そこに戦争や物価高まで重なって鬱陶しい事この上なし。
こんなときこそハッチャキパワーでふっ飛ばせー、っという訳で、
今回はめちゃんこなめちゃっこの作品がお題。
めちゃっこドタコン
1981年4月4日〜1981年10月10日 全28話
フジテレビ系放映・製作 国際映画社
めちゃんこでハッチャキなスーパーアンドロイド参上!
本作は当時新進気鋭のアニメ制作プロとして表に出始めた国際映画社が、
自社制作作品として発表したTVアニメシリーズ第一弾。実際は1979年の「くじらのホセフィーナ」、
1980年の「ふたごのモンチッチ」「ずっこけナイトドンデラマンチャ」「宇宙戦士バルディオス」と
TVアニメを制作していますが、これらは葦プロダクションの制作に協力した呈になっている事もあって、
以上四作品は現在全て葦プロ(現・プロダクションリード)のコピーライトがついています。
故に、国際映画社自社制作という形では本作が第一号という事になりますね。
(実際は東映動画が制作に相当関わってます。同時期のブライガーも然りで。)
この作品を契機に国際映画社は次々とTVアニメシリーズを発表。
1981年は4本
(めちゃっこドタコン・若草の四姉妹・銀河旋風ブライガー・ハニーハニーのすてきな冒険)、
1982年は3本+SP1本
(魔境伝説アクロバンチ・おちゃめ神物語コロコロポロン・銀河烈風バクシンガー・愛の奇跡ドクターノーマン物語(SP))、
1983年は3本
(亜空大作戦スラングル・ななこSOS・銀河疾風サスライガー)、
1984年も3本
(超攻速ガルビオン・宗谷物語・ふたり鷹)と、
僅か4年の間に13本のTVアニメシリーズと1本のSPアニメを製作し、
翌1985年に力尽き、倒産してしまいます…。
それにしても新興の制作会社にしては異常過ぎる数。あきらかにキャパを超えた制作本数と言えます。
よく国際映画社の作品を総じて「作画レベルが低い」「OPと合体バンクだけは異様にクオリティが高い」と
揶揄されますが、それもこの制作本数の多さ故にスタッフを分散せざるを得なかった弊害でしょう。
実力派スタッフも数多く参加(金田伊功・小松原一男・白土武・天野嘉孝・二宮常男・菊池城二・
谷口守泰・猪又むつみ・網野哲郎・鴫野彰・大畑晃一etc…。よだれモノの精鋭がズラリ)しては
いたのですが、全面的に関わっていたとは言い難い状況でもあったので…。
にしても1981年のシリーズ4本はやっぱ無茶してますよね。
スタジオは常に回っていなけりゃダメとは言いますけど(1979年の日本サンライズも
「サイボーグ009(新)」「未来ロボダルタニアス」「ザ・ウルトラマン」「機動戦士ガンダム」「科学冒険隊タンサー5」と、
同時に5つのTVアニメを進行させてますから…。新興スタジオのコキ使われっぷりが伺えます)。
そんな国際映画社初のオリジナルTVアニメシリーズの第一話はこんな感じで始まります。
郊外にその威容を構える大邸宅。大財閥・団コンツェルンの総帥の邸宅。
そこに住む総帥の孫娘・ミチルと執事の来内。
ミチルは現在11歳ながらも8歳の頃にアメリカの名門工科大学を卒業した天才少女。
特にロボット工学に精通しており、これまでも犬型ロボットのペロや帽子型ロボットのダンボー、
5歳児の幼児と同じ知能を持つチョピ子などを独力で作り上げていました。
その名はドタコン。弟が欲しいと思ったミチルが7歳児の男児をモチーフに作った
「ハッチャキパワー」を有するスーパーアンドロイドです。
最初、組立のミスもあって暴走してしまいましたが、何とか無事完成。
でもメカ剥き出しの身体で街を歩くのはいささか心もとない。
ミチルの理解者でもありロボット犬ペロの飼い主でもある居候カポネゴリラから
学生時代着ていた学ランを譲り受け、丸坊主の頭に先輩のダンボーが乗っかって、
ここにドタコンは誕生したのでした。
かわいい妹を救おうと(チョピ子のほうが先に出来てるんですが)
ドタコンはチョピ子を乗せた誘拐犯の車と力比べ。
はっちゃきパワーさく裂で見事悪人は退治、チョピ子もペロたちによって救出されました。
さてどうなるのでしょう?
