年末国会図書館が長期休館状態だったので入れず、
資料枯渇状態が続いています。あと一回か二回が更新限界かも。
そんなトリニティ基地状態の昨今ではありますが、
今回はそんな同路線上の最終作品がお題。

ビデオ戦士レザリオン

1984年3月4日〜1985年2月3日 全45話
TBS系放映・製作 東映動画


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東映本社&超合金ロボアニメ最後の作品

マジンガーZの記録的大ヒットによって、玩具メーカーとの結びつきが一層強まったロボットアニメというジャンル。
商品との相乗効果によって番組の制作体制も潤うというこのスタイルの確立は、
その後のTVアニメのあり方に大きく一石を投じるものとなり、
多くの制作会社が所謂「マジンガー式マーチャンダイジング」に乗っかって商品展開を行うようになりました。
東映動画の親会社にあたる東映本社もこのシステムに着目しており、
本社主導で玩具スポンサーとタッグを組み、より魅力的な作品と玩具を産む事を目標に
企画会議が重ねられ、1976年に東映本社+ポピーによるロボットアニメ第一号
「超電磁ロボ・コンバトラーV(アニメ制作・創映社)が放送開始されると、
たちまち大人気になり、関連商品の超合金合体ボックスも高額商品ながら大ヒット。
この成功を受けて以降、年一本ペースで同路線のシリーズは放映され、
多くの関連商品を生み出していきました。
本作品は一連の「東映本社+ポピー」による東映アニメロボ路線の第9作として世に出た作品なのですが…
あらすじはこんな感じ。

時は未来。人類は文明を謳歌するあまり、地球を際限なく汚していた。
そんな地球を復興させるべく打ちだした「地球クリーン化政策」。
それは、地球にとって有害かつ不要なもの
(汚染物質・廃棄物・重犯罪者など)を地球外に放擲するという施策であり、
月や火星は汚染物質と無法者の巣窟となってしまった。
そんな折、月にいた軍の博士・ゴッドハイムは
戦闘ロボ「ブラックベアー」を開発し大量生産に成功。
地球に対し反旗を翻し、全面戦争を仕掛けてきた。
圧倒的な反乱軍の新兵器によってたちまち熾烈な攻撃にさらされる地球の施設。

丁度其の頃、地球連邦軍の研究施設ではブルーハイム博士による
物質電送システムの実験が行われていた。
が、そこに月面反乱軍の攻撃ミサイルが命中!
その際、パソコン好きの少年である香取敬の作った対戦ネットゲーム用の
戦闘ロボットデータが地球連邦軍のコンピューターと混線してしまい、
敬がプログラミングしたゲーム用のロボットデータ
「レザリオン」が物質電送装置の力で実体化してしまった。
事故によりイレギュラーで生まれたレザリオンではあったが
比類なき「超電送システム」を有したレザリオンは
その圧倒的能力を駆使して反乱軍を撃退。
香取敬は自分の好むと好まざるとに関わらず、
レザリオンの操縦者として戦火に巻き込まれて行くことになる…。



トロン+ウォーゲーム+ガンダム=レザリオン?

本作品のイメージソースになったのは、ワイヤーフレーム的電子世界を舞台にした
米のSF映画「トロン」(1982)
それを基本イメージに用いながら、同じく米映画の「ウォーゲーム」(1982)の設定を取り込み、
さらに当時ムーブメントを巻き起こしていた
アニメ新世紀(当時的な言い方)作品
「機動戦士ガンダム」(1979)に見られるリアル戦争ロボットものの世界観を反映し
融合させたハイブリッドロボットアニメになっています。

普通の少年がゲーム用にプログラミングしたロボットが混線で軍のコンピューターの電送システムに干渉してしまい、
結果、ゲームプログラムのロボットが実体化してしまったというイレギュラー的誕生は
それまでの同路線のロボット(侵略に備えて、正義と平和を愛する天才博士が
密かに用意してた決戦兵器というのが基本)
とは全く毛色の異なる斬新なものでした。

