看板

今回はひさびさのこの企画。

短命アニメ特集3

国民的人気を得て、終わることすら許されなくなった
長寿アニメのある一方で、放送されて即、「打ち切り!」という
残酷な結果を迎えたアニメも多くあります。
余りに短いため、再放送もソフト化も出来ず、
見た人もどれだけいたのやら…

今回は過去二回やってきた短命アニメ特集の三回目。
十年以上間が開きましたね。



ずっこけナイトドンデラマンチャ
(1980年4月15日〜9月23日・東京12チャンネル系放映・
全23回放映(製作数26話)
/製作・国際映画社 葦プロダクション)


豪華スタッフの挑んだモーレツハチャメチャずっこけアニメ

あらすじ
快漢ドンキホーテ。情熱と正義の豪傑たる彼は、
実は頭のネジがかなりユルい。直情型で思い込みが激しく、
こうと決めたら回りがまったく見えなくなる
難儀極まりない男である。彼は愛しの姫君であるドルネシアを探して、
従者サンチョをしたがえて旅を続けている。
だが、ドルネシアは姫ではなく、実は大盗賊カラボスの娘。
金欠の父を助けんものと、直情型のバカ…もとい快漢ドンキホーテを巧みに
利用して大金をせしめんと、彼に悪事を働かせようと画策する。
そんな真実も露知らず、今日も今日とてバカ…もとい快漢ドンキホーテは
姫を捜し求めて東へ西へと走り回るのである。



本作は一応「ドンキ・ホーテ・デ・ラマンチャ」が原作とはなっていますが、
実際は殆どキャラ名のみを使用しただけのハチャメチャギャグアニメです。
基本設定はどこかタツノコ的というか、タイムボカンシリーズの匂いもするなぁと思ったら、
酒井あきよし・鳥海尽三・山本 優・河井ノア(下元明子)と、
タツノコでおなじみのスタッフがズラリ。
そこに猪又むつみ・湯山邦彦・長崎重信・鍋島 修・山崎和男が加わるという超豪華ラインナップ。
これで面白くないハズがない…んですが、
当時の東京12チャンネルは単なる東京のローカル局。
ネットを持たないが故に本作は地方に買い取の形で販売されたため、
地域によっては放送されたことすら全く知らない人もいました。


本作では主役のドンキホーテを「半狂人」として設定してるところがスゴイです。イイのか?
まるで動物のような外見に加え、内海賢二さんのぶっ飛んだ怪演が妙にハマってしまい、
一度見たら忘れられない強烈なインパクトを持つキャラに仕上がりました。
従者のサンチョも完全に小動物キャラの如き外観で、
和久井節緒さんの手下的しゃがれ声が見事にマッチ。
それに大塚文雄氏歌う民謡調主題歌がたまらなくイイ。CD化を切に願います。


ドタバタギャグアニメに込められた想いとは

当時、シリーズ構成を担当し、脚本も手がけた酒井あきよしは、
本作品について次のように語っています。

ドンデラマンチャという作品(シリーズ構成・酒井あきよし)

ドンデラマンチャの面白さはドタバタギャグではなくて、
むしろ「ドン・キホーテ」のもつ崇高な精神を描くことにあります。
その精神を踏み外すと、どんなに場面を面白く描いてみても笑いには通じないのです。
そこがこの作品の一番難しいところです。
よく「喜劇と悲劇は裏返しだ」などと言いますけれど、
大真面目に理想と正義を追い求める人間の姿を見る時、
まさにその通りだと思いますね。本当に一途に正義を求める姿は、
時としてひどく滑稽だったり、妙に哀しかったりするものです。
ドン・キホーテもそんな人間のひとりでした。
そしてこのドンデラマンチャも、おなじような人間なのです。
だからこの作品は単純なギャグで笑い飛ばしてしまうような描き方は絶対出来ません。
ドンデラマンチャの信念と、理想を追い求めて旅する姿を描くことが作品づくりの主眼です。

