夏は野球の季節と言うことで、
今回はこんなお題。
新巨人の星/新巨人の星2
(1977年10月1日〜1978年9月30日 全52話{新巨人の星})
(1979年4月14日〜1979年9月29日 全23話{新巨人の星2})
よみうりテレビ系放映・製作 東京ムービー)
6年後によみがえった不死鳥
本作は1965年から週刊少年マガジンで6年に渡り連載され、
また1968年3月30日〜1971年9月18日にかけて東京ムービー製作・よみうりテレビ放映で
182話に渡って放送された野球群像劇「巨人の星」の正統続編です。
かいつまんで説明すると(6年の大河連載をかいつまめるの?)、
幼少より巨人の星(エース)になれとスパルタ教育を受け続けた少年・星飛雄馬が
少年野球、高校野球を通じてライバルたちと戦いながら成長し、
あこがれの巨人に入団するも球質の軽さから「プロ失格」の烙印を捺され、
生き残りをかけて誰も投げたことの無い「魔球」(大リーグボール)に手を染める。
1号(バットに当って凡ゴロになる魔球。相手の心を看破する精神力によって成しえる球)、
2号(球に真空の衣を着せて、そこに土を保護色のようにまぶせて消えたようにみせる球)を
開発し、巨人の星になりかけるもいずれもライバルに打ち砕かれ、最後は
3号(推進力浮力共に0に近いスローボール。バットの風圧で球が逃げるため当らない。)を開発。
しかし、余りに左腕を酷使する魔球のために投球中についに左腕は破壊されてしまう。
二度と球を投げれなくなった飛雄馬は、みんなの前から一人去っていった。
星飛雄馬が左肩を壊し、マウンドを去って5年。 巨人の連覇はX9で止まり、1975年、長嶋監督になってからの巨人は 球団史上初の最下位という泥沼にあえいでいた。 その巨人の有様を涙ながらに見る一人の男… 行方不明になっていた星飛雄馬である。 彼は結局野球を諦めきれずに引きずったままその後の人生を潰していた。 もはや球の投げれない左腕故に投手は不可能だったが、 草野球相手に有償の代打屋として日銭を稼いでいた。 そんな折、彼は旧知の友、伴忠太と再会する。 飛雄馬の尽きぬ野球への情念を知った伴は同情し、 元大リーガーのビル・サンダーを飛雄馬に紹介する。 ビルは元投手だったが肩を壊し、以降野手に転向した経歴を持つ。 今の飛雄馬にとってはまさに適任のコーチだった。 ビルは飛雄馬に直伝のスクリュー・スピン・スライディングを教え、 ここに、驚異のスラッガーとして飛雄馬は巨人に復帰。 だが、それは新たなる試練と激闘の序章にすぎなかった… |
新巨人の星、誕生の背景
にしても、不思議なのはなぜこの時期に「巨人の星」の復活がなされたのでしょうか?
前作から6年。あきらかに完結している作品をまた掘り起こして続きをやるというのは
どうにも理解に苦しむところなのですが。しかも新作は「未完」で終わってるし。
漫画を担当した川崎のぼる氏も雑誌のインタビューでこのように答えています。
新巨人の星インタビュー記事/漫画家・川崎のぼる
(何故、新巨人の星は途中で終了したのか?)
「いや、途中で終わったということじゃなかったと思うんだけどなぁ。
この辺で終わろうというのは何ヶ月も前から決めていたはずです。
ただ、強いて理由を挙げるなら、僕のほうが非常に忙しかったんですよ。
マガジンで「フットボール鷹」、サンデーで「ムサシ」をやってましたからね。
週刊連載3本はいくらなんでもキツイということで、梶原さんもわかってくれたんだと思います。」
(新巨人の星の連載はどのように引き受け、川崎先生自身はどう考えていたのか?)