元がゲームプログラムと言う二次元の虚構でしかないロボットが
電送システムによって実体化、というだけでなく、
さらに全身を電子分解し、目的地に瞬間電送し再構築・再実体化。
戦闘も敵の攻撃をかわすのに瞬間移動し、敵の背後に回り込んだり、
敵基地の中に転移して攻撃する事も出来る脅威のロボット・レザリオン。
これを無敵と言わずして何と言う?
偶然の産物とはいえあまりにも強力無比な戦力が為に、
制作者の敬は有無を言わさず地球連邦軍の重要な戦力に組み込まれてしまうという、
ガンダムでもあった「巻き込まれ系」もしっかり踏襲。声も古谷徹さんなんで違和感も無く(笑)。

ストーリーは地球環境保全のためにゴミや廃棄物・無法者をよその星にバンバカ放擲する
「地球クリーン化政策」という身勝手極まりない愚策が嵩じた末に、
ブルーハイムの弟子だったゴッドハイムが月で反乱を起こして戦争開始。
もともとは3年前、ブルーハイム博士がゴッドハイムの長年かけて作ったレポートをちゃっかり拝借して
発表した事で怨みを買ったことが遠因。人類存亡をかけた戦争の原因は身近なところに火種がありました。
で、恨みつらみの3年で反乱軍を組織し、量産型戦闘メカ「ブラックベアー」を大量生産してしまうんですから、
ゴッドハイムの執念恐るべし。

この量産型メカ「ブラックベアー」には強化改造型の上位機種「レッドベアー」があり、
搭乗者専用のカスタマイズ機があったりと、多分にガンダム的。
連邦軍側もG1G2と言った防衛量産型ロボを有しており、中盤からは最新量産機G5が登場したりと、
この辺の兵器開発競争のくだりもリアルロボットものの影響が伺えます。
そうはいってもメインターゲットは従来の超合金購買層の児童。
あくまでも「痛快なロボット娯楽作品」であろうという工夫も見られます。
主人公の香取 敬はゲーム大好きなお調子者の中学生で、
戦争の真っ最中という設定にもかかわらず学校は休まず通い、
学園生活もエンジョイしているが、軍からの要請があればレザリオンに搭乗し
戦地に赴くという…。(いいのか?)オリビアや父など一部の人間しかこの秘密は知らないので、
母親や学校の上原先生も、まさか敬が戦場で戦ってるとは最終回まで全く知らなかったという設定。
このあたり、ヒーローもののノリなんでしょうけど、戦争という設定でこれをやるあたりがなんとも。
リアルロボとスーパーロボットものの設定折衷の難しさが伺えます。


ストーリー初期は月の反乱軍の侵攻作戦を電送システムを有するレザリオンが
奇想天外な能力でこれを防ぎ、反乱軍も負けじと対レザリオン戦略をぶつけてくる、
という感じ。同じ地球側のシークレットフォースの戦士であるチャールズとサハラは
ベテラン兵士ながら機体(G1・G2)の性能差でイイやられ役になってしまってるものの、
レザリオンのサポート役として活躍。
「ここは俺に任せて、お前は早くいけ!」というのが定番になってたような気がします(笑)。


G1G2のデザインはまんまモビルスーツと言っていいデザインで、
武装もビームバズーカミサイルポッドとリアル指向。主役のレザリオンも電送システムといったチート能力や、
レーザージェット&レーザータンクといった変形システムを有してはいますが、
基本武装はビームバズーカ・レーザーソード・ワイヤーシールドといった具合。
ビーム射撃兵器にビーム切断兵器にシールド…。継承してるなぁ○ンダムを。


