のラストとなったのでしょうか?

ブリッコでミーハーでなんとなくクリスタルな1980年代、
川内康範ヒーローは突然復活しました。
1981年の劇場映画版「月光仮面(制作・ヘラルド 監督・澤田幸弘)」
そして1982年のアニメ版レインボーマン。
両作品とも時代に添った形でアレンジされたリメイクでしたが、
当時的には一時の話題を振りまいたのみで、埋没して終わった印象でした。

以降、川内康範さんは「ドリモグだぁ!」「ご存じ!月光仮面くん」といった
ファミリーものは発表するものの、ハードなヒーローものからは一歩退いた感じです。
時代がヒーローを求めなくなったのか、
ヒーローの存在を時代が許さなくなったのか。
少なくとも、価値相対主義が幅を利かせ始めていた1980年代にあっては
ヒーローの居場所自体、無かったのかも知れませんね。
特に、川内康範ヒーローのような「献身」「自己犠牲」を信条とするヒーローは。


レインボーマン(アニメ版) 製作スタッフ

原作/川内康範
プロデューサー/川内彩友美・土田 治
監督・キャラクター設定/岡迫亘弘
美術設定/天水 勝
デスク/小平正夫
制作協力/土田プロダクション
音楽/北原じゅん
OP/レインボーマン
(作詞・川内康範/作曲・北原じゅん/編曲・小杉仁三/唄・水島 裕 ヤング・フレッシュ)
ED/あいつの名前はレインボーマン
(作詞・川内康範/作曲・北原じゅん/編曲・小杉仁三/唄・ロイヤルナイツ ヤング・フレッシュ)

レインボーマン(アニメ版) 放映リスト(東京地区)


放送No放送日サブタイトル脚本絵コンテ演出作画監督視聴率
1982.10.10運命の出会い伊東恒久狭間 遊狭間 遊岡迫亘弘2.8
1982.10.17ゆけ!愛の戦士小鹿英吉小鹿英吉福田 新3.8
1982.10.31戦え!レインボーセブン小泉謙三泰 義人2.4
1982.11.07恐怖のロボット工場長谷川康雄長谷川康雄岡迫亘弘4.7
1982.11.14レインボーセブン大爆発!岡本達也岡本達也福田 新2.4
1982.11.23甦れ!!レインボーセブン狭間 遊小華和ためお1.8
1982.11.28恐怖のダム破壊作戦!!小泉謙三泰 義人3.4
1982.12.05狙われた大宮研究所小泉謙三岡本達也岡迫亘弘4.5
1982.12.12恐怖!死ね死ね少年団嵐虹太郎嵐虹太郎福田 新5.8
101982.12.19魔の鬼ヶ崎海岸泰 義人泰 義人山下征二5.7
111982.12.26ロゼが正体を見せた!吉田 浩岡本達也福田 新5.4
121983.01.09タンカー破壊作戦!小泉謙三泰 義人阿部 司4.0
131983.01.16地底大洞窟の秘密泰 義人嵐虹太郎福田 新2.7
141983.01.23盗まれた町吉田 浩岡本達也山下征二2.2
151983.01.30デスノイド改造マシン小鹿英吉泰 義人福田 新3.0
161983.02.13炎の中に消えたタケシ小泉謙三岡本達也山下征二2.5
171983.02.20富士山を爆破せよ!吉田 浩泰 義人福田 新4.0
181983.02.27分解消滅?レインボーセブン吉田 浩角谷哲生山下征二3.3
191983.03.06V・アーマーのスーパーメカニズム 吉田 浩岡本達也福田 新3.0
201983.03.13帝王ドンゴロスの秘密小泉謙三泰 義人山下征二5.3
211983.03.20父・一郎は生きていた!越智一裕越智一裕越智一裕4.0
221983.03.27ドンゴロスの最後小泉謙三岡本達也福田 新5.6

※1982.11.23(火・祝)の14:30〜15:00枠で放送
※キー局・毎日放送(関西)では、22話のみ1983.4.9(土・15:30〜16:00)に放送。

キャスト


ヤマトタケシ(水島 裕)
大宮陽子(鶴ひろみ)
大宮博士(岸野一彦)
大和秋子(武藤礼子)
大和ジュン(能村礼子)
大和一郎(寺田 誠)
ダイバ・ダッタ(千葉耕一)
帝王ドンゴロス(飯塚昭三)
ミスターK(桑原たけし)
フェアリ・ロゼ(小宮和枝)
ハインツ少佐(銀河万丈)
パステル・プチ(土井美加)
ドクトル・ギルマ(稲葉 実)
山田豪太(山口 健)
山田庄介(向殿あさみ)
ナレーター/(若本紀昭)


というかんじでお届けしました記憶83回目。
これ、一切ソフト化されていないんですね。調べて改めて知りました。
実写版は幾度と無くソフト化されて
今尚新たなファンを生み出す
魅力的なコンテンツとして知られているのに、
アニメ版はVアーマーのごとく雲散霧消したかのような扱いで。

往年の特撮人気作品がアニメリメイクされる例は
いくつもありますが、何れも評価は手厳しく、顧みられる事が少ないですね。
「仮面の忍者赤影(1987)」「レッドバロン(1994)」などなど。
アレンジの仕方や時代に添ったリニューアルも大事ですが
どうしても「原典」という絶対不可侵なものに遠慮し
思い切った事がしにくい構造になりがちで。
リメイクものの宿命と言いましょうか。

人気アニメーター越智一裕が作画監督・コンテ・演出と全部担当した
21話のみが一人歩きして評価されてる感がありますが、
ソフト化あるいは再放送の機会があれば
あらたな再評価が生まれるかも?

今回は雑誌などによるスタッフインタビュー記事があまり記載されていません。
新型コロナの影響で図書館で資料検索が出来なかった為ですが、
いつか終息した際に追加記載したいと考えておりますので。

次回の予定は決定しだいお知らせします。




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