原作中のドン・キホーテの言葉にこんなのがあります。
「姫を見ずに愛し、見ずに認め、見ずに誓い、そのお味方をする」という。
まさにこの言葉はドン・キホーテの心情そのものを物語り、
この作品でいえばドンデラマンチャの心そのものであるわけです。
ドンデラマンチャは他人がどう思おうと関係なく、自分の信念にもとづいて跳ぶ男。
人が見ればバカと思うようなことに全力投球する。
その生きざまはシラケ社会と言われる現代のわれわれの心に眠っていた
なにかを呼び覚まさずにはおかないでしょう。
ドタバタギャグではなく人間を描いたドラマ、それが「ドンデラマンチャ」。
とにかく脚本も演出も作品もすべてがむずかしくて、苦心惨憺した作品であります。
(月刊アニメージュ1980年7月号記事より)

純粋かつ真剣なる実直な人間は、往々にして世間の嘲笑の対象となる、という現代、
ただ、だからといって、嘲笑だけで済ませてよいものだろうか?そこにはなにか宝物が隠れてはいないのか?
そこには魂のもつ生命力・人間力のもつ輝きがあるのではないか?
…しかし、結果としてドンの一挙手一投足すべてが
ピントずれまくりのギャグとなっているわけで。でも本人はいたって真面目で真剣。そこが
たまらなく可笑しい。けどその笑われてる様がたまらなく哀しい…。ふ、深いなぁ。酒井先生。


本作品は再放送の機会もほとんどなく、製作会社のひとつである国際映画社が倒産して以降は
ほとんど目にする機会もなくなりました。唯一、第1話「想い姫よいずこ」と第6話「ドンはカウボーイ」という2話分のみ、
東芝映像ソフトから60分のビデオソフトとして商品化されています。
結果として唯一視聴可能なドンデラマンチャがこの2話分というわけですが、とりわけ第6話は
金田伊功が絵コンテ・作画と好き放題やりまくった快作として、
当時からアニメファンの間でも話題になってたエピソードで、
内容も作画もブッ飛びまくってます。これがマニアにはたまらんのでしょうねやっぱ。
ちなみに金田伊功が担当したドンデラマンチャはこの6話のみ。
故にこの回だけ、姫のドルネシアもキャラデザインが大幅に変わり、色っぽさが増してたりします。

第6話コンテ・作画 金田伊功
あのころのアニメ黄金期だと、何やってもよくて、
30分間俺の私物化だっていう(笑)。
当時、名作路線の番組を私物化したいという野望があったんですが、ダメでしたね(笑)。
最初のどかに描いて、そのうちいきなりミサイルが飛んできて爆発が起きて、っていう(笑)。


−いまのお話だと「ずっこけナイトドンデラマンチャ」が一番野望達成に近いんでしょうか。
キャラクターの雰囲気は名作調だし、爆発や光線があるし。−


あれでも別に文句言われないっていうのがイイですよね(笑)。
こういうのやめましょうって言われると、やっぱツライんです。
「一休さん」を担当した時は「子供だから飛び上がるのもそんなに飛び上がらない」とか、
「口も大きく開かない」とか、当時としては珍しく指定があったんです。
口なんて大きくこういうふうになっちゃう時ってあるじゃないですか(笑)。
制約受けたのは最初ですから、なんて窮屈だ、と思って
「ゲッターロボG」に戻してもらったんですよ(笑)。


(キネマ旬報別冊「動画王」1997年1月30日号インタビュー記事194頁より抜粋)

しかし視聴率は表記の通り低空飛行のまま、
26話製作したものの未放映3話をのこして23話で終了決定。

終了によせて(プロデューサー・相原義彰)

ついにドンデラマンチャも終了。
反省材料は沢山あります。ギャグはむずかしいですね。
準備期間・製作費がもっとほしかったというのが正直なところ。
ただ、ギャグ作品を扱い、さまざまなスタッフと出会えたというのは収穫でした。
またなにか機会があればもういっちょうやりたいと思います。
こんどはもっと手間暇かけて…