「ウーン…正直言うと、僕はあんまりやりたくなかったんです。
僕の中ではもう終わってるというか、前作で描き尽くしたつもりでしたからね。
続編の構想もそれまで特にありませんでしたし…
話を持ってきたのは梶原さんなんですが、実に熱心で、その熱意に
引きずられたと言うべきなんでしょうねぇ。」
(JICC出版局(現・宝島社)いきなり最終回4・117ページ川崎のぼるインタビューより抜粋)
蘇る大リーグボール
話はテレビ版に戻ります。
飛雄馬が右投手として再起してさあ、というところで
よみうりテレビの目玉番組「宇宙戦艦ヤマト2」が始まると言うので
一旦番組は終了。その半年後、同時間帯で
「新巨人の星2」として再スタートします。
主題歌もさわやか路線に変わり、熱血・根性の類いは多分に薄まった感がありますが
中身は相変わらずなのでダマされないように。
番組リニューアルというわけではありませんが
新レギュラーキャラが2人登場します。
一人目はかつての伴を思わせる
丸目 太という捕手(元はレスリング選手)。
暴れん坊で荒くれものの型破り高校生で
飛雄馬の母校、青雲高校の番長グループのリーダーです。
その才覚を見抜いた飛雄馬によって、巨人に入団し、
以降、伴的ポジションとして、飛雄馬の魔球開発に尽力していきます。
歴史を変えた最終回
一方、ヤクルトの大黒柱となっていた花形は、大リーグボール右1号を粉砕すべく
「ツバメ返し打法」を特訓&大リーグボール養成ギプスによる筋力強化の末に完成。
そして、ついに大リーグボール右1号を打ち崩すものの、ホーム寸前で全身の激痛にもんどりうって
倒れて退場。過酷な特訓が元で全身ズタズタになっていた花形は現役引退を余儀なくされます。
(こいつ…昔同じ事やってて懲りてないのか。もっとも、ライバルと戦うときは
全てを犠牲にして戦い、討ち死にするのが梶原流「男の美学」でして。)
んで、強敵のいなくなった飛雄馬は勝って勝って勝ちまくり、
1978年、ついにヤクルトを下して巨人をセ・リーグ優勝(前年度からのX3達成)
に導きます。日本シリーズでも飛雄馬は大活躍。
飛雄馬の連投に次ぐ連投。無敵の大リーグボール右1号は誰も打てず、
さらに左投手時代に投げていた大リーグボール1・2・3号も右手で投げきり、
4連勝は目前、いよいよ日本一に輝くときが!
花形の子供を身ごもった明子が、病床で伴に看取られる一徹が
飛雄馬の栄光、巨人の日本一を見守る。最後の一球が決まり、
ついに栄光を勝ち取った飛雄馬!
息子が名実共に巨人の星になりおおせたその瞬間を見届けた一徹は
テレビの前で真っ白に燃え尽きて(?)大往生。
「お…おやっさん!」驚愕の伴。
アパートから鳴り響く巨人日本一を実況するテレビの音…
新巨人の星 スタッフ
原作/梶原一騎・川崎のぼる(週刊読売掲載)
構成/今沢哲男
演出/今沢哲男・永丘昭典ほか
脚本/金子 裕・城山 昇・出崎哲・荒木芳久ほか
作画監督/香西隆男・荒木伸吾
美術監督/小林七郎
協力/読売巨人軍
音楽/渡辺岳夫
OP/ゆけゆけ飛雄馬(作詞・東京ムービー企画部 作曲・渡辺岳夫/唄・ささきいさお&こおろぎ,73)
ED/よみがえれ飛雄馬(作詞・梶原一騎 作曲・渡辺岳夫/唄・ささきいさお&こおろぎ,73)
新巨人の星 放映リスト
放送No | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 視聴率 |
1 | 1977.10.1 | 新たなる栄光の星へ | 芽 麻夫 | 22.5 |
2 | 1977.10.8 | 謎を秘めた代打屋 | 金子 裕 | 24.7 |
3 | 1977.10.15 | 再会を拒む父と子 | 城山 昇 | 20.0 |
4 | 1977.10.22 | 果てなき野球地獄 | 出崎 哲 | 23.8 |
5 | 1977.10.29 | 伴と星・涙の再会 | 城山 昇 | 21.2 |