このまま「やや児童向けのガンダムチックな宇宙戦争もの」になるのかな?と思っていたのですが…。

まず第6話で謎の宇宙人・エレファンが円盤に搭乗して地球へ出現します(いきなり宇宙人登場)
諸事情で記憶を失っており、当初はよく解らないけどコミカルな宇宙人としてチームの仲間入り。
月と地球の反乱戦争が舞台の準リアルロボアニメに唐突に宇宙人登場…
まあ、児童向だからこういうのもアリかな?と思ってたら、
反乱軍エースパイロットのエリック・シッドが○い彗星ばりに颯爽と登場!
「エリック専用ブラックベアー」を駆り、敬を圧倒!レザリオンに勝利する!
…と思ったら、次戦で敗北し、あげく戦死。通算2話。速いなキミ。そういう速さは違う。

なんか右往左往してきてるなぁ…大丈夫かしら?と思ってたら、反乱軍の首領たるゴッドハイドが、
23話で新たなる敵・ジャーク帝国の刺客の手であっさり暗殺。2クール持たず。
気がつくと月の反乱戦争は、宇宙からの侵略者ジャーク帝国と地球との星間戦争にスライド。
う〜ん…。人類同士の戦争より、悪い宇宙人との戦いの方が児童層にはアピールする、と言う事なのかしら?
ちなみにジャーク星軍が地球侵攻する理由は、人口増加と食糧難の解決の為なんだとか。
どこの星もこの課題は難儀してるようで。
で、序盤に登場した謎の宇宙人エレファンが記憶を取り戻し、
実はエレファンはジャーク星の侵略下にあった星の出身だったことが判明。
故郷の仇と戦うため自らもGロボのパイロットとなって戦うようになります
(最初からの予定だったのか、新章にかこつけて設定合わせをしたかは解りませんが)
さらに、○い彗星になり損ね2話で戦死したエリック・シッドに代わって
ジャーク帝国のエースパイロット・ギャリオが新たに登場。
卑怯な事を嫌い、正々堂々の勝負が信条の典型的「ライバルキャラ」で(東映ロボアニメの定番)
専用機の「ギャリオ・サバン」でレザリオンを圧倒
(対レザリオン用として開発された機体で、レザリオン同様電送能力を有しているハイスペックマシン)
赤い○星とまではいかないものの、強敵として後半2クール、レザリオンの前に立ち塞がる…とまあ、
いろいろ二転三転してる印象はあるものの、物語は後半戦に突入していきます。


フレームこそ外装!村上デザインの臨界点といわれる「レザリオン」の存在意義

レザリオンの基本コンセプトは、ポピー時代より多くの合体ロボットデザインを行ってきた村上克司氏。
「勇者ライディーン(1975)」では人型から鳥型に変形するデザインを発案し、
「超電磁ロボ・コンバトラーV(1976)」では5台のビーグルを合体させて
巨人ロボにするというアイディアで一世を風靡。その後も多くの合体メカを生み出していきました。
「未来ロボダルタニアス(1979)」では異種三機合体、
「闘士ゴーディアン(1980)」では内包式による三機分身合体、
「宇宙大帝ゴッドシグマ(1980)」では三機の人型ロボが一機の超巨大ロボに、
「黄金戦士ゴールドライタン(1981)」では実物大のライターの変形、
「百獣王ゴライオン(1981)」では五匹の獅子メカが一つの巨大ロボに、
「六神合体ゴットマーズ(1981)」では六体の巨人ロボが合体…。

