原作は壮大なる大河SF漫画・アニメは純然たる原始もの
あらすじはこんな感じ。
時ははるか太古の原始時代。人間と恐竜が同時に存在していた世界。 そんな時代のとある集落で一人の赤ん坊が生まれた。名前はリュウ。 その子は他の原始人と異なり、白い肌を持っていた。 「これは悪魔の子だ!」恐怖に駆られた部族の人々は、この赤子を 恐竜チラノの生け贄に捧げ、悪魔を葬らんとする。 しかし、その生贄の赤子を雌の類人猿キティが救出。 キティはリュウを我が子のように育て、十数年後、リュウは立派な少年に成長する。 ![]() そんなリュウの前にオオツノ族の少女・ランが現れ、二人は次第に懇意になっていく。 その様子を憎しみ深く思う部族の若者・タカ。 ![]() 好意を抱いていたランを取られた事、リュウの悪魔の白い肌、リュウの実力に対する脅威… やがてタカはリュウに殺意を覚えていく。が、そんな折、集落を暴竜・チラノが襲撃! 育ての母であるキティはチラノによって重傷を負い、看病の甲斐なく死亡。 悲しみの最中、リュウは本当の母親が今もどこかに生きていると知り、 彼は母を求めて旅に出る決意をする。 ランもリュウに付いていくため部族を離れ、共に旅立つ決意をする。 ![]() まずは彼女の弟・ドンがいる集落を目指すことになる二人。 タカもリュウからランを奪回するため追撃する。 しかし、リュウがたどり着いた集落は既にチラノの襲撃を受け死屍累々の地獄に…。 原始少年リュウの残酷かつ苛烈な旅は、始まったばかりだった。 ![]() |
原始ものの苦労と作劇の苦心
原作は週刊少年マガジンに連載されていた石森章太郎の大河SF漫画「リュウの道」の第二部にあたります。
第一部「リュウの道(未来編)」第二部「原始少年リュウ(太古編)」第三部「番長惑星(現代編)」からなる
壮大なSFストーリーで、「中の鉄骨の骨組みが見える製作途中の地球」というリュウの道の単行本表紙は
私が子供当時見て、強烈なインパクトを残したのを思い出されます。
リュウはラン、そして再会出来たランの弟・ドンの三人で旅を続けることになりました。![]() その途中幾度となく追撃し、執拗にリュウを殺そうとタカ、 不意を突いて現れる不死身の暴竜・チラノ、 不寛容と勢力争いから巻き起こる部族同士の戦争…。 様々な苦難に見舞われ、傷ついていくリュウたち。 その逃走の途中、リュウたちは山中に籠る謎の男・キバと出会います。 ![]() 彼は妻子をチラノに殺されており、復讐のためにチラノを待っていると語ります。 復讐に燃える歴戦の勇者キバ。しかし彼には拭いきれない暗い影が頭をもたげます。 実はキバにはアナグマ族にいた少年時代、 オルゴン族との人質交換に使われそうになり、身代わりとして幼い弟を差し出した、という 悔やみきれない過去があったのです。そしてその弟は、リュウを執拗に狙うタカであることが後日判明! 遂にむかえたチラノとの戦いで瀕死の重傷を負ったキバは、忌の際にタカに詫び、 リュウへの怨念を捨てるよう 言い残します。 ![]() だが、タカの憎しみは消えることはありませんでした。 リュウを殺すため、彼を追い、行く先々の部族や集落で 「リュウが来た所には悪魔の災いが降りかかる」と吹聴し、 リュウたちの旅路を困難に陥れていくタカと、その仲間カリム。 そんな苦難の旅路の途中、リュウたちと山の温泉で出会った老人が、 かつて自分の村にリュウと同じ白い肌の女がいたことを語るのです。 しかし、その女や老人の息子たちは奴隷として皆連れ去られてしまった、といいます。 ついに見つけた母の手掛かり!リュウたちはタカの執拗な追撃に遭いながらも、 母が捕えられているという集落へと向かうのですが…。 ![]() |
石森&東映タッグ本格始動の1971年、音楽・大塩潤?
