タイトル

第十八話・第十九話ストーリー紹介



第十八話
激突!竜虎の決戦!!の巻

甲子園決勝戦から二週間後。
甲龍ナインは西武ライオンズ球場にいた。

バックスクリーン下のゲートが開き、

続いてウグイス嬢の選手紹介が始まる(凝った演出を…)。
白虎学院主将・北斗を筆頭に次々現れる猛者たち。
そこに混じって鉄海、三馬の姿も。


試合はDH制のパ・リーグ方式。

甲龍ナインもこれを了承する。
そして、サンダーボルトの解禁も許諾。
(公式試合じゃ無いからだろうけど。)

これでクロパンの魔球は全部解禁できる。が、鉄海が不気味にほくそ笑む。
この2週間で万全の備えを行ってきた、と言わんばかりに。

早速とばかりに放たれる魔球サンダーボルト!

だが、電撃はまったく効果が無い。
なぜなら…

白虎学院驚異の猛特訓!
(どこのウルトラ族?などと野暮なツッコミしない。)

それでもサンダーボルトを連投するクロパン。
だが電撃に免疫の出来た白虎学院ナインにはもはや通用しない!

ならばとばかりにスクランブルエッグ。
が、鉄海によって白虎学院ナインは皆、心眼打法を会得していた!
ならば白鳥の舞い!
だが、バットを頭部の後ろに瞬時に隠すという技で
デッドボールを誘うという荒技に阻まれる。
(光ほどに完全に白鳥の舞いを会得していれば話は別だったろうが…)

結局、クロパンの魔球は完膚なきまでに打ちのめされる。完全攻略。
なすすべなくバックスクリーン連発。茫然自失のクロパン。

意気消沈のクロパンに比して、
三好は西武球場の人工芝に何らかのヒントを得る。

一回表・白虎学院は3点で攻撃終了。裏は三馬が登板。
無敵魔球・コークスクリューで難なく三者凡退にねじ伏せられる甲龍ナイン。
もはや勝負あった…か?

二回表、とぼとぼとマウンドに上がるクロパンに
三好がとある実験を提案する。

アンダースローで投げられたサンダーボルト。
あっさり打たれるものの、三好は確信を得る。
「ようし、その調子だ!もっとスピードをあげろ!」

どうせまともにやったって通用しない相手。クロパンも従う。
「いいだろう!やったろうじゃねえか!
この試合に勝てるんだったら、命だってくれてやる!」
続けてアンダースローで投げられるサンダーボルト。
またあっさり打たれるも凡フライ。
「まだまだスピードが足りねえ!もう一丁だ!」
クロパン、全力投球のアンダースローでサンダーボルト!
すると、人工芝そのものが激しく光りだした!

ジャストミートしたバッターが悲鳴を上げて感電した!
今までのサンダーボルトとは比較にならない電撃!
超魔球・サンダーボルトマーク2ここに誕生!

真の日本一に輝くのは甲龍か?白虎か?

第十九話(最終回)
死闘は終らず!!の巻

戦いは初回のクロパン3失点のまま投手戦へ。
コークスクリューとサンダーボルトマーク2の投げ合いで膠着状態に。

サンダーボルトマーク2のおかげで以降の失点は防げるようにはなったものの、
相変わらず魔球コークスクリューには手も足も出ない甲龍ナイン。
このままでは負けてしまう…。
思わず空を見上げるクロパンに突然の啓示!
それは?


甲龍ナイン全員をロッカールームに呼び、策を伝授するクロパン。
その策とは…?

白鳥の舞い?
魔球白鳥の舞いの効果をバッティングに転化させた、
その名も「打技白鳥の舞い」!

早速見様見真似で試す甲龍ナイン。


三者凡退に終わったものの、
全員がバットにボールを当てることが出来た。
今までバットにかすりもしなかったコークスクリューが…
三馬のショックは予想以上だった。

一方のクロパン。サンダーボルトマーク2はますます威力を増していく。
もはや白虎ナインの強靭な肉体を持ってしても耐えられないほどの電撃になっていた。

光の遺影を抱きナインを応援する甲龍学園校長。
そして応援にかけつけた甲龍学園生徒一同。
さらには無数の野球ファンもつめかけ、
西武球場は大入満員。

七回裏。先頭バッターは剛田キャプテン。

キャプテン御自らの打技白鳥の舞い!
三馬のコークスクリューをつんざくホームランで
二点差に詰め寄った!