私がアニメに最初に出会ったのは8年前。ミュンヘンオリンピックのとき。
TBSテレビで放送された「ミュンヘンへの道」(編集担当)でしたが、
この時も一日おきの徹夜作業でかなり過酷なスケジュールだったという記憶があります。
そういうスケジュール的な問題・労働条件はあまり変化がありませんね。
変わったことと言えばアニメーションそのものの人気が上がったということでしょうか。
そういう部分(スケジュール的な問題・労働条件)でも進歩がないとアニメづくり、
ことに良い作品づくりをするのは難しい。今後、一番進歩しなければならない部分でしょう。
(月刊アニメージュ1980年10月号記事より)

ちなみに最終回は怪盗サンタクロースというお話。おもちゃマニアコレクターであるイイ歳のジジイ・怪盗サンタクロースが
子供からオモチャを次々取り上げて自分のコレクションにしていくというお話(こういう大人、今は山ほどいそうだ)。
そんなサンタのアジトに雪山かきわけドンとその一行が乗りこんで大騒ぎになるという…。
普通に1エピソードとして流してもおかしくない話ですねコレ。今日も今日とてドンと一行は
旅を続けている…という感じで終わったんですかね。



ずっこけナイトドンデラマンチャ 製作スタッフ

原作/ミゲル・デ・セルバンテス(ドンキ・ホーテ・デ・ラマンチャ)
製作/壷田重三
企画/佐藤俊彦・壷田重夫
プロデューサー/江津兵太(東京12チャンネル)・相原義彰
監修/長浜忠夫・山元純市郎
脚本構成/酒井あきよし
キャラクターデザイン/河合ノア
美術監督/勝又 激

音楽/越部信義
OP/ドンデラ音頭〜調子出てますか〜
(作詞・鈴木悦夫/作曲・越部信義/唄・大塚文雄&クレープ(セリフ・内海賢二))
ED/荒野の一番星
(作詞・鈴木悦夫/作曲・越部信義/唄・大塚文雄&クレープ)

ずっこけナイトドンデラマンチャ 放映リスト

放送No放送日サブタイトル脚本絵コンテ演出作画監督視聴率
1980.4.15想い姫よいずこ吉川惣司吉川惣司湯山邦彦富沢和雄7.4
1980.4.22魔女は騎士がお好き筒井ともみ湯山邦彦湯山邦彦富沢和雄7.9
1980.4.29びっくり怪獣親子酒井あきよし湯山邦彦二階堂主水富沢和雄7.0
1980.5.6ドンは猛獣使い酒井あきよし貞光紳也湯山邦彦富沢和雄6.3
1980.5.13大盗賊はだれだ酒井あきよし湯山邦彦湯山邦彦平村文男
6.6
1980.5.20ドンはカウボーイ鳥海尽三金田伊功湯山邦彦金田伊功6.1
1980.5.27迷馬?ドジナンテ筒井ともみ湯山邦彦吉田健次郎長崎重信
鍋島 修
5.9
1980.6.3海賊島の決闘酒井あきよし湯山邦彦湯山邦彦平村文男
渡辺邦男
6.6
1980.6.10ドラキュラ恋の物語 筒井ともみ山崎和男関田 修神宮 慧5.2
101980.6.17大暴れわんぱく王子筒井ともみ湯山邦彦上村栄司5.2
111980.6.24ピラミッドのたたり筒井ともみ吉田健次郎遠藤克己4.2
121980.7.1姫は戦車に揺られて桜井正明関田 修神宮 慧4.7
131980.7.8悪魔島からの脱出山本 優吉田健次郎遠藤克己5.9
141980.7.15モナリザの誘惑筒井ともみ湯山邦彦神宮 慧5.6
151980.7.22神通力よさらば鳥海尽三吉田健次郎長崎重信3.5
161980.7.29ウスノロダメスの大予言筒井ともみ
入江とおる
湯山邦彦渡辺邦男3.3
171980.8.5ドン姫と野獣筒井ともみ吉田健次郎遠藤克己4.4
181980.8.12密林の大魔王湯山邦彦吉田健次郎伊藤 誠4.5
191980.8.19人魚姫の涙 桜井正明関田 修神宮 慧3.8
201980.8.26アマゾンの女王酒井あきよし吉田健次郎木場由美5.1
211980.9.9暴君ネロンとベラクルス佐木 仁湯山邦彦神宮 慧3.1
221980.9.16白雪城のマジックミラー筒井ともみ吉田健次郎安部 司5.3
231980.9.23怪盗サンタクロース筒井ともみ湯山邦彦神宮 慧3.6