そして終局へ リュウの旅路の果ては
そして物語は終盤へと突入、佳境に入ります。
怨敵タカとその仲間カリムに追われ続け、 行く先々で偏見に見舞われ、多くの災難に見舞われつつ、 リュウは母・エスタが捉われているカナク族の集落のふもとまでたどり着きます。 そこで暖を取るため焚火をし一夜を明かすのですが、翌朝、消えた焚火の灰の中に 光る刃のような物体を見つけます。手に取るリュウ。 熱さで思わず投げ捨てたところ樹に鋭く突き刺さります。「…!」 あらためて手に取り、振りおろしてみると、木枝を簡単に切断。 なんだこれは?よくみると焚火のまわりの砂がキラキラ光っています。 「この砂が焚火で固まったんだ!」リュウはその光る刃を傍にあった砥石(のような岩)で研ぎ始めます。 研ぎ続ける事しばし、「出来た!これは牙だ!人間の牙だ!」 リュウはここに、チラノを倒す武器を手に入れたのです。 (焚火で出来る金属なので強度的には大したこと無いんでしょうが、当時は石や骨が矢じりに用いられていた 時代なので、金属の鋳造なんていう技術はまさしくオーパーツ。最終回前話にしていきなり手に入れた 偶然の必殺武器「人間の牙」。(運よく研ぎ石も傍にあったもので)) その切れ味は凄まじく、初戦で怨的チラノの左目をつんざき、戦闘不能に陥れることに成功。 このまま追撃すれば、ついにチラノを倒せる! 物語はその勢いのまま、最終局面へ。 ![]() 目を潰されたチラノは半狂乱に暴れまわっており、機を察したリュウはチラノに飛びつき その心臓に「人間の牙」を深々と突き立てます。血を吐き崩れ落ちるチラノ。 キティの仇・キバの無念を、ついに果たしたリュウ。 ![]() しかしリュウの母・エスタは先回りしたタカとカリムによって捕えられ、人質に。 なにがなんでもリュウを殺そうとするタカの執念。 ついにリュウとタカ&カリムは氷河の大地で対峙することに。 ![]() しかし間髪入れず、リュウ目がけてタカの石槍が突進! が、リュウはそれをかわし、タカをそのまま投げ飛ばします。 氷河の断崖絶壁から落ちていくタカ。 悲鳴と絶叫を残し、怨念の刺客は闇に消えます。 ついに再会した母と子。ランやドンも再会を喜び、 四人は明日を告げる朝日の中、共に歩いていくのでした。 ![]() |
原始少年リュウ 制作スタッフ
原作/石森章太郎(週刊少年チャンピオン・小学館の学習雑誌連載)
製作担当/江藤昌治
企画/横山賢二
美術/浦田又治・辻 忠直・伊藤攻洋・山崎 誠・横井三郎・土田 勇
音楽/大塩 潤(渡辺岳夫)
OP/原始少年リュウがゆく(作詞・石森章太郎/作曲・大塩 潤/唄・水木一郎)
ED/ランのうた(作詞・石森章太郎/作曲・大塩 潤/唄・堀江美都子)
放送No | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 |
1 | 1971.10.30 | 原始の掟 | 近藤 正 | 田宮 武 | 小松原一夫 |
2 | 1971.11.6 | チラノの恐怖 | 布勢博一 | 明比正行 | 熊尾義之 |
3 | 1971.11.13 | タカの復讐 | 押川国秋 | 高見義雄 | 田中英二 |
4 | 1971.11.20 | 傷だらけの追跡 | 近藤 正 | 蕪木登喜司 | 森 利夫 |
5 | 1971.11.27 | ヤマネコ族の陰謀 | 近藤 正 | 新田義方 | 我妻 宏 |
6 | 1971.12.4 | 狩場争い | 押川国秋 | 葛西 治 | 小松原一夫 |
7 | 1971.12.11 | 血みどろの勇者 | 近藤 正 | 久岡敬史 | 田中英二 |
8 | 1971.12.18 | 運命の出会い | 押川国秋 | 田宮 武 | 熊尾義之 |
9 | 1971.12.25 | 悪魔の石 | 安藤豊弘 | 明比正行 | 森 利夫 |
10 | 1972.1.1 | 吹雪の中の巨人 | 押川国秋 | 高見義雄 | 藤原万秀 |
11 | 1972.1.8 | 神の山の怒り | 近藤 正 | 蕪木登喜司 | 我妻 宏 |
12 | 1972.1.15 | 愛情ある特訓 | 押川国秋 | 新田義方 | 小松原一夫 |
13 | 1972.1.22 | 火の罠 | 押川国秋 | 葛西 治 | 田中英二 |
14 | 1972.1.29 | 勇者の墓 | 押川国秋 | 久岡敬史 | 熊尾義之 |
15 | 1972.2.5 | 狂った孤島 | 近藤 正 | 田宮 武 | 森 利夫 |
16 | 1972.2.12 | 人間野獣 | 安藤豊弘 | 明比正行 | 藤原万秀 |
17 | 1972.2.19 | 断崖の絶叫 | 近藤 正 | 高見義雄 | 荒木伸吾 |
18 | 1972.2.26 | 巨象の暴走 | 押川国秋 | 蕪木登喜司 | 熊尾義之 |
19 | 1972.3.4 | 吠えろ狼 | 真弓典正 | 新田義方 | 小松原一夫 |
20 | 1972.3.11 | 奴隷狩り | 安藤豊弘 | 葛西 治 | 森 利夫 |
21 | 1972.3.18 | 人間の牙 | 真弓典正 | 久岡敬史 | 荒木伸吾 |
22 | 1972.3.25 | 明日に向って | 押川国秋 | 明比正行 | 我妻 宏 |
キャスト
リュウ(井上真樹夫)
ラン(平井道子)
ドン(大田淑子・1〜5話までクレジットは丸山裕子(1〜5話にドンは未登場))
タカ(村越伊知郎)
キバ(納谷悟朗・22話のみ谷津勲)
リュウの母(瀬能礼子)
カリム(峰 恵研)
槐 柳二 池水通洋 沢りつお 田の中勇 辻村真人 牧野和子 作間功
市川治 菊地紘子 梶 哲也 安原義人 杉山佳寿子
阪 脩 千々松幸子 山下啓介ほか
というかんじでお届けしました記憶85回目。
この作品もマイナーな扱いを受けていますね。
水木一郎のアニソンデビュー作品ということで
アニキ関連ではやたら名前の挙がる作品ではありますが
作品自体の認知度は決して高くもないというか。
私の地方では一切再放送の記憶がありません。
大学時代に岡山の友人のビデオライブラリーを見せてもらって
それで記憶にある次第。リアルタイムじゃ無いわけで。
近年ようやくソフト化されましたね。VHS時代は
OPED以外は一切ソフト化が無かったから。
本来なら短命アニメ特集2に掲載した記事は
重複するので削除すべきなんでしょうが、
このページ、あかぬけ!も扱ってるから
紹介作品4本中2本削除となると流石にもう形を成さないので
とりあえず現状のまま残すことにしました。
差し替えの2本分というのもひと仕事になりますし
その為にはまた国会図書館に行くのが常ですが、現状…。
次回は年末までに更新したいところです。それでは。