留まるところを知らない斬新なアイディア。しかし、やがてそのアイディアに
商品の技術が追いつかなくなるという事態を招いてしまいます。
「機甲艦隊ダイラガーXV(1982)」では前代未聞の15機合体を標榜していましたが、
超合金ではコストの問題から15機合体の商品は発売されず、
中型機の三機合体に留まり(プラモでは15機合体を再現)
アニメ自体は登場人物もメカも多過ぎて没個性化。視聴率も評価も芳しいものではありませんでした。
後番組の「光速電神アルベガス(1983)」は、ゲッターロボのコンセプトを今風に、
という感性で作られた作品で、三体の小型ロボが合体し、
六種類の合体バリエーションを持つという斬新なものでした。
前作の反省を生かして明快かつ爽快なロボットものを目指しましたが、
玩具の方は合体を実際に再現するための犠牲として三体のロボ全てを同じ形状・同じ変形方法にせざるを得ず、
結果、六種類のディメンジョン(形態)はシルエット的に変わらないものになってしまい、
わざわざ組み替えても面白味に欠ける代物になってしまいました。合体を優先したため、プロポーションも悪いし…。
そんな二つの「玩具における再現の限界」にぶつかった村上氏が、次に出した奥の手が
「ビデオ戦士レザリオン(1984)」だったのです。

村上克司(レザリオン原案・メカニックデザイン)
荒唐無稽なものと見なされていた巨大ロボットを使って
「ガンダム」のようにシリアスな世界が描けるとは、皆それまで考えていませんでした。
わざわざ子供に目線を合わせる事なく、新たな作品が作れる。
おまけに商業的成功の可能性もあるとなれば、誰もがそれをやりたがるのは
当然です。しかし、それでも自分は変わらない。あくまで「玩具」として、
手で触って、遊び甲斐がある商品を作る。
そして毎年、前年に劣らぬ新しいアイディアで子供と競争する。
自分の使命はこれだ、と考えていました。
(レザリオンの)コンセプトは「コンピュータープログラムが実体化したロボ」。
その頃、「ブラックホール(1979)」「トロン(1982)」「ウォーゲーム(1982)」
といった映画で注目を集めていたCGのワイヤーフレームを
デザインテーマにしました。(中略)レザリオンはフレームこそ外装。
内部のブロックが本体です。私が欲しかったのは、フレームの格子の中を
素粒子がスーッと通過していくような雰囲気。
コンセプトを低年齢層に明確に伝えるためにも、外装は不要と判断しました。


(「超合金の男‐村上克司伝‐」アスキー出版・2009年4月10日発行より抜粋)


村上克司氏によるレザリオンのデザイン画。
これを見ると「フレームが外装になったロボット」
と言うのがよく解ります。


この「フレームこそ外装」という前代未聞・空前絶後のコンセプトロボはこうして誕生しました。
で、超合金玩具のほうはどうなったかというと、
当初は「ワイヤーのような細いフレームでロボットを商品化したかった」という事だったのですが、
当時の技術では再現不可能だったので、仕方なくフレームをパンタグラフ化し、
全身を細かく折りたためるという仕様に変更。本体より引き抜いたブロックパーツは個々に合体し
別メカを組めるという風になっていました。しかしパンタグラフ部品は部品数が多い上に
組み立ての手間も多く、また強度的に弱いため予定よりも太い厚さの部品で作らざるを得ず、
完成したレザリオンの玩具は当初のアイディアとは程遠い、骨太なものに仕上がってしまいました。


DX超電送ロボレザリオン。
全身12個のパンタグラフと6個のメッキブロック・
6個の透明ブロックで構成された前代未聞のロボット玩具。


結果、商品は売れ行きも芳しくなく、途中から「フルアーマーレザリオン」という、
当初のポリシーに反して外装を追加した商品も発売しましたが及ばず。
結局、約10年続いた東映本社とポピーのタッグによる
「東映アニメロボ路線」はレザリオンを以て一旦終了することになるのです。




壮絶作画の最終回。その内容は?