キャスト


ドンキホーテ(内海賢二)
サンチョ(和久井節緒)
ドルシネア(小川茉美)
ノットルダム(緒方賢一)
カポネン(雨森雅司)
カラボス(今西正男)
カセットリ(大竹 宏)
ナレーター(永井一郎)ほか




フーセンのドラ太郎
(1981年4月11日〜1981年8月1日
 フジテレビ系放映・全13話/製作・日本アニメーション)


「男はつらいよ」の戯猫版アニメ。やさしいタッチの異色作

あらすじ
ヤクザな性格の風来坊・ドラ太郎が故郷のねこ島に帰ってきた。
小さい頃に両親を亡くし、妹のさくらとともに
だんご屋・ねの字屋の忠造夫婦に育てられたのだが、
品行方正で出来のいいさくらに比べて
兄のドラ太郎はガサツで出来の悪い厄介者。
島の窮屈な生活に嫌気がさして、
10年前に何の託も無くふらっと行方をくらませたドラ太郎。
が、そのドラ太郎が突然帰ってきたのだ。
喜ぶさくらと忠造夫婦だったが、あのドラ太郎がねこ島に帰ってきた、と
昔なじみの駐在さんは戦々恐々。「ドラ太郎のことだ。きっとなにか
ひと波乱あるに違いない…!」しかし、ドラ太郎はそんな心配そっちのけ。
ねこ島の遊覧船の美人船長の春子に一目惚れしてしまった。


男はつらいよの山田洋次監督の原作・監修による、言うなれば子供向けアニメ版「男はつらいよ」。
実はもともと、オリジナルの動物アニメを作ろうと、
動物キャラといえばこの人の右に出るものなしと言われた職人・森やすじ氏の作った
キャラクターデザインを煮詰めていくと、どうも「寅さんみたいになってきたな」ということになり、
ならいっそ「山田洋次さんを迎えて、動物アニメ版の寅さんにしてしまおうか」ということになって、
山田洋次監督にお伺いを立てたら了承を頂いたため、フーテンならぬフーセンのドラ太郎が誕生した次第。
フーセンの意味は単純に「ふわふわしたキャラクターだから」だそうです。
また、山田洋次監督の立ち位置ですが、本作品については基本的に原作と監修。
原作は「男はつらいよ」から取ってるので当然と言えば当然。監修と言うのは、
具体的には脚本があがったらそれをチェックする、という事だったらしく、
別にスタジオに詰めて陣頭指揮をとっている、という感じではなかったそうです。

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田村学(プロデューサー)

舞台が田舎ですから主題歌を決める時もふるさとのイメージのあるものをと思っていました。
具体的にはちょっと泥くさくて素朴さがあって、
聞くだけで暖かさが伝わってくるような音楽です。
そんな条件でレコード会社の人と話し合っていましたら、
「それなら、みなみらんぼうさん」ということになったのです。
歌手を誰にしようか、というので二、三候補を挙げてはいたのですが、
みなみらんぼうさんの推薦でなぎらけんいちさんに決まりました。
「心が歌える人」というのが条件でしたからピッタリでした。
出来あがると、こちらが希望していたとおりのものでしたので満足です。
すべてが順調でスムーズに運びました。
(月刊アニメージュ1981年6月号記事より)

本田保則(音響監督)

「フーセンのドラ太郎」。この作品の思考的イメージとして渥美清のフーテンの寅さんがあるが、
アニメのキャスティングでは、これをまったく度外視することにした。
渥美清口調も捨て、設定もぐんと若くし、分別くさくないドラ太郎にしようと、
美声の人は避けることに決め、20名をオーディション。
その中から永井一郎・青野武・辻しげるの3人をピックアップ。
もう一度ポイントを絞ってオーディションを試みる。しかし3人とも年齢的に高すぎる…と行き詰った時だった。
テーマ曲を歌っていたなぎらけんいちを準レギュラーくらいで使えないかとオーディションしたのは。
ところが、彼のフヌけたような声がドラ太郎のイメージに近い。
という事でスタッフはすぐさま本人と交渉。しかし「シロウトだから」と何度も断られた。
が、何度目かの申し出に対しやっとOK。
こうして、なぎらけんいちのドラ太郎が誕生したのである。
(月刊アニメージュ1981年5月号記事より)



