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66回目となりました今回の更新。
久々の短い間隔での更新となりました。
お題はこちらのスクランブル。

超合体魔術ロボ ギンガイザー

(1977年4月9日〜1977年10月22日)
 全28話(未放映2話含む) 朝日放送系放映
製作 日本アニメーション・葦プロダクション

究極の変形・合体ロボ

タツノコを辞めた佐藤充彦がいろいろあって宮武デザインギンガイザー
立ち上げたアニメ製作会社・葦プロダクションが
「ブロッカー軍団Wマシーンブラスター」に次いで
放ったスーパーロボットアニメ
第二弾がこちら。
「マシーンブラスター」の頁でも書きましたが、
新興のアニメ製作会社故に
まだ信用の低かった葦プロは
日本アニメーション預かりという形で
番組制作をゲット出来たのですが、
結果下請けでしかない葦プロは
マシーンブラスターで収益を上げるどころか
大赤字を被ってしまい、その損益を
回収すべく製作に入ったのがこの
「ギンガイザー」だったという話があります。
ギンガイザーでは当時のヒットしていた
ロボットアニメのいろんな要素を取り入れたと
思えるフシが随所にあります。オカルトブームに
乗ったような敵描写、
超能力ブームに乗ったような主人公達の
特殊能力(マシーンブラスターのエレパス同様、
葦プロは超能力が好きですね)

敵幹部の美形化(カインダークは王子様のよう。
シャーキン・ガルーダ・ハイネル・
ハーケン・オズメルと、当時のロボット
アニメには美形の敵が多かった)

中でも目を引くのが、
ロボットのプレイバリューの幅広さです。
単なる単体のロボットではなく、
変形&合体の面白さを前面に
出したデザインになっているところに注目。
当時のスーパーロボットは
変形(ダンガードA・ライディーンなど)
合体(コンバトラーV・ダイアポロンなど)
人気を得ており、ギンガイザーではさらに
その上を行くべく、変形+合体という
ハイブリッドなものになっておりました。
設定画を着色したセル版ビーグル形態のマシンが変形して
ロボットになり、さらにそれら複数のロボットが
合体し超ロボットになるという…。
1977年当時にこのコンセプトは凄いです、
というか、走りすぎてません?
この複雑怪奇なコンセプトのロボたちを
デザインしたのが、スタジオぬえの宮武一貴氏。
のちにマクロスのバルキリーの
超絶変形ギミックを生み出すスタッフの
初の主役ロボデザインが、
このギンガイザーだったのです。
当初ぬえによってデザインされた
ロボットたちは図のように細かい線で
構成されていました。が、これをアニメで
動かすとなると作画に手間が
かかるのは必至。当時の葦プロは
製作体制も脆弱で、密度の高い作画を
毎週行うことには限界があり、
結果、マシーンブラスターでも匿名で参加してた
大河原邦男氏(当時オフィスメカマン在籍)に
ぬえのデザインをリファインさせ、
線減らしのメカに仕立て直します。
が、これを見たぬえが憤慨し、一説によれば
「OPクレジットからぬえの名前を消せ!」
抗議したとも。デザインしたメカとアニメのメカが
あまりに違いすぎるから、というのが
その理由らしいのですが。真偽は不明ですが、
その後バンダイから発売された
「スタジオぬえメカニックデザインブック機動兵器編」の
ギンガイザーの頁では
「アニメ版ではこのデザインも
ほとんど面影を残していない」
「ぬえの宮武一貴による初の主役メカだが、
設定と実際の画面でのデザインの落差は
かなりはげしい。」
と辛辣なコメントが寄せられていて、
アニメの作画に相当不満があった様を
匂わせています。
まあ、当時他のアニメスタジオでも
「ぬえのデザインでやると線が多くなって大変」と
いう声がありましたから、
アニメで動かすと言うことになると線減らしは
やむを得ないところもあったのかも知れませんが。







設定画ブルゲイターとスピンランサー。確かに線が多い。
設定画のブルゲイターとスピンランサー


超常スマッシュ形態と合体バリエーション。
ブルゲイターは設定では空を飛べないのでスピンランサーをブースターに飛ぶ予定でした。
アニメではビュンビュン飛んでいますが。
超常スマッシュとブルゲイター+スピンランサー



その玩具は?

