タイトル

第一話・第二話ストーリー紹介



第一話
「昭和五十四年八月−盛夏 気温三十三・八度 
不快指数・全員不快の八十二」 



第一話タイトル


舞台は人口二万二千八百人の海岸町・茨城県中洗町。
そこに住む少年・大磯 匠(中学三年生)を主人公として
この物語は幕を開けます。
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中洗町の沖高校グラウンド。レギュラー組と補欠組との練習試合。
そのマウンドで、高校生相手に剛速球でねじ伏せる大磯 匠=クロパンの姿があった。
9回二死までノーヒットノーラン…あまりにも一方的に抑えられる状況に
沖高校野球部監督が檄を飛ばす。
「完封負け直前のノーヒット!意地を見せっぺー!」

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 その様子を河原で見つめる謎の紳士。

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完封を目前にした匠だったが、
増長してうっかり投げたチェンジアップがセンター前ヒットに。
「サービスだっぺよー。キャプテンに花もたせたんだかんなー。」

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悔し紛れに嘯くクロパンを見て紳士が車中で呟く。
「ツメが甘い…か。なるほど、良い投手だ。
噂は本物のようだな。たのしみになってきたぞ、うふふふふ。」

試合結果は3-0、一安打完封で
クロパンが投げた補欠組が勝利に終わる。
練習試合後クロパンと沖高校監督が言葉を交わす。
「野球部が出来てから六年…いっつも予選の一回戦ボーイだっぺ。
…けど来年はちがうかんな。おめーがうちに来っぺ。
県内随一の剛速球投手がが弱小の沖高校にやってくんだかんなー。
甲子園行きのキップを持っておめーが来っぺよー。それまで待ってぺよー。
よその高校なんかに行がねえでうちさ来いよ!約束だかんな、待ってっど!」
「オッス!監督!甲子園に行くべー!」

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試合を終えて帰ってきたクロパンをご近所の漁師や女子が出迎える。
「てえしたもんだっぺよなー。高校生をむこうに回してよー。すごいっぺー。」
「沖高校を甲子園に引っぱってけよな。
おらあ、いまっからそんだけがたのしみなんだぁ。」
「そんだことわかってべよ。野球すっからには目標は誰だって甲子園だかんね。」

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改めて甲子園への決意を新たにするクロパン。
が、ランニングで帰路の途中、先ほどの謎の紳士が現れる。
「大磯武次郎さんというのはきみのお父さんだったね。」
「んだよ。」
「この封筒ををお父さんに渡して欲しい。」
「いいよ。」
「あ、そうそう…。なぜ君はクロパンと呼ばれているのかね?」
「…顔が人より黒かっぺよー。そんだからでねえの!」
「なるほど、それじゃ!」
謎の紳士はそう託をすると去っていきました。

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「キャーッ!」そこに突然女の悲鳴。
クロパンが駆けつけると、クラスメイトの少女が
他所からやってきたナンパ野郎二人組に暴行を受けていました。

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「やめろよ!その手をはなしたらえがっぺよ!」
「なーにカッコつけちゃってよーッ!」クロパンに殴りかかる二人組。
しかしクロパンは抵抗しない。少女たちを逃がすために
囮になって殴られ続けたのだ。「チッ!弱いくせに出しゃばるんじゃねーよ!
こんなクソ暑い時に、おかげでシラケちまったぜ。おい、行こうぜ。」
チンピラはクロパンをひとしきりリンチにした後去っていきました。

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ズタズタにされたクロパンを気遣いクラスメイトの少女が近寄ってきます。
「クロちゃん…ごめんね。」
「あんなの相手にしたってしゃーあんめえよ。」
立ち上がり、去っていくクロパン。

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後にはリンチの際にびりびりに踏みにじられ、
打ち捨てられた封書が。
謎の紳士の正体は?そして封書の中身とは何だったのか?

第二話

第二話タイトル


前回のあらすじ(丁寧だ。)
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夜も明けきらぬ早朝。クロパンと武次郎は港にいた。
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いつもと変わらぬ、いつもの会話。だが、ここ最近様子が変わってきた。
漁船で海に出る武次郎を見送るクロパンに漁師が話しかける。
「(最近)父ちゃんの船に乗れなくなってさびしくなったなー。」
「…うん。中学3年生になってからは一度も乗っけてくんねえー。なんでだっぺ。」
クロパンはいつもの日課・神社へのトレーニングに向かいます。

其処に現れる例の謎紳士。クロパンのトレーニングを影からみていると、
弓道場の的目掛けてボールを投げているのですが、その距離に驚きます。
「なんだあの距離は!ピッチャーズマウンドからホーム上まで正確には十八・四四メートル。
だが、いま投げている距離はゆうに二十四、五メートルはある…
それでいてあの球威…信じられない!スピードも130キロはかるく越えているだろう。
大器だ…まちがいなくエースになれる男だ。」

そこに昨日のチンピラ二人組が偶然現れます(朝6時に何やってたんだコイツら?)。
さっそくコレ幸いとクロパンに絡みだします。「おまえうわさ聞いたぜ、金の卵なんだってな」
黙り込むクロパン。
「東京の高校からスカウトしに押しかけてくるんだってな。金ガッポリもらえるんだろう、ええ?」
昨日の肉体的リンチに続き、精神的リンチでクロパンを嬲っていくチンピラ二人組。

結果、ブチ切れたクロパンにボコボコにされてしまいます。

そこに現れた沖高校の野球部員と監督。クロパンは泣きながら逃げ出します。
後にはボコボコのチンピラが。

それから後、チンピラの言葉通り、クロパンの家には
全国の甲子園常連校のスカウトが大挙押し寄せてきました。
「やかましいっ!クロはどこへもやらねぇ!帰れーっ!」

スカウトを一喝する武次郎の前に名詞を差し出す例の謎紳士。

「大磯 武蔵」と記名された名刺を見て驚愕する武次郎。
「クロパンをかえしていただきたい。」

いったいこの紳士の正体とは?

感想
基本設定編ではありますが、実はこの一〜二話に登場した人物は、
クロパン以外殆ど序盤以降登場しません。
第一話では憧れのクラスメイト・松尾美香ちゃん(中三)も登場し
デレっとするシーンもあったのですが…
結局このヒロインはこの一話っきり。以降一切女っ気のない展開。
まあ、タッ○じゃないんだから野球マンガに女は無用?

第一話&二話はクロパンの住む町と人間模様を堅実に描写しつつ、
クロパンがいかに未完の大器であるかを、地味ながらも骨太に表現しています。
加えてミステリアスな展開も加味しつつ。
この複雑に絡み合った人間模様とクロパン自身の秘密の因果関係が
この後、さらにうねりを上げていく事になるのですが…





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