ちなみに資料によると、ドラ太郎の声の候補はほかに三波伸介氏やなべおさみ氏も検討されていたとあります。
このことからも相当力を入れたキャスティングになっていたんでしょうね。
本編は基本、ねこ島に帰ってきたドラ太郎がさまざまな人情…もとい猫情喜劇を展開していくストーリー。
寅さんといえばマドンナが毎回変わるのですが、本作は基本、春子一人にしぼられました。
田村学プロデューサーは「本作品は日本人の日常生活における人情の機微を
動物の世界に置き換えて描きたい」と言っており、アニメならではのドタバタナンセンスは
あえてやらず、あくまで「山田洋次監督の世界を崩さないように、映画とは違う
独自の個性を出していきたい」と語っています。

しかし視聴率は残念ながら低空飛行。子供には地味に映ったのでしょうか。
野球中継で飛ばされることもままあって、13回で終了。
最終回は資料だと、なんか島のお金持ちのおばあさんがドラ太郎を気に入って
養子にしようとする話だったそうです。べつに春子とハッピーエンドになる
大団円的なお話じゃなかったようですね。この作品も本放送で見て以降
再見の機会がないですねぇ。




フーセンのドラ太郎 製作スタッフ

原作・監修/山田洋次
製作/本橋浩一
企画/佐藤昭司
プロデューサー/中島順三・田村 学
監督/楠葉宏三
キャラクターデザイン/森 やすじ

美術監督/阿部泰三郎

音楽/千代正行
OP/フーセンのドラ太郎
(作詞・作曲・みなみらんぼう/唄・なぎらけんいち)
ED/花いちもんめ
(作詞・作曲・みなみらんぼう/唄・なぎらけんいち)

フーセンのドラ太郎 放映リスト

放送No放送日サブタイトル脚本演出作画監督視聴率
1981.4.11ドラ太郎・故郷へ帰る高野丈邦
楠葉宏三
楠葉宏三小川隆雄3.8
1981.4.18ドラ太郎・花見を楽しむ千葉茂樹楠葉宏三古左小吉重5.1
1981.4.25ドラ太郎・兄貴と呼ばれる中村 宏楠葉宏三小川隆雄4.6
1981.5.16ドラ太郎・春風を呼ぶ千葉茂樹楠葉宏三小川隆雄2.0
1981.5.30ドラ太郎・子守唄をうたう杉山 卓楠葉宏三小川隆雄2.9
1981.6.6ドラ太郎・涙の鯉のぼり中野顕彰楠葉宏三小川隆雄3.5
1981.6.13ドラ太郎・大志をいだく神山魁三楠葉宏三小川隆雄2.8
1981.6.20ドラ太郎・さくらの誕生日を祝う 神山魁三楠葉宏三竹内留吉3.2
1981.6.27ドラ太郎・夜空に故郷を想う 神山魁三楠葉宏三小川隆雄4.0
101981.7.11ドラ太郎・荒波にのまれる中野顕彰楠葉宏三鈴木 満4.2
111981.7.18ドラ太郎・まごころの相合い傘胡桃 哲楠葉宏三大坂竹志2.5
121981.7.25ドラ太郎・夫婦ちゃわんを買う中野顕彰楠葉宏三小川隆雄7.5
131981.8.1ドラ太郎・親孝行をする中野顕彰楠葉宏三小川隆雄2.9

※第5話の脚本家名は資料では「未定」となっていましたが、wikipediaの脚本家一覧に杉山 卓氏の記載があり、
他のエピソードの執筆も無い点から、暫定的に記載してあります。

キャスト


ドラ太郎(なぎらけんいち)
さくら(渡辺恵美子)
忠造(槐 柳二)
フミ(片岡富枝)
駒吉(辻シゲル)
頑固先生(矢田耕司)
イシ(中野聖子)
駐在(及川ヒロオ)
絹代(中西妙子)
春子 (玉川砂記子)
ほか