第一章では酒井あきよし氏、首藤剛志氏、久保田圭司氏らがリアルロボット路線を意識し、
「シルベスタ将軍の秘書モンローが実は反乱軍のスパイだった」
「月にいるオリビアの父がスパイ嫌疑で捕まる」
「敬の姉が戦闘に巻き込まれて死亡する」

といったハードなな展開が予定されていたものの、全て白紙に。
児童向けロボットアニメにリアルロボの陰々滅滅とした展開はそぐわないと判断されたからでしょうか。
結果、酒井・首藤・久保田氏は揃って降板。
かわって第二章のジャーク帝国編はメインライターが上原正三氏と山崎晴哉氏にバトンタッチされ、
「ジャーク帝国軍と地球軍との星間戦争」
「月にいるオリビアの父スチーブの救出」
「敵軍エース・ギャリオとの死闘」

の三本柱を中心にストーリーが展開していきます。(あと、ジャーク大帝の延命話ね。)

当初の予定から二転三転した感のあるレザリオンですが、
さてその最終回はどんな決着だったんでしょう?

最終回(第45話)決戦
プロミネンス総統とゲプラー参謀はジャーク大帝を暗殺し実権を握る為、毒殺を実行。
見事暗殺に成功する。大帝の突然の死去…その一報を聞いたギャリオは
地球侵攻を中止し、月に帰還する。

ゲプラー「なぜ戻って来た? 帰還命令なぞ出しておらんぞ!」
ギャリオ「ジャーク大帝がお亡くなりになったのです。全軍そろって葬儀に参加すべきです!」
ゲプラー「貴様ぁ!プロミネンス総統閣下に指図するつもりか!次の大帝となられるお方だぞ!」
ギャリオ「大帝……?」
プロミネンス「ギャリオの考えにも一理ある。ジャーク大帝の葬儀は盛大にとり行う。準備にかかれ。」
ギャリオ「……」

ギャリオは不信感を募らせていた。

ゲプラーらの去った後、ギャリオはゴッドハイドの飼いネコの足に光る物体が付いているのを発見する。
ギャリオ「……毒物!」
全ての謎は解けた。大帝は毒により謀殺されたのだ。
気配を感じ振り向くと後ろにはゲプラー参謀が。
ゲプラー「プロミネンスの仕業なのだ。やつは大帝の座に目が眩んだのだ…」
ゲプラーは全ての罪をプロミネンスに被せて漁夫の利を得ようと目論んだのだ。
ギャリオ「…なんてことを…っ!」
ほくそ笑むゲプラー。

一方の地球軍。
ジャーク大帝の死を知り、混乱してる今こそ攻め込むチャンスだと、月への総攻撃を決断する。
シルベスタ将軍の指揮の元、全地球連邦軍は月に突撃を開始した。

迫りくる地球連合艦隊を前に、プロミネンスは迎え撃つよう全軍に指令する。しかし…。
殺意をみなぎらせ近づくギャリオ。
プロミネンス「な、何だ、その目は?わしは総統だぞ!
いや、間もなく大帝になる!そのわしに逆らうのか、貴様ぁ?」

ギャリオ「黙れ裏切り者!ジャーク大帝の無念を思い知らせてやるっ!」
ギャリオの剣が閃いた。宙を舞うプロミネンスの首。

見事してやったり、のゲプラーが呼びかける。
ゲプラー「取りあえずわしが指揮をとる。地球人どもを生かして帰すなぁ!」


ついに、最終決戦の火蓋は切られた。チャールズたちのGロボも果敢に応戦。
混乱した指揮系統の影響もあって、ジャーク側は次第に地球軍に押されていく。
そんな様子を見て囚人房の地球人たちも血気盛んになっていく。
「レザリオンが助けに来てくれたぞぉ!」
そして、ついに囚人房が開けられ、大暴動に発展。
月だけでなく、火星でも同様の大暴動が発生し、もはや収拾のつかない状態になっていく。
やがて完全に包囲されるジャーク基地。狼狽するゲプラー。

一方、基地攻撃に加勢するレザリオンの前に、ギャリオの愛機ギャリオ・サバンが立ち塞がる。
敬「なぜだ?なぜこうまでして戦う?」
ギャリオ「お前に勝つことだけが俺の支えとなった。
ジャーク大帝が暗殺された今となっては、地球征服など無意味だ!」

