看板

しばらくぶりの更新。なんかこのところ年一ペースになりつつある…。
アメリカ横断ウルトラクイズじゃあるまいに。
ということで今回はこちら。

スカイヤーズ5

第一期(1967年10月4日〜1967年12月27日) 全12話
第二期(1971年10月7日〜1972年3月30日) 全26話
 TBS系放映
製作 TCJ動画センター(現・エイケン)

本格派スパイアクションアニメを目指して
本作品はTBSが企画し、世に送り出したTV局主導のオリジナル作品。
原画を当時「アタック拳」などのアクションものを描いていた川崎のぼる氏に依頼、
アニメ製作はエイトマン以降付き合いの深いTCJに依頼し、完成しました。

1967年当時、日本はちょっとしたスパイブーム(映画・TVの話)
ことに「007は二度死ぬ」が日本を舞台にして製作、公開されるとなった時には
もう猫も杓子もスパイスパイの大熱狂。スパイといわず類似した作品(探偵、忍者etc)も
一斉に製作され、日本はスパイ天国(だから映画・TVの話)と化していたそんな頃でした。
(サンスタースパイメモとかもこの時代ですよね。)
それまで日本のTVアニメではスパイアクションはおろか探偵物とよべるものは無く
(キャラの設定が探偵、というのはあっても、大筋はSFだったりギャグだったり)
本作品は本格的スパイアクションアニメとしてその産声を上げました。

隼太郎


隼太郎がスカイヤーズに入るまで
第一話のあらすじはこんな感じ。

日本人の青年・隼太郎は母、妹と共に日本に帰る国際線の出発を空港で待っていた。
そんな彼の前に瀕死の重傷の男が彼にネクタイピンを託し息絶える。
「これをに日本の国際警察本部に届けて欲しい…」ネクタイピンを預かり飛行機に搭乗する太郎。
だが、空中でゴーストの潜水艦から発射されたミサイルに旅客機は撃墜され、
乗客150名は全員死亡…いや、奇跡的に隼太郎だけは生き残り、
無人島に漂着する。母と妹を失い悲しみにくれる太郎。そんな彼の前に親を失った子ライオン、ピーターが現れる。
互いに親を亡くしたもの同志共感していくピーターと太郎。そんな彼らを通りがかりの船が救出するが、
その船もゴーストに襲撃される。「なぜぼくは狙われるのだ?」
日本に到着し報道陣から取材を受ける太郎。しかしそこにもゴーストが暗殺部隊を送り込む。
太郎に照準を合わせたライフルが火を吹く!
その瞬間、謎のエアカーに乗った少女が太郎を救出。
暗殺部隊も後からやってきたスーパーポンコツカーによって退治される。

太郎はネクタイピンを助けてくれた少女の上官・日本国際秘密警察の指揮官に手渡す。
そのネクタイピンには、世界的犯罪結社・ゴーストの世界破壊計画を全て網羅した
「ゴースト・プラン」を記録したマイクロフィルムが隠されていたのだ。
しかも、このフィルムを奪うためにゴーストと戦って空港で息絶えた青年は、
エアカーの少女の兄・S5号だったのだ。意を決した太郎は
「ボクも貴方方の一員にしてください!奴らと戦います!」
こうして、隼太郎は日本国際秘密警察の精鋭部隊・スカイヤーズのメンバー、
新S5号となり、S1号のキャプテン、メカの達人S2号のボルガ、紅一点のS3号ユリ、
怪力無双のS4号サムソン、そしてピーターとともに、万能エアカー・スカイヤーズ号に乗って、
国際犯罪組織ゴーストを倒すために戦いをはじめる。

ユリ

第一話を見るとスタッフの「本格的スパイアクションものを作るんだ!」という気合がひしひし伝わってきます。
タイトルのバックに撃たれたゴーストのシルエットをダブらせたり、
冒頭の深夜のビル街での銃撃戦&カーチェイスと、かなり気合が入っています。
爆発やアクションシーンはTVアニメ初期の作品と言う事もあって
今見ると前時代的な面は拭えませんが、
それでも当時のアニメとしてみればかなり密度の高い作品と言えます。
アニメ放映と同時に原画(キャラクターデザインの意か)担当の川崎のぼる自身による
漫画の同時連載も始まっており、
今で言うところのメディアミックス展開がなされていました。