いきなりダゴン
(1988年4月9日〜6月25日・テレビ朝日系放映・全12話
/製作・日本アニメーション)

サジタリウスに次ぐシニカルSFメルヘンアニメ!しかし…。

あらすじ
今日も宇宙を航行する宇宙船デジタル号。
その船員のひとりの少年ダゴンは落第続きの見習いパイロット。
愚にもつかない落ちこぼれだが、船長の娘メリルには好意を抱かれている。

そんなある日、宇宙船内の格納庫で偵察機の整備中、
ダゴンは誤って偵察機を発進させてしまった。
宇宙船から放り出される格好となったダゴンは混乱の中、
付近の惑星に不時着する。
そこは「サピエンス」と呼ばれる巨人の支配する惑星だった。
戸惑うダゴンはそこでミツバチの女医・マリリンと出会い、
この星に住む昆虫達と懇意になる。
口は悪いが小心者のジザム(カマキリ)、関西弁を話すのんきモノ・フロッピー(クモ)、
ジザム・フロッピーとトリオを組む社交性の高いご陽気もの・スキッパー(アリ)など、
気さくな仲間達に出会い安堵するダゴン。だがある日、
マリリンに一方的に好意を寄せる乱暴モノのガマガエル・ゲッポーが押しかけてきた。
スキッパーらに焚きつけられたダゴンは、ゲッポーと対決する羽目に。さあどうなる?



アニメージュ作品紹介
アニメ「80日間世界一周」の次に4月からテレビ朝日系で放送される
日本アニメーションの新作が決定した。「いきなりダゴン」というのがそのタイトルで、
イギリスの絵本を原作とした作品だが、一昨年の「宇宙船サジタリウス」同様、
実際のストーリーはほとんどオリジナルに近くなる予定だ。

見習いパイロットのダゴンは宇宙船デジタル号の格納庫で小型の偵察機を整備中、
誤って発進させてしまい、青く輝く惑星に不時着。
そこにはサピエンスと呼ばれる巨人(人間)と、気のいい昆虫達の住む世界が待っていた。
ダゴンと昆虫たちの交流・冒険を描く連続アニメ。
(月刊アニメージュ1988年4月号記事より)

キャラクターデザイン 高野 登
キャラクターを設定するとき、
昆虫型にするか人間型にするかでそれぞれ悩みました。
マリリンなど美女の場合はどうしても
人間っぽくしないとサマにならないんです(笑)。
(月刊アニメージュ1988年4月号記事より)

プロデューサー 松土隆二
「いきなりダゴン」というとぼけた作品がはじまった。
原案はイギリスの絵本だが、内容やキャラクターはほとんどオリジナルと言ってよいだろう。
オリジナルは本当に疲れます。
連載漫画のように設定キャラ、それに固定ファン層があるわけでなく、
視聴率的には苦戦間違いなく、私やライター、それにスタッフの知恵を
絞りに絞って、頭がおからのようになるのだ。
それも作品の間隔が開いていればよいが、
「ミーム」「サジタリウス」「グリム」と五年近く走り続けると、
タイソンに殴られ、猪木に卍固めされたように、頭と体がガタガタだ。
(月刊アニメージュ1988年5月号記事より)

「宇宙船サジタリウス」と同じ趣の、日本アニメーション製作SFメルヘン路線の一本。
この時期の日本アニメーションは「ボスコアドベンチャー」など、挑戦的なオリジナル要素の強い作品が多いです。
サジタリウスが高視聴率を稼ぎながらも商品展開などのマーチャンダイジングで苦戦した点を反省し、
ダゴンは可愛らしく親しみやすい高野登のキャラクターを起用。
キャラ人気を上げていこうといういう戦略も垣間見えます。
ダゴンを昆虫サイズに設定し、言うなれば
虫の視点から人間の世界を眺めるという構図は
フライシャー兄弟の「バッタ君 町へ行く」を意識したものといわれています。