敬「暗殺……やはり死んだのか?」
ギャリオ「権力に目が眩んだヤツらが仕組んだんだ。最低だ!地球を征服する資格などない!
…俺はこれからジャーク本星へ帰る…。だが…その前に、お前を倒すっ!」


もはや、男の意地とプライドだけが、ギャリオを戦いに駆り立てていた。


洗脳されていたオリビアの父スチーブも無事囚人房から救出され、
ついにチャールズたちは基地の心臓部に辿り着く。
チャールズ「構いやしねぇ!ありったけの弾をぶっ放せ!」
破壊される心臓部の扉。後ろにいたゲプラーも吹っ飛ばされて消滅する。

敗色濃厚と見たジャーク艦隊が次々逃亡を始めていく中、
月面ではギャリオ・サバンがレザリオンを圧倒していた。
ギャリオ「これで最期だ、レザリオン!」
勝負あった!しかしその刹那、ゴッドハイドの猫が飛び出し、一瞬気を取られるギャリオ。
今だ!渾身のレザリオンの剣がギャリオ・サバンの頭部を貫いた!
ギャリオ「…もっと…違った出会いであれば、いい友達になれたかもしれないな…さようなら…敬…」
ギャリオは月面で爆発し果てる。
敬「ギャリオ…確かに君は、宇宙で一番の友達だった…。」

戦いは終わった。その後、地球連邦は諸悪の根源ともなったクリーン化政策を中止した。
もう月や火星が汚染される事は無いのだ。
ジャーク帝国壊滅を受けて、エレファンは故郷の星へと帰る事になった。
敬やシークレットフォースの面々に見送られて、エレファンを乗せた宇宙船は飛び立っていくのだった。

とまあ、こんな最終回だったわけです。
感想を言うなら、作画だけはスゴイです。
原画を金田伊功、山下将仁、佐野浩敏ほか精鋭がズラリ。
作画監督は越智一裕と本橋秀之のタッグ!(本橋氏は佐野浩敏原画部分のみの担当だったみたいですが)
80年代のメカ作画レジェンドが一堂に会してると言うだけでも一見の価値はあると思います。作画はね。

話の内容ですが、敵が内紛で自壊していく展開など、上原節のエッセンス満載…なんですが、
とにかく唐突かつ余裕の無い、なんとかこの回で最終回にしなければという
尻に火の付いたような展開で、まあせわしない。
謀殺成功直後のプロミネンスがあっさり殺され、ゲプラーが後釜…と思ったらあっさり死亡。
ギャリオと敬はそこまでの関係でも無かったと思うんですが、
最終回では戦いを通じて解り合えた親友みたいな扱いになっちゃってますしねぇ。いつの間に親睦を?
とにかく何とかドラマとして成立させなきゃだわ、な無理矢理感が凄いです。
普通、3話か4話分の内容でやるべきものを1話に圧縮しちゃったような印象で
う〜ん…まるでスペースコブラの最終回みたい。時間が無かったせいもあってか、あろうことか
オリビアと父スチーブの感動の再会シーンは全面オミット。そこは肝のひとつだったんじゃないの?
洗脳も勝手に解けてるし(最後のエレファンお見送りカットを見る限り)
余裕ないからか、この辺りのやっつけ加減がエライことになってます。
にしても、主君の仇を討っておきながら、戦闘中に猫に気を取られて倒されるギャリオって…。
カッコいいのか悪いのか解りませんな…。