さらに続く三好も打技白鳥の舞い!驚異の大根切りホームラン!
西武球場名物のホームラン花火が打ちあがる。
ついに一点差!
精神的に狼狽した三馬は四球を連発し、
ノーアウト満塁でクロパンを迎える。

「いくそおっ、光ぅーっ!打技白鳥の舞いっ!」

場外満塁逆転ホームラン!
歓喜にわく甲龍ベンチ!
「あと二回、あと六人でおれたちが、おれたち甲龍学園が真の日本一だあっ!」

「くらえーっ、これが最後の一球だあーっ!」

感想
真・日本一決定戦編、とでもいうべきでしょうか。
とにもかくにもクロパン最終決戦編。強豪中の強豪というフレコミだった白虎学院でしたが、
目立ったのは鉄海と三馬の移籍組のみ。
あんまし強いって印象がありません。
見せ場はけったいな人工カミナリ特訓シーンくらいでしょうか。
言うなればこの舞台は仮面ライダーで言うところの「再生怪人軍団との大決戦編」
みたいなもんでしょうかね。にしても白眉は最終回にいきなり飛び出した
究極奥義「打技白鳥の舞い」。
どんな球にもバットを当てる打法で、しかも驚きなのは、
この打法を使えば誰でも究極奥義が使えるという点。
ヌルゲーじゃあるまいに。それまでさんざん苦しめられていた魔球コークスクリューが
連チャンモードのように打ち込まれてしまって、もう細かいかけひきとかどーでもよくなる展開に。
白虎学院も打技白鳥の舞いを使えば?とも思いましたが、
サンダーボルトマーク2じゃあてた瞬間に感電黒コゲですもんね。
ちなみに最後に生み出された魔球・サンダーボルトマーク2は、
人工芝と干渉し合うことによって静電気が倍々ゲーム式に増えていき、
強烈無比な電撃を発する魔球…という事なんでしょうね。
本編中に具体的な説明こそ無いけれど。
最終シーンでは本当に甲龍が白虎に勝ったか否かまでは
あえて描写されていませんが、バックに胴上げのシルエットもあるし、
皆まで言うな、ってトコでしょうか。
にしてもこの最終決戦編、最後が急展開すぎる感は否めません。
本来ならもう一回か二回分のページは欲しかった。
既に三月号分で連載終了というのは
前もって決定していたのかも知れませんが。

まとめ
あらためて全十九話を通して読むと、前半と中盤以降で
全く違うノリの作品になっていることに驚かされます。
一〜四話までは骨太の人間模様が織り成す少年の成長物語。
五〜七話で友人となる三好・猿飛という「スゴイやつら」との出会いを経て、
八話以降はもう「トンデモネーやつらとの超絶野球バトル」。
はっきり言って中盤以降は、「魔球でなければ話にならない」といった
レベルになっており、やれ心眼打法だ打技白鳥の舞いだと、
野球のセオリーなんざガン無視の展開。
ついには最後の最後で甲子園優勝まで自主放棄するという、
最終目的そのものが雲散霧消するという超絶展開を見せることに。

内山まもる先生はこの「燃えろ!クロパン」をどう評価していたんでしょうか?
ご存命中に聞けたら良かったのですが。
確かにストーリーもカラーも首尾一貫していないし、
提示された設定やキャラクターも路線変更のあおりで雲散霧消してしまってるし…。
そういう意味でもこの「燃えろ!クロパン」という漫画は
未消化・未整理のまま終わったという印象を抱きます。
だけど、改めて思うのは、こういう未整理の部分も含めて、
愛すべきクロパンの味になっているのかも知れません。
1979〜81のコロコロの読者にとって、本作は脳裏に焼きつく強烈な印象の
野球マンガになったことは事実です。未消化な部分やムチャクチャな展開も含めて。
この作品が名作だ、とは言いません。けど、私のように連載から30年以上経過し、
今尚この作品が忘れられない、というかつての読者は今でも相当数いるはずです。
その事実から言っても、やはり「燃えろ!クロパン」は
忘れられない野球マンガと言っていいでしょう。今回のこの研究ページを作るにあたり、
四年近く図書館に通いつめ資料を集めたのですが、
それほど動かすだけの魅力がこの作品にはあった、と言うことは事実です。
動かされた本人が言うのですから間違いはありません(苦笑)。

本ページがかつての、そしてこれから読む事になるであろう
「クロパン」読者諸氏の方位星の一つになれば幸いです。





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