しかしながら土曜19:30というゴールデンタイムに放映されたにもかかわらず、
本作は視聴率的に大苦戦。
裏番組がクイズダービー(TBS)、ついでにとんちんかん(フジ)というのもあるのでしょうが、
サジタリウスのシビアな人間ドラマがそのまま本作の脚本にも流れ込んでしまった為、
ストーリーは娯楽性に飛んだものとは言い難く、
加えて愛らしいキャラのコミカルな表情や描写がシビアなドラマには不釣合いで、
いろんな意味でどっちつかずと言うか、中途半端な印象になってしまった感じです。
それ故か、ゴールデンタイムで2%台という低視聴率を叩きだしてしまい、
あっという間に打ち切りになってしまいました。

ラストは聞いた話によると、ダゴンがメリルとマリリン両方に求婚され、
さながら「責任とらないとは言わせないわよ」と凄まれ、ビビって逃げ出す感じだった、との事ですが、
私は未見なのでコメントは控えます。
しかし、視聴率が好調で放送が続けられていれば、ダゴンなりの新たな展開や世界観が開けたのでしょうか?
そう考えると、もう少し辛抱してほしかった、と思える次第です。



いきなりダゴン 製作スタッフ

原作/デニス・ポンド  ケン・モートン
プロデューサー/川田万寿(テレビ朝日)・松土隆二
監督/横田和善
キャラクターデザイン/高野 登
美術/阿部泰三郎・佐藤 信・藤田 勉
音楽/石田勝範
OP/愛こそヒーロー
(作詞・おおくぼ由美/作曲・鈴木キサブロー/編曲・戸塚 修/唄・堀江美都子)
ED/ハローグッバイ〜終わらないパレード
(作詞・佐藤ありす/作曲・森田公一/編曲・戸塚 修/唄・堀江美都子)

いきなりダゴン 放映リスト



放送No放送日サブタイトル脚本絵コンテ演出作画監督視聴率
1988.4.9ボクは宇宙人!マリリン先生はボインだぞ藤本信行横田和善横田和善石川哲也3.6
1988.4.16イボ蛙なんて怖くない!?藤本信行斉藤次郎斉藤次郎加藤興治8.9
1988.4.23ボクを煮てもおいしくない!藤本信行小金井良一
斉藤 博石井秀一4.4
1988.4.30サピエンスの家は魔法の館だ!藤本信行鈴木孝義鈴木孝義武内 啓3.5
1988.5.7ゴキブリも美人が好きなんだ!山本 優小金井良一斉藤次郎加藤興治4.2
1988.5.14暗黒街のケンカは恐ろしい!山本 優斉藤次郎斉藤次郎石井秀一3.5
1988.5.21フラれたって泣かないぞ!!山本 優横田和善横田和善武内 啓2.1
1988.5.28理想の世界にゃ罠がある藤本信行鈴木孝義鈴木孝義加藤興治2.3
1988.6.4えっ!マリリン先生に恋人…藤本信行斉藤 博小金井良一石井秀一4.2
101988.6.11漂流!丸干しになっちゃうよ藤本信行斉藤次郎小金井良一武内 啓3.2
111988.6.18花がしゃべる!!謎の夢が森藤本信行横田和善横田和善加藤興治6.5
121988.6.25わっ!!宇宙樹が飛んでいく藤本信行斉藤次郎
横田和善
横田和善石井秀一3.6

キャスト


ダゴン(小宮和枝)
フロッピー(緒方賢一)
マリリン(滝沢久美子)
スキッパー(塩屋 翼)
メリル(林原めぐみ)
ジザム(江原正士)
ストリープ(土師孝也)
リンダ(峰あつ子)
リリィ(堀江美都子)
ほか


というかんじでお届けしました記憶79回目。
79回もやりましたか。はぁ。
今回の3作品はいずれもろくにソフト化されておらず、
資料をあつめるのに結構苦労しました。
幸いいずれも80年代の作品なのでアニメ雑誌でそれ相応の記事が組まれていたり
スタッフのインタビューもありましたので、製作現場の声が調べられたのは助かりました。
ただ、いずれの作品も終わる時はまるで霧か幻か、みたいにフッと消えちゃって。
再放送の機会もなく、当時見た記憶くらいしか辿る事が出来ないのが現状。
CSとかなら再放送もやってそうですが。
次回は決定次第お知らせします。




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