看板

夏もいよいよ終わり。
涼しい秋の夜風が肌身にしみる季節です。
このコーナーも一ヶ月お休みしてましたんで、
もう止めたと思ってる方もいらっしゃったりして。
なにをおっしゃるうさぎさん。
今回はうさぎさんではなく犬さんの主役のこちらがお題。

ワンサくん
(1973年4月2日〜1973年9月24日・関西テレビ系放映・全26話)
製作・虫プロダクション)

これもよみうりテレビではよく再放送してました。
姉とよく大笑いしながら見てました。
結構下品なギャグ多くてネ。




野良犬たちのサバイバル
主人公のワンサは雑種の野良犬。
ワンサくん画像 野良だから両親なんか遠い記憶の中。
偶然たどり着いたとある町で幸太という
少年に拾われたワンサは、そのまま幸太の
家の押し入れに飼われることとなる。
町で出会う仲間の犬たちと日常茶飯事的に起こる
事件やトラブル、
ライバルのネコ一族との縄張り戦争に
明け暮れながら、ワンサは結構気楽な生活を
堪能していく。いつか母に会える日を夢見ながら…。

あらすじをかんたんに説明するとこんな感じ。
こう言う風に書くと結構ペーソス溢れる児童文学っぽい
感じがするでしょ?ワンサもかわいいし。
けど、さにあらず。オープニングの歌詞から
エンディングに至るまで、はっきり言って
下品のオンパレード。
食事中の方には申し訳ないけど、
やたらションベンばっかりするんだもんコレが。
まあ、野良犬のアニメなんだから
しょうがないけど。野良犬の仲間も、
ドでかい金玉ひきずって歩くベンジャミンに始まり、
銭の亡者メガネさん、ゲスにヘラヘラ
笑ってるだけのヘラヘラと、PTAのお母様方がみたら
卒倒しそうなキャラ続出。作画もなんか
ささくれ立ってるような感じで、下品さに拍車かかってたし。



ワンサくん誕生の背景
ワンサくん自体は実はアニメ用に作られたキャラクターじゃなくって、
元々は三和銀行のマスコットキャラクターとして
手塚治虫がデザインしたもの。

つまりは商業キャラクターなわけで、それを後に手塚治虫が
幼児向けのマンガに流用したもの。
はじめにキャラクターありきで生まれたマンガだった訳です。
ただ、皮肉なことに、このワンサくんの掲載誌
「れお」が売上不振で廃刊になり、
その後程無くして発行元の虫プロ商事が倒産。
手塚治虫は責任を負わされる形で
虫プロの経営を外されることになり、
結局昭和48(1973)年に虫プロは
倒産してしまうのです。
その虫プロ最後の作品…それが、
このワンサくんだった訳です。
この頃の虫プロは、初期の
「手塚作品をアニメ化するためのプロダクション」
では無くなっており、時代に沿った、受けるアニメを
連作していました。
「あしたのジョー」「国松さまのお通りだい」
「ムーミン」と、手塚治虫とは縁も
所縁もない作品ばかり。
当時手塚氏のマンガは
「劇画ブームに埋没した」だの、
「もう手塚の時代は終わった」と、揶揄されていた
時期でもあり、後に
「ブラックジャック」「三つ目がとおる」で復活を
とげる前の、ある種の暗黒時代だった訳です。
既に手塚治虫はそこにはおらず、倒産寸前の虫プロで
最後の最後に作られたTVアニメが、
虫プロ商事倒産のきっかけになった雑誌に
掲載された「ワンサくん」というのも、
何か因縁めいたものを感じます。
(追記・その後虫プロは再建を果たしています。念のため。)



内容は徹頭徹尾にミュージカル
暗い話になりましたが、作品そのものは面白いです。(下品だけど。)
OPからして解ると思いますが、
このアニメ、舞台感覚で作られています。
要はミュージカルなわけです。
挿入歌だけでも19曲も作られ、ほぼ毎回、
どこかしこにミュージカルシーンが出てきます。
(個人的には忠犬ハチ公のテーマや、みどりちゃんの
おにいちゃんの歌が印象的。)

音楽面をここまで前面に押し出したTVアニメは
新聞写真ワンサくん前代未聞で、当時としても異色といえます。

最終回は連続モノになり、生き別れた
ワンサのママが、ようやくワンサと再会。
けれどママは虫の息。ワンサの懸命の看病虚しく、
ママは逝ってしまいます。
一人でもたくましく生きようと決意の表情で
ワンサくん全26話は締めくくられますが…