ストーリーはその後1話完結方式で、世界各国で暗躍と破壊活動を続けるゴースト団と
それを阻止せんものとするスカイヤーズ5との丁々発止の戦いが描かれていきます。

番組広告(白黒版)


突然の終了の謎、そしてカラー版の第二期へ
「視聴率が伸びず、打ち切りの憂き目にあう(徳間書店発行「TVアニメ25年史P20解説頁より」)」

との記述通り、この意欲的な本格スパイアクションアニメ「スカイヤーズ5」は、
当時としては異例の短さ、僅か13話で未完のまま放送終了となってしまいます。
しかも放映されたのは12話分のみで、13話目は再放送を流してあっさりEND。
理由は不明ですが、それとなく最終回っぽくみえるエンドの話を
再放送することで踏ん切りをつけようという意図があったのかもしれません。
(13話目に流す予定だった話がそれに適さなかったという見方も出来ますが。)
当時の裏番組を見ると、関西テレビ(フジ系)で放映中だった大人気番組
「仮面の忍者赤影」があることが解ります。当時あちらが常時20%超えをしていましたから、
スカイヤーズ5の視聴率が喰われてしまったのも無理からぬ話です。
しかも向こうは荒唐無稽&ド派手なカラー作品。
こちらはスパイアクションのモノクロアニメということもあって、
比較されると不利だったのでしょう。打ち切りはかなり早めにきまったようで、
11月末発売の週刊テレビガイドの広告に早くも
スカイヤーズ5の後番組告知がデカデカと載っています(プロレス中継)

新番組告知


雑誌の発行日が11月末という事を考慮すると、
番組記事(週刊TVガイドより・カラー版)打ち切り→後番組決定→告知掲載依頼の手順を遡るに、
11月早々にはもう打ち切りは決まっていたと見るべきでしょう。
こうしてスカイヤーズ5は当時の最短命アニメとして幕を閉じることになります。

が、打ち切りから3年10ヵ月後の1971年10月、
突如「スカイヤーズ5」は復活します。
当時の雑誌告知を見ると過去に放送されていたという表現は一切無く、
むしろ「巨人の星の川崎のぼるの描く新番組!」というフレコミになっております。
エイケンのHPを見ても「再放送を重ねて人気を博し、カラー版実現に至った」
あるのみで、その紆余曲折については謎が多く明らかになっておりません。
穿った見方をすれば、「数年前一生懸命作ったものの打ち切られお蔵入りになった
作品をムダにはしたくない、カラーリメイクで作り直し、
「巨人の星」が大ヒットしてる今なら、
同じ作者の作品として新たにウケるかも」
という計算があったのかも。
(ちなみに「ライオンのピーターはカラー版からのキャラクター」という風に
各サイトの記述では説明がなされていますが、
既に白黒版の新番組広告にピーターは出ています。)

第一話は白黒版の一話「ゴーストプランを砕け」をカラーリメイクし、
以降はカラー版エピソードとして新たに製作。
(資料によれば白黒版の2話以降もカラーリメイクされ
放送されたともあるものの、
それのどの話が新作かカラーリメイクかは不明。)

こうして打ち切られ未完に終わったスカイヤーズ5は3年10ヵ月後カラーで復活し、
ようやく完結の日の目を見ることが出来ました。











現存するセル画(提供・つくだやま氏) 現存するセル画(提供・つくだやま氏)
