6 | 1977.11.5 | 謎のビル・サンダー | 城山 昇 | 20.7 |
7 | 1977.11.12 | 影の友情・左門メモ | 出崎 哲 | 21.5 |
8 | 1977.11.19 | 対エース作戦開始 | 出崎 哲 | 18.5 |
9 | 1977.11.26 | 新しい標的・タブチ | 出崎 哲 | 20.2 |
10 | 1977.12.3 | 大どんでん返しの正体 | 金子 裕 | 19.3 |
11 | 1977.12.10 | 背番号90との再会 | 金子 裕 | 19.2 |
12 | 1977.12.17 | 右投げ・新たなる波紋 | 荒木芳久 | 23.1 |
13 | 1977.12.24 | 驚異の長島構想 | 荒木芳久 | 20.4 |
14 | 1978.1.7 | 電話の謎・明子の迷い | 荒木芳久 | 18.1 |
15 | 1978.1.14 | 冷たい復帰への道 | 城山 昇 | 18.0 |
16 | 1978.1.21 | 忍耐のキャンプイン | 城山 昇 | 20.3 |
17 | 1978.1.28 | 嵐の中のテスト生 | 城山 昇 | 20.0 |
18 | 1978.2.4 | ビル・サンダーの秘策 | 金子 裕 | 19.3 |
19 | 1978.2.11 | 鬼のスクリュー特訓 | 金子 裕 | 19.4 |
20 | 1978.2.18 | 必殺のスライディング | 金子 裕 | 21.3 |
21 | 1978.2.25 | 新たなる決意・背番号3 | 荒木芳久 | 17.5 |
22 | 1978.3.4 | 背番号3への誓い | 出崎 哲 | 20.3 |
23 | 1978.3.11 | 無念の初舞台 | 荒木芳久 | 20.3 |
24 | 1978.3.18 | 恐怖の殺人盗塁 | 荒木芳久 | 19.5 |
25 | 1978.3.25 | 飛雄馬対カケフ | 城山 昇 | 15.8 |
26 | 1978.4.1 | サンダーの裏切り | 城山 昇 | 17.1 |
27 | 1978.4.8 | 非情のバント作戦 | 城山 昇 | 14.2 |
28 | 1978.4.15 | 血みどろの挑戦 | 金子 裕 | 18.2 |
29 | 1978.4.22 | カケフとの対決 | 金子 裕 | 15.0 |
30 | 1978.4.29 | オールスター戦の謎 | 金子 裕 | 15.0 |
31 | 1978.5.6 | 大遠投の波紋 | 荒木芳久 | 18.4 |
32 | 1978.5.13 | 長島宣告の怪奇 | 荒木芳久 | 14.8 |
33 | 1978.5.20 | 王貞治ノーコン投法 | 荒木芳久 | 16.2 |
34 | 1978.5.27 | 右腕の初勝利 | 城山 昇 | 13.5 |
35 | 1978.6.3 | 打倒! タブチ・カケフ | 城山 昇 | 15.0 |
36 | 1978.6.10 | 自滅の死四球 | 城山 昇 | 13.2 |
37 | 1978.6.17 | 決戦! 飛雄馬対左門 | 金子 裕 | 14.7 |
38 | 1978.6.24 | 奪回! 栄光のV1 | 金子 裕 | 14.0 |
39 | 1978.7.1 | 逆転! 日本シリーズ | 荒木芳久 | 16.0 |
40 | 1978.7.8 | 驚異! 殺人ライナー | 荒木芳久 | 14.6 |
41 | 1978.7.15 | 真実のカムバック賞 | 城山 昇 | 11.1 |
42 | 1978.7.22 | 父一徹の贈り物 | 金子 裕 | 11.3 |
43 | 1978.7.29 | 闘志に燃えた友情 | 荒木芳久 | 11.6 |
44 | 1978.8.5 | 始動! 宿命の星・花形 | 荒木芳久 | 9.6 |
45 | 1978.8.12 | 喧嘩屋マックの挑戦 | 金子 裕 | 10.8 |