と思ったら、カーテンコールでそれまでの出演者
(犬&猫)が元気に会釈。
さっき死んだママもピンピンして一緒に会釈。
…つまりワンサくんは一から十まですべて劇中劇だった、
というすごいオチが最後について、
半年間の放送を終了したのです。
以前岸田今日子さんが「テレビ探偵団」で、
子供と一緒にワンサくんを見てた際、
最終回をみて激怒した
と語っていたが…
たしかに感動的なラストだっただけに、
ちゃぶ台ひっくり返されたような衝撃でしょうね。
私も子供ん時みて
「な〜んやコレ!」とTVにツッコミ入れてたし。)
7年くらい前にBSで再放送されたから、
最近見たヒトも多いかも。ただ、エンディングの
「ピンコラ音頭」はどういう訳か放送が無音にされる個所があってフルで聞くことは困難。
多分「バカだチョンだと言われても」という歌詞が引っかかってるんでしょうが、
コレは明らかな事実誤認。バカだチョンだの「チョン」は朝鮮人蔑視の侮蔑語の「チョン」じゃありません。
舞台用語で「半人前」を意味する言葉です。
バカでも半人前でも、という意味がバカチョンの意味なのに…
未だに誤解と無知による封印、言葉狩りは続いてますね。

ワンサくん 放映リスト

放送日サブタイトル
1973.4.2おかしな犬が やってきた
1973.4.9結婚しようよ!! カトリーヌ
1973.4.16とばせ!! おしっこ大作戦
1973.4.23あなた好みの ベンジャミン
1973.4.30鼻にのこった ママの味
1973.5.7ここ掘れワンワン ワンサくん
1973.5.14みどりちゃん 捨てないで
1973.5.21馬鹿は死ななきゃ なおらない 前篇 
1973.5.28馬鹿は死ななきゃ なおらない 後篇
1973.6.4犬の死に方 おしえます
1973.6.11ブータンの もててつらいよ
1973.6.18骨が百本 ピピンのピン
1973.6.25月がのぼれば 血がのぼる
1973.7.2ワンサくんのミュージカル特集
1973.7.9ミミーのふりそで隅田川
1973.7.16犬は売られて どこへやら
1973.7.23好きになったら とまらない
1973.7.30パンツもはかずに 失礼さん
1973.8.6踊るワンサに 踊らぬワンサ
1973.8.13ぼくは野犬チャンピオン
1973.8.20ワンサくんのミュージカル特集 その2
1973.8.27ママに逢いたい!! その1
1973.9.3ママに逢いたい!! その2
1973.9.10ママに逢いたい!! その3
1973.9.17死なないで!!ママ その1
1973.9.24死なないで!!ママ その2

ワンサくん 製作スタッフ

原作/手塚治虫
企画/西崎義展、瑞鷹エンタープライズ
脚本/山本英一・藤川桂介・田村 丸・日高 仁・池野文雄 
監督/山本英一
演出/田中 実・石黒 昇・波多正美・西尾向太・矢沢則夫・吉川惣司 他
作画監督/森田浩光・芦田豊雄
キャラクターデザイン/永島慎二
音楽/宮川 泰
OP/ワンサカワンサくん(作詞・山本英一/作曲・宮川 泰/
唄・ロイヤル・ナイツ・シンガーズ.スリー)
OPA/ママに逢いたい(作詞・日高 仁/作曲・宮川 泰/唄・ホーン・ユキ)
OPB/死なないでママ(作詞・日高 仁/作曲・宮川 泰/唄・天地聡子・小原乃梨子)
ED/ピンコラ音頭(作詞・藤川桂介/作曲・宮川 泰/
唄・ロイヤル・ナイツ・シンガーズ.スリー)

キャスト


ワンサ(小原乃梨子)
みどり(ホーン・ユキ)
幸太(野沢雅子)
クマ(富山 敬)
ミミ(千々松幸子)
メガネ(永井一郎)
ヘラヘラ(大竹 宏)
ベンジャミン(滝口順平)ほか


というかんじでお届けしました記憶8回目。
どんどんHPの趣旨と外れていってるなぁ。 いいんだろうか?
次回の予定は決定しだいお知らせします。




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