脚本・監修・構成 山本優 |
ドタコンっていうのは、アトムのようなヒーローロボットではないんです。 おもしろいことはいたずらすることで、地球の平和を守るといった使命感は全然ない。 ドタコンみたいな男の子になりたいなとか、ああいう友人がいてくれたらいいなと思うような、 身近な感じの少年です。子供本来の持つ自由さをもっているやんちゃ坊主なんですね。 ぼくは、壺田(重夫)さんの企画を展開する役を担当してるんですが、 パンチの効いた新しい感覚のオリジナル・ギャグにしてみたい。ストーリー性から入るギャグでなく、 瞬発的なコント風のギャグで、ロボットが主人公でもあるし、「ハチャメチャ」の感覚で。 どうしても「Dr・スランプ」と共通している部分もありますが、いい意味で対抗して、 オリジナルの意地を見せたいですね。 |
ドタコン役 杉山佳寿子 |
子供の頃、タコあげやコマまわしとか、男の子と抵抗なく遊んでいたので、ドタコンにもはいりやすいですね。 「めちゃっこ」って言葉にも出ているように、個性の強い、本来の子どもの姿の代表みたいな形で ドタコンが生きてくればと思っています。やろうと思ったら、とにかく行動してやっちゃう。 命をもっている男の子にしたいですね。 アドリブにまたアドリブみたいな相乗効果の出てくるアニメ・ギャグのいい部分ってあるでしょ。 これもスタッフやキャスト全員がひとつに合致した、リズムやテンポのよい、 見ておなかをかかえて笑ったり泣いたり出来る楽しい番組になっていくと思いますよ。 |
キャラクター設定 白土武 |
原作があってイメージが固まっているのと違い、オリジナルでキャラを作りながら性格づけをやっていったから、 それなりの意思が伝わるまで時間がかかるかも知れない。表面はドライだけど、程度の高い、 オチのしっかりしたギャグにしたいな。下卑たギャグや汚らしいのは古いし避けたい。 それから、ロボットだからお涙ものはうまくいかないかというと、意外とそうでもないんだね。 飛んだり跳ねたり怒ったり笑ったりするということは、泣きもするんだから。 性格が怒るほうだけしかないということは無いし、いろいろ可能性はあるよ。 ドタコンは普通の男の子がちょっと踏ん張れば出来るかなーといった程度の力にとどめたいな。 ドタコンが物事に必死に取り組むからこそ、ズッコケた時に面白く、 また可哀想と感じられるんだ。意味の無いドタバタだとすぐ飽きちゃう。 キャラクターはボケとツッコミの差がハッキリしたものほど面白いと思う。 マンザイや芝居でも、両方がボケてちゃかけあいのウマさは出てこないよ。 一番苦労したキャラはチョピ子かな。5〜6回描き直した。面白くなりそうなのはカポネかな。 ドタコンはぼくのスケッチブックにあった学ランの少年を原型にしてかわいらしくした。 鼻をコンセントにするとか電卓付きの額とか、いろんなアイデアがあったよ。 |
めちゃっこドタコン第一回アフレコの現場より アニメーションワールドオンTV (月刊アニメージュ1981年5月号99P記事) |
ドタバタ喜劇の決定版とうたわれた新番組「めちゃっこドタコン」の第一回アフレコは 春光眩しい3月の、一日を費やして行われた。「ホームドラマを下敷きに、仕掛けの大きさ、オチのハッキリした作品を」 (白土氏・山本氏)という作品意図を受け、画面ではキャラたちが面白い芝居を見せていた。 しかしそれは本筋に挟み込んだギャグではなく、一筋の流れに沿ったもの。 ひとつひとつの芝居がつながって喜劇を構成するといった画面。 つまり「藤山寛美がアホであろうとなかろうと、人間はかくも真剣に生きるもの、と訴えるように、 ひとつの事柄にハチャメチャになるドタコンがなぜズッコケるかを笑いながら考えてしまうような(白土氏)」 意図に沿った芝居っ気たっぷりの画面なのだ。(中略) それはもう、ベテラン陣の演技力、白土氏や山本氏が語る作品意図におのずと沿ってくるだろう。 とまれ、ドタバタ喜劇の決定版と銘打っても、ただのドタバタ喜劇とはちょっと違う。 その違いが今後期待出来る現場風景だった。 |
Dr・スランプに似てるって本当?