本作が放映されてた1984〜85年というのは、ガンダムやマクロスの二匹目のドジョウを狙って
山ほどリアルロボット指向の作品が各社から発表されていた時期でもあるんですが、
その大半はムーブメントを作るどころか、低視聴率や商品売上低迷の憂き目にあい、
次々打ち切りの嵐にあっていた頃。宇宙ブームの時(1977〜79)もそうですが、
人気を得ていたのはあくまでも「スターウォーズ」であり「宇宙戦艦ヤマト」であって、
宇宙だからウケてた訳では無いのです。このリアルロボブームもあくまでもウケてたのは
「機動戦士ガンダム」であり「超時空要塞マクロス」という個々の作品であり、リアルロボだからウケてた訳では無く。
結果、兵どもが夢の後、気がつけば数々のアニメ会社や玩具メーカーが倒産・消滅してしまいました。
「レザリオン」もそんなリアルロボット狂騒時代に産み落とされ、時代を築く事無く消えていったのですが、
単なるリアルロボの模倣ではなく、デジタルを設定に取り入れた先進的な面など注目点は多く、
当時の数多あるロボットアニメの中でも特異な作品として爪痕は残せたのでは無いでしょうか。



ビデオ戦士レザリオン スタッフ

原作/八手三郎
企画/吉川 進・折田 至・小湊洋市
企画協力 / 秋野紅葉(Y&K)・小西 智(Y&K)
シリーズディレクター/森下孝三
キャラクターデザイン/居村真二(原案)・本橋秀之
メカニックデザイン/村上克司・小原髪夫・大畑晃一・ひおあきら
製作担当/蕪木登喜司
美術設定/内川文広
アニメーション制作/東映動画

音楽/渡辺宙明
OP/ビデオ戦士レザリオン
(作詞・吉田健美/作曲・渡辺宙明/編曲・藤田大土/唄・宮内タカユキ)
ED/Heartful Hotline(ハートフルホットライン)
(作詞・吉田健美/作曲・渡辺宙明/編曲・藤田大土/唄・かおりくみこ)