ぬえの不満はあったものの、タケミギンガイザーチラシ
ギンガイザーは1977年
4月9日土曜日19時、
テレビ放送を開始します。
何しろ三体のビーグル(トレーラー・
ジェットコースター・円盤型飛行機)

三つのロボット&一つの飛行機に変形。
さらにソレが一つに
再合体(超常スマッシュ形態)して
「超合体魔術ロボ・ギンガイザー」
なって敵を倒すのです。
しかもギンガイザー形態は
三パターンもある!
(多分に作画の都合なのかも知れませんが)
この超絶可変合体システムの
ロボット軍団、
お子様夢中のハズ。
合金玩具はマシーンブラスターでも
商品展開したタケミが担当。
クォリティの高い商品を
出してたメーカー故に今回も期待…
と思っていたのですが…。
なんと合金玩具では
「超常スマッシュ形態」を再現
出来る商品が発売されたか
どうか未だに未確認なのですコレが。
確か本放送当時、TVCMでは
個々のメカが変形合体してるような
映像があって、当時小学生だった筆者は
欲しくてたまりませんでした。
故に商品自体はあった…と思うのですが。
よほど流通量が少なかったのか、
予定してたものの直前で
中止になったのか…?
商品チラシには玩具合体時の写真は
掲載されていたのですが、
個々の商品については実際発売されたのか?超常形態・スタンダートビッカー合金
なものも多く、
当然BOXセットなるものも未発売。
当時の玩具の技術では
再現不可能だったのかしら?
ちなみに玩具の変形システムには
磁石ジョイントが用いられていたらしく、
パーツを外して組みなおして、
なシロモノだったようで。
実際、TVのような変形合体が
可能な商品が出るのは
2010年、レイニング・ルーニー
から発売された
「超合体魔術ロボ ギンガイザー
超常スマッシュBOX」まで
待たねばなりませんでした。
(この商品もグランファイターの変形に
上半身をごっそり差し替えたりと、
何かと凄いシロモノでしたが。)









オカルトと伝奇とメカとの融合
ストーリーはこんな感じ。

今より2万年前、天変地異で地底の底に沈んだサゾリオン族が突然復活。
帝王カインダークを長に地球を手中に収めるべく、世界のどこかにあると言われる
超エネルギーを秘めた「アンターレス大魔玉」を入手すべく行動を開始した。
時を同じくして、2万年前にサゾリオン一族と戦った
プラズマン一族の末裔・ゴードー博士はこの事を既に予見しており、
サゾリオン一族に対抗すべく秘密のチームを結成していた。
その名は超常魔術団(マジカルコマンド)・ギンガイザーチーム
白銀ゴロー、秋津ミチ、荒波トラジロー、南三太の4人の少年少女からなる
超能力チームである。彼らは秘密基地マジカルベースを本拠に、
グランファイター・ブルゲイター・スピンランサー・アローウイングの
四体のメカを駆り、究極の合体戦闘体型である「超常スマッシュ・ギンガイザー」となって、
サゾリオン帝国の放つ蘇生獣と戦いながら、アンターレス大魔玉を捜す旅を続けていく。


というもの。要するに「ヤッターマン」における、ドクロストーンを巡ってヤッターマンとドロンボーが
争奪戦を演じるそれに近いのかな、と。
主役の白銀ゴローは坊主頭に三枚目という、当時のロボットアニメの主役にしてはかなり異色。
初登場時から居眠りしてるわ、突然テレビの前のよい子達に自己紹介おっ始めるわの異例づくし。
おまけに主人公、と言っておきながら「ああ〜、疑いのまなざし〜!」とかノリツッコミしてるし。
ちなみに井上和彦さんの主役デビュー作でもあるんですよねこの作品。
主役がこんな感じなんで、全体的にギンガイザーのチームの面々ってそんなに重みが無いというか。
けど一旦ロボットバトルに入るとシリアスタッチに(スピンランサーはギャグロボ扱いですが)
マシーンブラスターの伝統というとアレですが、やはり一体では蘇生獣に歯が立たず、
最終的にはギンガイザーに合体して、ようやく倒せました…な感じ。


ストーリー展開としては魔術団としてトレーラーで地方巡業(?)するミチとゴローが大魔玉を捜しつつ、
そこにサゾリオン帝国がサゾリカオスで生み出した蘇生獣
(大僧正ネクローマが「トウカイリンリンソクチョウ、トウカイリンリンソクチョウ」
呪文を唱えて蘇生獣を生み出す儀式は、
ライディーンの「いのーちーさずけーよー」…みたいな。肝付兼太と緒方賢一の声の差はあれど。)

が来襲。ギンガイザーチームがマシンをトランスフォームさせて戦って勝利。
再び大魔玉を捜しに去っていく…というのが基本フォーマット。
アンターレス大魔玉を手中におさめるのはサゾリオンかギンガイザーチームか?