スカイヤーズ5 総製作本数の謎

ここで、最大の疑問が出てきます。
「スカイヤーズ5は総数何本のエピソードがあるのだろう?」
白黒版は26話、カラー版も26話製作された、ということで全52話あるという事になっています。
うち放送されたのは白黒12話、カラー26話なので、これを素直に見れば
14話分もの未放映エピソードが存在することになります。
しかしエイケンのHPによれば「スカイヤーズ5は全38話」
これは放送されたもののみのカウントなのでしょうか。
未放映エピソードについては全く触れられておらず。
私もこの作品は朝日放送が三十五年ほど前、朝に再放送していたのを
視聴したのが唯一無二。再放送自体も非常に少なかったと記憶しています
(他地方については知りませんが)
未放映分があるのかないのか確かめたかったのですが、
とにかく視聴機会が極端に少ない作品。
ソフトは1983年に東映ビデオが「エイケンTVアニメグラフィティ」という企画物で
一話だけパッケージ化されたのが唯一で、
以降現在に至るまで一切ソフト化されていないのが現状です
(CSなどでの放送はあり)
45年以上昔の作品だけに時代感覚のズレや技術等の古臭さは仕方ないとは言え、
TVアニメ黎明期にこういう本格派スパイアクションものを作ったという事は
もっと評価されていいのではないでしょうか。

スカイヤーズ5(カラー版より)


スカイヤーズ5 スタッフ
原作/真田喬次郎(1期)小泉太郎&石川喬司(2期) 
原画/川崎のぼる
演出/山本 功・佐々木治次・村山 徹・小野辰夫・山口峯晴・木村光雄ほか
脚本/真弓典正・中野健次・安田多苗・藤村正太・山村正夫・高橋克雄
動画(作画と同義)/難波久衛・箕輪紀行・日山良雄・関 修一・若林忠夫・毛内節夫・江口 徹ほか
動画製作/TCJ
企画制作/TBS
製作協力/朋映プロダクション(1期)

音楽/司 一郎
OP/スカイヤーズ5(作詞・赤坂三平/作曲・すぎやまこういち/唄・ハニー・ナイツ)
ED/スカイヤーズ・マーチ(作曲・司 一郎)


キャスト
S5号・隼 太郎(仲村秀生)
S1号・キャプテン(真木恭介)
S2号・ポルカ (和久井節緒)
S3号・ユリ(栗 葉子)
S4号・サムソン(神山卓三)
ゴースト(高橋正康)ほか

スカイヤーズ5 放映リスト(第一期)

放送No放送日サブタイトル放送No放送日サブタイトル
11967.10.4ゴーストプランを砕け 71967.11.15アラジン作戦
21967.10.1127は?の番号 81967.11.22地獄のワルツ
31967.10.18ゴーストばんざい91967.11.29光れオーロラ
41967.10.25チャンネルXを探せ101967.12.6王女の剣
51967.11.1そのハンドルをはなすな 111967.12.13消えた宇宙人
61967.11.8死神の遺産 121967.12.20消えた設計図

※1967年12月27日に第9話「光れオーロラ」の再放送を行い放送終了。

スカイヤーズ5 放映リスト(第二期)

放送No放送日サブタイトル放送No放送日サブタイトル
11971.10.7ゴーストプランを砕け 141972.1.6東京ゴースト応答せよ
21971.10.14SOS黄金超特急 151972.1.13水爆発射10秒前!
31971.10.21その皮をはげ!161972.1.20死闘に涙はない
41971.10.28SOSレーサートロン171972.1.27アフリカの王子
51971.11.4マンモス鯨現わる! 181972.2.3独裁者の幽霊
61971.11.11ネプチュン号を奪いとれ 191972.2.10爆破計画311A
71971.11.18虎穴に潜入せよ 201972.2.17緊急指令M島へ飛べ
81971.11.25その光を消すな 211972.2.24ゴースト帝国を破壊せよ
91971.12.2悪魔のメロディ 221972.3.2地獄へのパスポート
101971.12.9ドクロ襲撃 231972.3.9脱出
111971.12.16地獄への約束 241972.3.16恐怖のスピードウェイ
121971.12.23オーロラを消すな 251972.3.23白い悪魔の要塞
131971.12.30裏切り者は消せ 261972.3.30スカイヤーズ・マーチ


と、今回も終了。
もう63回もやってたのかと通し番号見て驚愕。
相変わらず時間の足りない日々が続いております。
月イチ更新してた頃は良かったなぁと遠い目。
でもしょうがないのです。ではまた時間が出来ましたら次回。

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