その最終回とは?
地元関西では土曜朝8時からオンエアしてまして、番組最後まで見れないんですよこれが
(当時は半ドンで土曜も学校あった)。フジ土曜18時枠の作品はこれといいハニーハニー、ポロン、ななこと全部
朝8時からのオンエア。関西テレビの番組編成にモノ申す。今更遅いけど。
東京でのオンエアは最高視聴率が9・2%(第4話)と、特に低いという事も無いのですが
一度も二桁に乗せる事も無く、結果、ガラリと路線を変えた水野英子原作の「ハニーハニーのすてきな冒険」に
タッチする事となり、国際映画社初自社制作TVアニメ「ドタコン」は28話をもって終了となります。
その最終回はどういう話だったかというと、
なんてことのないある日。下駄で天気占いをしてるカポネをからかうドタコン。 そんな折、占いには夢占い(予知夢)というものがあると聞き、 ドタコンは自分も夢をみたいと言い出します。 「ロボットが夢なんか見れるとは思えないけど…アンテナの受信回路を 改造しとけば、ハム通信とか拾って夢に似た現象が起こるかも知れないな。」 ミチルはドタコンを改造し、夢を見れるように手を加えました。 丁度そこに流れ込んできた謎の怪電波。それはミチルとドタコンに 復讐を誓うロボロボ博士(13話でやられた悪役)の挑戦状でした。 いつか奴らが拾うものだという願いを込めて、毎日ハムで虚空に送信していたのです(暇か)。 ![]() それをドタコン以外にも傍受してる人がいました。明彦です。 電波をドタコンらと対峙する敵対宇宙人の発信と信じた彼は、共に地球を守ろうと 勝手に勘違いし、あろうことかロボロボ博士をミチルの屋敷に電波誘導します。 ついに怨敵の本拠を見つけた!ロボロボ博士は復讐のために建造した 戦闘雷様ロボ・ゴロピカビオン11号を出動させ、落雷と洪水でミチル家を襲います。 電波を受信したドタコンはロボロボ博士が襲ってくると皆に警告するも 「夢占い?バカバカしい」と誰も本気にせず。そうこうしてるうちに大洪水が。 明彦の家も水没し、自分の招いた災厄に後悔するも時すでに遅し。 ![]() 不気味な黒雲に乗り、落雷を誘発するゴロピカビオン11号は街で大暴れ。 ドタコンは単身ハッチャキパワーで挑むも落雷の直撃でショートし水没。 ミチルは水没した邸の研究室でドタコンを水中修理(出来るんだ)。 復活したドタコンに高圧線ケーブルを持たせてゴロピカビオン11号に 巻きつけるよう指示。ゴロピカビオン11号はミチルに高圧電流を流されて大爆発。 (雷様なのに電気で爆発…まあ所詮はロボットだし。) 「おのれおのれ!見ておれよこの次こそ!」と言い残しロボロボ博士は 洪水の中に流されて消えます(次は無いっての。最終回だし)。 ![]() 復旧工事が終わり、ようやく邸宅も元通り。そこに明彦が バツも悪そうに詫びに来ます。しかし明彦の疑念は相変わらず。 「いつか…いつかきっとお前ら宇宙人の正体を突き止めてやる…」 今日も今日とて、ドタコンやミチルらの懲りないドタバタ日常は続くのでした。 ![]() |
めちゃっこドタコン スタッフ
制作/壺田重三(国際映画社)
企画/壺田重夫(国際映画社)
プロデユーサー/青木藤吉(国際映画社)
製作担当/蕪木登喜司(東映動画)
チーフディレクター/しらとたけし
キャラクターデザイン/白土 武
構成・監修/ 山本 優
チーフデザイナー/伊藤岩光・伊藤みつ絵
アニメーション制作協力/東映動画
音楽/菊池俊輔
OP/おいらドタコン
(作詞・山本 優/作曲・編曲・菊池俊輔/唄・たいらいさお)
ED1/チョピ子はアイドル
(作詞・山本 優/作曲・編曲・菊池俊輔/唄・藤門かおる)
ED2/ドタコン音頭
(作詞・山本 優/作曲・編曲・菊池俊輔/唄・たいらいさお 藤門かおる)
めちゃっこドタコン 放映リスト
放送No | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 | 視聴率 |