最終回は心折られて…

そんなこんなで2クール、大魔玉の捜索&争奪戦はルーチンワークの如く続きますが、
決着はどうなったのか?前後編で描かれた最終回「捨て身のファイヤークラッシャー(前編)」
において、ギンガイザーはついに大魔玉を発見…と思いきや、それはサゾリオンの作ったニセ大魔玉。
変化が解け、分裂し、銛となってギンガイザーを蜂の巣に。しかも銛は時限装置付き。
抜けば爆発、抜かずとも時限爆弾なので爆発、さあどうする?というところで前編終了。

後編ではゴードー博士の処置で慎重に銛は抜かれて行きますが、
心臓部の銛だけどうしても抜くことが不可能。
意を決した4人はどうせ爆発するなら…と、最後の出撃を敢行します。
穴の開いた箇所に強化回路を埋め込まれて、
超常スマッシュの状態のまま炎に包まれて突撃する最終兵器「ファイヤークラッシャー」を発動。
最強の蘇生獣(と思う)グモラガモラがそれを倒しに現れますが、格闘最中なぜか運よく銛が抜け、
九死に一生を得たギンガイザーはその勢いをかってグモラガモラを仕留めます。
「残念だが、ギンガイザーがいる限り、地球を我が物にするのは無理だ」
これを見た皇帝カインダークの敗北宣言で唐突にこの作品は終わります。
主人公側の凱旋や喜びも無いまま、
そして大魔玉の顛末も放棄されたままに。
結局裏番組の「まんが日本昔ばなし」には勝てなかった、ということなんでしょうね。
この後、日本アニメーションはこの枠の路線をガラリと変え
「若草のシャルロット」「はいからさんが通る」「リスのバナー」「こぐまのミーシャ」
少女&ファミリー向けへと転換します。
葦プロはギンガイザー後、「女王陛下のプティアンジェ」「くじらのホセフィーナ」「ふたごのモンチッチ」と、
こちらも少女&ファミリー向けへと転換。
再びロボットアニメを作るのは1980年の「宇宙戦士バルディオス」まで待たねばなりません。
が、その作品も、あんな顛末を迎えることになるとは…って、それはまた別の話。


超合体魔術ロボ ギンガイザー スタッフ
製作/本橋浩一
企画/日本アニメーション
プロデューサー/小野哲生・佐藤充彦 (葦プロダクション)
製作担当/高桑 充
総監督/案納正美
シリーズ構成/八田 朗
キャラクターデザイン/内海勇夫・高橋資祐
メカニックデザイン/スタジオぬえ(宮武一貴)・オフィスメカマン
作画監督/田中保
美術監督 /新井寅雄

製作協力/葦プロダクション
音楽/横山菁児
OP/超常スマッシュギンガイザー
(作詞・保富康午/作曲・横山菁児/歌・ささきいさお&荒川少年少女合唱隊)
ED/さがしにいかないか
(作詞・保富康午/作曲・横山菁児/歌・ささきいさお&荒川少年少女合唱隊)


キャスト
白銀ゴロー(井上和彦)
秋津ミチ(古賀ひとみ)
荒波トラジロー(西村知道)
南 三太(丸山裕子)
ゴードー博士(小林清志)
帝王カインダーク(森 功至)
大僧正ネクローマ(緒方賢一)
将軍ガバーラ(徳丸 完)
女占師サロメ(有馬瑞子)

ほか

超合体魔術ロボ ギンガイザー 放映リスト

放送No放送日サブタイトル脚本演出
1977.4.9出動だ!ギンガイザー 山本優八尋旭
1977.4.16サゾリオン帝国の野望 山本優安濃高志
1977.4.23出た!富士のヌメーラ山本優秦泉寺博
1977.4.30蘇った古代シャチ関藤一挟間遊
1977.5.7岩石魔獣ヤシャガンタ山本優大貫信夫
1977.5.14双頭の古代象ナウマー吉川惣司八尋旭
1977.5.21古代海亀タートンの叫び新井光挟間遊
1977.5.28あがれ!ケンカ凧 山本優真下耕一
1977.6.4海獣メトリオの牙関藤一安濃高志
101977.6.18呪いの変幻魔獣山本優八尋旭
111977.6.25ガマルス炎熱地獄山本優鷹野大
121977.7.2恐山の決闘吉川惣司安濃高志
131977.7.9SOS!マンモスタンカー新井光安濃高志
141977.7.16恐怖の古代熊グリズラー山本優八尋旭
151977.7.23ミイラ怪人古都に出現!関藤一鷹野大
161977.7.30怪鳥ウガーダ必殺ピック!山本優安濃高志
171977.8.13金色の蘇生獣!イーグロン合戸陽安濃高志
181977.8.20決戦!蘇生獣の墓場山本優八尋旭
191977.8.27磯あらし!原生貝獣 山本優鷹野大
201977.9.3あばれ猛牛一番星!合戸陽安濃高志
211977.9.10急襲!ゲモラの谷五武冬史八尋旭
221977.9.17謎の炎海流!山本優安濃高志
231977.10.1大ザル山の紋次郎!関藤一八尋旭
241977.10.8恐怖のSL爆弾!八田朗西本健一
25未放送イノシシ谷マル秘作戦!合戸陽安濃高志
26未放送戦え三太!母恋し八田朗西本健一
271977.10.15捨て身のファイヤークラッシャー(前編)八田朗八尋旭
281977.10.22捨て身のファイヤークラッシャー(後編)八田朗八尋旭


と、今回も終了。
比較的早目の更新なのは前回までのスパンが長すぎた故の埋め合わせというか。
次回はなにしようかな。考え中。

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