46 | 1978.8.19 | 輝け栄光! 王貞治 | 城山 昇 | 14.8 |
47 | 1978.8.26 | ミスター虎の正体 | 荒木芳久 | 11.5 |
48 | 1978.9.2 | 試練のテスト生・花形 | 城山 昇 | 14.4 |
49 | 1978.9.9 | 華麗なる復帰 | 城山 昇 | 11.0 |
50 | 1978.9.16 | 右投手用ギブスの成果 | 金子 裕 | 13.5 |
51 | 1978.9.23 | コンピューター対飛雄馬 | 金子 裕 | 11.9 |
52 | 1978.9.30 | はばたけ! 飛雄馬 | 荒木芳久 | 15.9 |
新巨人の星2 スタッフ
原作/梶原一騎・川崎のぼる(週刊読売掲載)
構成/今沢哲男
演出/今沢哲男・永丘昭典ほか
脚本/金子 裕・城山 昇・荒木芳久ほか
作画監督/香西隆男・荒木伸吾
美術監督/小林七郎
協力/読売巨人軍
音楽/渡辺岳夫
OP/心に汗を(作詞・山川啓介 作曲・渡辺岳夫/唄・水木一郎)
ED/ゆけゆけ飛雄馬(作詞・東京ムービー企画部 作曲・渡辺岳夫/唄・ささきいさお&こおろぎ,73)
新巨人の星U 放映リスト
放送No | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 視聴率 |
1 | 1979.4.14 | 明日の栄光をつかめ! | 金子 裕 | 11.6 |
2 | 1979.4.21 | 対決! 飛雄馬対花形 | 金子 裕 | 14.0 |
3 | 1979.4.28 | 吠えろ! 南米の虎 | 城山 昇 | 11.0 |
4 | 1979.5.5 | 左門の握った秘密 | 荒木芳久 | 9.8 |
5 | 1979.5.12 | 王貞治の忠告 | 荒木芳久 | 11.9 |
6 | 1979.5.19 | 高校野球の暴れん坊 | 金子 裕 | 10.6 |
7 | 1979.5.26 | 丸目、野球に賭けろ!! | 金子 裕 | 8.7 |
8 | 1979.6.9 | 型破りの新入り | 城山 昇 | 11.6 |
9 | 1979.6.16 | めざせ! 大リーグボール | 城山 昇 | 11.9 |
10 | 1979.6.23 | 大リーグボールへの壁 | 荒木芳久 | 12.4 |
11 | 1979.6.30 | 完成! 大リーグボール右一号 | 荒木芳久 | 16.6 |
12 | 1979.7.7 | 驚くべき魔球 | 金子 裕 | 11.9 |
13 | 1979.7.14 | 蜃気楼ボールの秘密 | 城山 昇 | 11.8 |
14 | 1979.7.21 | 見えた!? 蜃気楼ボール | 城山 昇 | 9.3 |
15 | 1979.7.28 | 悲運の天才児・難波 | 金子 裕 | 12.0 |
16 | 1979.8.4 | 燃やせ! 青春の炎 | 金子 裕 | 13.1 |
17 | 1979.8.11 | 恐怖・死神ゴスマン | 荒木芳久 | 10.3 |
18 | 1979.8.18 | 飛雄馬の恋 | 城山 昇 | 14.3 |
19 | 1979.9.1 | 愛の二死満塁 | 城山 昇 | 13.5 |
20 | 1979.9.8 | 魔球攻略作戦 | 荒木芳久 | 14.3 |
21 | 1979.9.15 | 激烈!! ツバメ返し打法 | 金子 裕 | 14.9 |
22 | 1979.9.22 | 蜃気楼ボール・破れる!! | 金子 裕 | 14.7 |
23 | 1979.9.29 | 新たなる出発 | 金子 裕 | 17.7 |
と、3ヶ月ぶりの記憶のかさブタ、いかがでしたか?
この作品も意外と資料が少なくて困りました。
メジャーな作品の続編、パート2って以外と
ドマイナーなものになっちゃうことって多いですね。
次回は秋かな。なんかやります。それでは。