1 | 1981.4.4 | おいらドタコン! | 山本 優 | しらとたけし | 白土 武 | 5.5 |
2 | 1981.4.11 | ハチャメチャ家族 | 四辻たかお | 康村正一 | 杉崎悠樹 | 7.0 |
3 | 1981.4.18 | 悪がきトリオ | 富田祐弘 | 福島和美 | 篠田 章 | 7.4 |
4 | 1981.4.25 | ポンコツ大発明 | 山本 優 | 山吉康夫 康村正一 | 菊池城二 | 9.2 |
5 | 1981.5.2 | ハレハレ歯が痛い | 四辻たかお | 高垣孝蔵 康村正一 | 菊池城二 | 4.4 |
6 | 1981.5.9 | ピカッチョ新入生 | 山本 優 | 康村正一 | 杉崎悠樹 | 4.1 |
7 | 1981.5.16 | 大当たりハワイ旅行 | 四辻たかお | 福島和美 | 大工原章 | 4.4 |
8 | 1981.5.23 | みんなどけどけ! | 富田祐弘 | しらとたけし | 白土 武 | 4.1 |
9 | 1981.5.30 | これが男の友情? | 松崎健一 | 康村正一 | 菊池城二 | 3.9 |
10 | 1981.6.6 | ドキドキマラソン | 四辻たかお | 高垣孝蔵 | 篠田 章 | 4.3 |
11 | 1981.6.13 | キャンプ村大事件 | 山本 優 | 山吉康夫 | 杉崎悠樹 | 7.3 |
12 | 1981.6.20 | だめパパ大決心! | 四辻たかお | 高垣孝蔵 | 菊池城二 | 5.1 |
13 | 1981.6.27 | ロボロボ大決戦! | 松崎健一 | しらとたけし | 白土 武 | 5.5 |
14 | 1981.7.4 | いい事しよう! | 山本 優 | 康村正一 | 菊池城二 | 6.4 |
15 | 1981.7.11 | 町は愛がいっぱい | 四辻たかお | 山本寛己 | 大工原章 | 4.3 |
16 | 1981.7.18 | みんな王子さま | 山本 優 | 山吉康夫 康村正一 | 杉崎悠樹 | 5.1 |
17 | 1981.7.25 | ゆけ!プロレス魂 | 満尾哲也 | 高垣孝蔵 | 篠田 章 | 7.6 |
18 | 1981.8.1 | レッツ監獄ロック | 四辻たかお | 生頼昭憲 | 菊池城二 | 3.6 |
19 | 1981.8.8 | さすらいのカポネ | 山本 優 | しらとたけし | 白土 武 | 4.6 |
20 | 1981.8.15 | ハラハラ博覧会 | 松崎健一 | 高垣孝蔵 | 菊池城二 | 2.1 |
21 | 1981.8.22 | 迷犬!?ペロ大活躍 | 四辻たかお | 山吉康夫 康村正一 | 山内一夫 | 5.8 |
22 | 1981.8.29 | それゆけ宝さがし | 満尾哲也 | 明石正三 又野弘道 | 菊池城二 | 6.9 |
23 | 1981.9.5 | 怪人ギンギラマン | 山本 優 | 山吉康夫 | 篠田 章 | 6.6 |
24 | 1981.9.12 | ベッドでUSA | 四辻たかお | 高垣孝蔵 | 大工原章 | 8.1 |
25 | 1981.9.19 | おいらスターだ!! | 伊東恒久 | 生頼昭憲 康村正一 | 菊池城二 | 5.9 |
26 | 1981.9.26 | めちゃんこ運動会 | 山本 優 | しらとたけし | 白土 武 | 6.9 |
27 | 1981.10.3 | 時よ!プレーバック | 吉田未来 | 高垣孝蔵 康村正一 | 山内一夫 | 8.8 |
28 | 1981.10.10 | 反撃・ロボロボ博士 | 山本 優 | 山吉康夫 高垣孝蔵 | 篠田 章 | 7.2 |
と、今回もなんとか終了。
この作品ですらもう42年前(2023年現在)。時の過ぎるのは加速度的とはよく言ったものです。
昨今昭和アニメの関係者の皆様が次々と幽冥境を異にされる報道が相次いでて落胆していますが、
仕方の無い事とは言え、寂しい限りです。
ではまた次回。