ビデオ戦士レザリオン 放映リスト

放送No放送日サブタイトル脚本(絵コンテ)
演出
作画監督視聴率
1984.3.4夢のロボットゲーム 酒井あきよし森下孝三本橋秀之3.1
1984.3.11逃げろデビット首藤剛志高山秀樹
並里啓史
大木雪享6.2
1984.3.18泣かないで母さん富田義治伊東政雄篠田 章2.8
1984.3.25死の花を咲かせるな久保田圭司有迫俊彦塩沢大助4.8
1984.4.1月からの手紙中尾克久(落合正宗)
又野弘道
大木雪享6.2
1984.4.8敵? 味方? UFO中尾克久山内重保塩沢大助5.7
1984.4.15友情のメロディ久保田圭司伊東政雄篠田 章3.7
1984.4.22強敵! エリック・シッド 大川ひろし森下孝三
並里啓史
大木雪享3.8
1984.5.4勝利へのインプット石川良明(越智一裕)
又野弘道
塩沢大助4.3
101984.5.6平和の甘い香り久保田圭司有迫俊彦大木雪享3.5
111984.5.13悪魔の誕生日松井 正山内重保篠田 章3.7
121984.5.20さらば熱砂の友よ久保田圭司伊東政雄
並里啓史
塩沢大助3.3
131984.5.27休日戦争首藤剛志森下孝三越智一裕3.3
141984.6.3走れオリビア山崎晴哉(越智一裕)
有迫俊彦
大木雪享3.6
151984.6.10逃げるが勝ち中尾克久(森下孝三)
山内重保
篠田 章3.6
161984.6.17再会のときめき久保田圭司大久保唯男塩沢大助2.7
171984.6.24消えた敬の謎久保田圭司有迫俊彦大木雪享3.4
181984.7.1ハロー転校生花園由宇保山内重保塩沢大助3.7
191984.7.8ハラペコ戦争久保田圭司又野弘道篠田 章2.3
201984.7.15忍びよる黒雲山崎晴哉(越智一裕)
有迫俊彦
大木雪享2.8
211984.7.22のろまのカバを特訓せよ!酒井あきよし(松浦錠平)
並里啓史
塩沢大助3.7
221984.7.29レザリオン奪取計画山崎晴哉有迫俊彦大木雪享2.1
231984.8.19火星が牙をむく時上原正三山内重保篠田 章1.7
241984.8.26その時父の声が……上原正三並里啓史塩沢大助1.8
251984.9.2宇宙戦艦の反乱上原正三松浦錠平大木雪享3.2
261984.9.9迫るジャーク帝国上原正三(山吉康夫)
並里啓史
塩沢大助4.0
271984.9.1612時間の死闘上原正三又野弘道篠田 章3.1
281984.9.23勝利への愛の讃歌上原正三山内重保大木雪享2.8
291984.9.30幻惑のツイン兄弟山崎晴哉(西沢信孝)
並里啓史
菊池城二2.5
301984.10.7ハワイ決戦の日山崎晴哉(勝間田具治)
細田雅弘
塩沢大助5.6
311984.10.14たった一人の突撃山崎晴哉有迫俊彦越智一裕5.3
321984.10.21決死の攻防戦山崎晴哉山内重保大木雪享5.1
331984.10.28ジャーク大帝出現上原正三伊東政雄菊池城二4.6
341984.11.11月から帰ったパパ上原正三(森下孝三)
細田雅弘
塩沢大助4.5
351984.11.25怪僧バンズの幻夢上原正三有迫俊彦越智一裕5.9
361984.12.2サバンナの怪要塞上原正三(越智一裕)
並里啓史
塩沢大助5.9
371984.12.9砂漠に燃える友情上原正三山内重保大木雪享5.3
381984.12.16黄金のピラミッド山崎晴哉伊東政雄菊池城二5.8
391984.12.23ジャーク大帝 動く!!山崎晴哉有迫俊彦金子 一4.1
401984.12.30オリビア救出作戦山崎晴哉(越智一裕)
並里啓史
大木雪享4.9
411985.1.6決死の38万キロ山崎晴哉(森下孝三)
細田雅弘
塩沢大助5.9
421985.1.13生か死か・大脱出山崎晴哉山内重保菊池城二5.2
431985.1.20大帝・月へ到着上原正三(勝間田具治)
細田雅弘
金子 一3.1
441985.1.27反乱上原正三(勝間田具治)
並里啓史
大木雪享2.9
451985.2.3決戦上原正三有迫俊彦越智一裕
本橋秀之
4.5

※本編でのクレジット表記は無し。

キャスト

香取 敬(古谷 徹)
オリビア・ローレンス(潘 恵子)
シルベスタ司令官(野田圭一)
モンロー秘書(川浪葉子)
ブルーハイム(滝 雅也)
香取研介(蟹江栄司)
チャールズ・ダナー(若本紀昭)
サハラ(山田栄子)
エレファン(小林通孝)
ゴッドハイド(蟹江栄司)
インスパイア(森 功至)
エリック・シッド(小林通孝)
プロミネンス総統(滝 雅也)
ギャリオ(森 功至)
ゲプラー参謀(矢田耕司)
ガニメデ(若本紀昭)
イオ(石澤美華)
カリスト(塩屋浩三)
ジャーク大帝(蟹江栄司)


と、なんとか終了。
2022年更新一回目でいきなりコレです。
再放送も見たこと無いから、ネット配信やDVD購入層視聴者以外はリアルタイム世代限定のアニメ?
カラオケではオープニングは結構歌われたりしてるんですけどね。
エンディングはなんかこっ恥ずかしくて歌わないけど。

次回は…どうしましょう。今回の記事はご覧になると解るように、
スタッフインタビュー記事の調査が殆ど掲載出来てません。
そういう点では不満の残る記事なんですが…
ここにきてオミクロンが感染拡大してるようなので、
また上京に二の足を踏む時代になるのでしょうか?
では次回、なんとか頑張りたいです。では。

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